彼らは誰だ? - ルネサンス期のアフリカ人

なぜ16世紀のヨーロッパ人アーティストがアフリカ人に魅了されたのかを問う新たな展示

ルネサンスの良く知られたアーティストの多く(ピーテル・パウル・ルーベンス、アルブレヒト・デューラー、そしてヤコポ・ダ・ポントルモなど)は、アフリカ人の肖像を描いている。しかし、彼らが描いた男たち、女たち、子供たちは誰なのだろう?何世紀にもわたって、これらのモデルはほとんど知られていなかった。ボルティモアのウォルタース美術館のキュレーター、ジョアニース・スピーサーが更なる発見をしようと決めた時までは。たとえ彼女がそれぞれの個人の名前を当てはめることができなくても、彼女は彼らの人生についてそして彼らがどこから来たのかについてより多く知りたいと思った。彼女の忍耐力は報われた。ウォルタースで始まり、今は6月9日までプリンストン大学美術館で開かれている「ルネサンス期ヨーロッパのアフリカ人の存在を明らかにする」は、啓蒙的で興奮させる展示だ。

二つの広々とした部屋に、65程度の絵画と彫刻、地図と原稿、カメオ細工、陶器、武具、そしてエナメルが時代順に並べられる。ほとんどの作品は「長い16世紀(1480-1610)」の間に作られたものだ。西アフリカの奴隷貿易が弾みを得ていた。アフリカの沿岸を探検し喜望峰を回ったポルトガル人船長のヴァスコ・ダ・ガマは、貿易のための新しい市場を見つけ、異国の地へのヨーロッパ人の好奇心を満足させるために漕ぎ出した多くの大胆な冒険者たちの一人にすぎなかった。

その展示は、「アフリカの認識」、「奴隷」そして「外交官と支配者」といったテーマに従って分けられている。「アフリカの寓話」と名付けられた一つの彫版は、仔馬の大きさのワニに乗る力強い女性を描く。スペインから追い出されたムスリムは北アフリカに移った。ヨーロッパの大国とアフリカ沿岸を支配したオスマン王国は、地中海で小競り合いを行い、彼らの間の関係はしばしば緊張していた。黄褐色から青黒い肌のものを指す「ムーア」が捕らえられ、ヨーロッパ人の奴隷にされた。ハプスブルグ宮廷のために作られた武具の覆面は、獰猛なムーアのように見えるよう設計された。

しかし、アフリカ人もまた、ヨーロッパを訪れることを選び、宗教的、または外交的な使命を持って旅した。エチオピア巡礼者の派遣団はローマに拠点を置き、接触したフラマンの彫版は「エチオピアのカウンセラーに先例を施す聖フィリップ」を描いた。別の彫版は「コンゴ王の教皇への大使、フンタのドン・アントニオ・マニュエレ」の肖像だ。離れた地に影響力をもとうとする試みは両方で働いたのだ。

奴隷はデッサン、絵画、そして銅像で描かれる。痛ましく見える男の鉄の頭は、彼の首の周りのかせから出ている。アンニーバレ・カラッチのものとされる、時計を握った厳格な身だしなみの良い女性の肖像は、彼女の明白な強い特徴のために印象的だ。

ヨーロッパのほとんどのアフリカ人奴隷は、終生の契約ではなかった。解放された宮廷奴隷は、音楽家になったり、かなりの額のお金を手に入れることができたかもしれない。「富裕な黒人男性の肖像」の中の男性は、ターバンに宝石をつけ、真珠の耳飾りと重い金の鎖が毛皮の襟の上で照り輝く。あるアフリカ人召使は、その父親がのちに教皇となる息子を生んだ。その混血の少年、アレッサンドロはフィレンツェの初代メディチ公になった。彼は、ここで、ブロンジーノによる素晴らしい小さな肖像の主題だ。

その展示でたやすくもっとも輝いた作品は、リスボンの混雑した波止場のそばの大きなパノラマの光景である「アルファマ地区のチャファリズ・デル・レイ」だ。白いポルトガル人が、馬の背に乗った黒人騎士、商人、船員、水運搬人、そして奴隷と混じっている。アフリカ人はその都市の人口の1/10をなしていたと信じられている。

その展示は、四足の、高い、金箔をはった木の、パレルモの聖ベネディクトの彫像の高音で終わる。ベネディクトはシチリアでエチオピア人の奴隷として生まれ、18歳の時に自由になった。彼は、フランシスコ会の僧になり、多くの人に彼の徳と落ち着きで感銘を与えた。17世紀の初めまでに、ベネディクトはイタリア、スペイン、そしてラテンアメリカで崇拝された。彼はアフリカ系アメリカ人の守護聖人で、彼の名を冠した教会はブエノスアイレス、バイーア、そしてブロンクスにまで見ることができる。

歴史家やスピーサー女史のようなキュレーターによってなされ続ける研究のおかげで、我々は今これらの解放アフリカ人たちの何人かが銀行員やゴンドラの船頭、マットレスの製作者、そして延臣になったということを知っている。さらに何人かが名指しできる。しかしながら、多くが依然として発見されなければならないままだ。ルネサンス期ヨーロッパのアフリカ人の生活への研究はまだ終わっていない。それはまだ始まったばかりだ。
 

発行日: 
2013-02-23
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