トラブルを抱える別の問題

最初はユーロ、そしてシェンゲン。ヨーロッパの壮大な統合計画は傷ついているようだ

多くのヨーロッパ人にとって旅行をするときに統合の利益は最も明らかになる。多くの国境では、仕事であれ娯楽であれ、為替やパスポート提示はもはや必要ではない。しかし、両方の大きな統合計画は脅かされている。金融危機や国債危機はユーロを危険にさらし、今ではアラブの春が何千人もの北アフリカのボート難民をもたらし、シェンゲンの国境のない地域の土台を揺るがしている。

ユーロ地域の大変動への反応は「大きなヨーロッパ」だった:より大きなヨーロッパ救済基金、国民経済と財政政策へのブリュッセルによるいっそうの監視。移民危機への最初の反応は小さなヨーロッパを伴った。4月27日にローマで開かれたイタリアとフランスの首脳会談では、国家が「例外的な困難の際に」より簡単に国境管理を復活させることができるようにシェンゲン条約を改定することが要請された。実際に、これは、20000人のチュニジア移民がイタリア領のランペドゥサ島にやってきたことを巡って両国が非難の応酬をしたときに、既に起こった。イタリアは他のEUメンバーがいくらかの移民を受け入れるよう望んだ。彼らがそれを拒絶したとき、イタリアはあるフルビザ(たくらみ)に訴えた:ボート難民に一時居住許可を与え、イタリアに住まず、彼らに早くアルプスを越えさせようとしたのだ。フランスはこれに対して国境近くでの移民の一斉検挙で応じた。イタリア国境の町のヴェンティミグリアで列車を止めることすらし、彼らをイタリアに送り返した。

これにはもっと多くの場面があった。イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領はどちらも弱く、極右の大きな反移民の声に直面している。ブリュッセルへの彼らの共同書簡は、彼らが危機の最先端にいることを示そうとしていた。しかし、それには欧州委員会によってまだ提案されていないものはほとんど含まれていなかった。そしてそれはベルルスコーニの負けを示していた:彼はフランスの(イタリアに対する)域内国境管理の要求を支持したが、彼の要求した、より大きな「連帯意識」には部分的な支持しかえられなかった。フランスは、リビアの内戦による難民のような「巨大な流入」に対する負担の分担には合意したが、しかしそれの意味するところは、現在のチュニジアの経済難民はイタリアにとって管理可能だということだった。(国境管理を強化するために金融やその他の助けは必要だとしても。) そしてベルルスコーニは、フランスは実際にはイタリアよりも年間5倍の移民を受け入れていることを認めた。

これはどれもヨーロッパ中でデモを行う右翼や反移民政党を納得させることはできなかった。ベルルスコーニの連立相手であり最近イタリアがEUにとどまるべきかについて疑問を呈した北部同盟は、イタリアが「フランスの植民地になる」ことに不満を表した。(彼らはまたフランス社によるイタリアの会社の乗っ取りに対するベルルスコーニの黙認や、イタリアのリビア空爆参加への遅れにうろたえていた。) フランスでは、極右の国民戦線の指導者であるマリーヌ・ル・ペンがフランスのシェンゲンからの離脱だけが大量難民を避けられる道だと述べる。(彼女はまたユーロからの離脱も望んでいる。)

議論になっているのは貧しい世界からの移民だけではない。長い間重視されてきたEU市民の域内での居住と就職の自由も時に論戦になる。サルコジ氏は去年ジプシーを東ヨーロッパに国外追放することについて欧州委員会とひどく対立した。オランダでは反ポーランド人感情が起こり、3ヶ月以上職のない東ヨーロッパ人を追い出すよう迫っている。イスラムに対する怒りを爆発させることでよく知られるキングメーカーのヘールト・ウィルダースはポーランド人が犯罪に手を染め、酔っ払い、オランダ人の仕事を盗んでいると非難し始めた。

EU官僚の労働力自由化の利益の信念にもかかわらず、ドイツとオーストリアは新しい加盟国からの労働者への制限をできるだけ長く維持している。5月1日に彼らは2004年にEUに加盟した東欧8カ国からの労働者に国境を開かなければならない。しかしより遅く加盟したルーマニアとブルガリアからの労働者には2014年まで制限が残る。両国は、主に不正とゆるい国境管理を疑うドイツとフランスの要請により、シェンゲン地域から締め出されている。

ユーロ圏とシェンゲン地域は信頼によっている:それぞれの加盟国が健全な公的金融を行い、国境を管理するということだ。信頼が壊れたとき、統合は困難になる。しかし二つの計画には違いもある。ユーロの解体は域内全体に深刻な経済的影響を及ぼしかねないが、国境管理の強化は単に不便をもたらし、少し単一市場をきしませるだけだろう。

開き続けよう

単一市場はEUの大きな成果の一つであり、人、もの、サービス、資本の四つの移動の自由は守る価値があるといわれている。だから移民の管理はまだ大きなヨーロッパを意味するかもしれない。委員会がユーロ圏内の経済をより近く監視するように、それはシェンゲンの国境管理もまた監視すべきだ。(それは今、効果の薄い仲間内の審査に従うだけだ。) 国によって大きな違いのある規則が「亡命ショッピング」にならないように、経済移民と本当の難民をふるいにかける調和した仕組みもまたEUには必要だ。

国境を厳しくするのと同様に、ヨーロッパは外部の圧力を取り除く必要がある。それには、移民輸出国と協力して、流出を管理し、不法移民を戻す必要がある。アラブの春の前に、独裁者は事実上これをするよう買収されていた。そのようなファウストのような協定は北アフリカの有力者が倒れた(チュニジアやエジプト)り、もはや親しくはない(リビア)今、やり続けるのが難しいと証明されたかもしれない。アラブで起こっている民主主義はよりよい取引を期待するかもしれない。それは、より多くの援助、より自由な貿易、そして管理された合法移民を含む。これはEUが交渉するのに最もよい、ある種のパッケージだ。

だが、移民が来るのはまだ止まらないだろう。そしてEUの域外に対する境界が破られたように見えるとき、政府は自分たちの国境を守れるよう主張するだろう。

Charlemagne欄より

 

発行日: 
2011-04-30
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