竹の革新

シリコンヴァレーの基準で中国の革新の原動力を判断することに注意しよう

中国の継続する経済進歩は、大きな変革をもたらす革新のわざを習得することにかかっている。胡錦濤主席は「独立した革新能力」が「我々の国家的開発戦略の核心」である、と独特な調子で話す。懐疑的な人たちは彼の前提には合意するが、革新と独裁は混在しないと嘲笑する。中国が独裁制を維持する限り、大量生産と定形組み立ての世界に囚われる、と彼らは言う。学生の一人であるコン・カオは、中国は「若年性老衰」の未来に直面していると論ずる。

中国は自家製の革新に大きな投資をしてきた。政府はマイクロソフトやグーグルに中国にリサーチセンターを作るよう説得しただけではなかった。政府は 国中に中国版シリコンヴァレーを作る望みを持ってサイエンス・パークを立ち上げた。北京の中関村サイエンスパークはそれだけで何千ものハイテク企業の本社になっている。中国の大学は運営に参加している。例えば北京大学は、「革新と起業家精神」プログラムを立ち上げた。

しかしながら、今までのところ、中国は胡の大きな革新への投資で見るべき成果はほとんどあげていない。一番成功した中国の会社は、レノヴォや百度であり、西洋の製品の低価格版を生産したり、西洋の革新を中国市場に適合させたものだ。中国のヴェンチャーキャピタリストは、ホテルや農業といった既存の産業か、またはものまね技術に投資する。多国籍企業の管理者は、中国の「調査開発」計画は調査よりもはるかに開発を行っていると陰口を叩く。そして政府による革新への巨額の投資はその失敗により帳消しになる。標準を巡る小競り合いは会社に長期的視点を持たせるのを阻害する。ずぼらな知的財産権は最先端の調査を不利にする。国の力は、会社に独自の考えに取り組むよりも政治家にへいこらすることにより時間を割よう仕向ける。

しかし、ジョージア工科大学のダン・ブレズニッツとマイケル・マーフリーによると、中国の独自性欠如問題はあなたが考えているよりも小さいかもしれないという。「赤い女王の疾走」という新しい本の中で、彼らは、革新を単なる壁を突き破るような製品の発明と同等視するのは間違っていると論ずる。新興経済では、他の形の革新がより大きな配当を稼ぎうる。一つは「プロセス・イノヴェーション」で、工場や流通制度の絶え間ない改善だ。もう一つは「プロダクト・イノヴェーション」で、既に存在する製品を中国特有の要求に適合させることだ。

これは特にグローバリゼーションの時代には当てはまる。国境の無い世界は誇張されているという人もいるかもしれないが、会社がますますもっとも効率的に生産できるところに分散させるというのは疑いが無い。もし中国が世界でもっとも効率的な作業場ならば、おそらくそれは世界でもっとも先進的な実験室になる必要は無いだろう。

しかし待ってくれ、とほとんど誰もが言う。インドネシアやヴェトナムの安い労働力は最後には中国の仕事をとるのではないだろうか?必ずしもそうでは無い。ブレズニッツとマーフリーは、中国の会社は大量生産から兵站まですべての面で世界のリーダーになりつつあると論ずる。通信装置を作る華為は既存の技術を再統合し、それを光のようなスピードで市場に届ける名人だ。台湾に本社があるフォックスコンはiPadや他の装置を中国で効率的に生産している。そこの巨大な労働力(この会社は深圳で27万人を雇っている)とその熟達した柔軟な生産のためだ。中国の大学は、西洋ではほとんど忘れさられた工業が重工業のような科目を専攻した科学技術の卒業生の大群をかき混ぜる。珠江デルタには小さなニッチ市場を支配する中小企業が群がっている。

彼らはまた、中国の大きさは商品の罠から守ると指摘する。先進的な技術を13億の中国の消費者の財布と好みに合わせていくときに、誰も中国企業を出し抜くことはできないだろう。レノヴォは安いコンピューターを多くのお金を持っていない人たちにうるわざを習得した。百度はどのようにインターネットを中国人の特性に合わせて提供するかを学んだ。そのウェブページは特にグーグルのようだが、百度は中国の特性を扱う点でグーグルの上を行った。言い換えれば、中国は申し分なく世界の中間業者に位置している。最新の開発に追いつくために十分に革新の先端に近く、新しい考えを大衆市場に合わせるのに長けている。

 

中間業者としての中王国

しかし、彼らの強気を持ってしても、ブレズニッツとマーフリーは二つの難点を見出した。一つ目は、中国の体制の「独立した革新」への執念だ。これにより、資源を疑わしい革新の擁護者たちにつぎ込み、一方でそれは同時に大部分を占める民間部門の会社の行く手に多くの障害物をまき散らす。二つ目は、中間業者になる難しさだ。中間業者は大きなリスクを抱える。もし最上位の革新者がつまづいたら、中国では、その巨大な工場と無駄を削ぎ落とした流通経路で何も 生産したり配達したりするものが無くなってしまうかもしれない。また中間業者は切られ兼ねない。多国籍企業が自分たちの考えが中国で盗まれるのに疲れたとき、多くは調査開発拠点を他に移す。

中国モデルの最大の恐れは、奇妙なことにこの本で公然と言及されている国からやってくる。インドは、中国の利点の多く、安くて豊富な労働力といったものと、民主的な政治制度やアングロサクソン式法制度といったものを併せ持っている。インドは大量生産技術をITサーヴィスに応用したとき、中国に勝っている。インドはまた、大衆市場に向けて根本的に再設計することになったとき、中国よりも想像力に富んでいることが証明されている。にもかかわらず、「赤い 女王の疾走」は重要な本だ。それは中国の官僚と西洋の専門家に中国の「革新の欠点」について語る前によく考えさせることになる。

 

発行日: 
2011-05-07
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