鳩舎の中のコロンブスたち - 鳥の磁気感覚

鳥は地球の磁場によって航行することができる。彼らがいかにそうするかということは、依然として謎だ

磁石がなければ、人々はどこにいるだろうか?短い答えは、道に迷う、だ。人類に(今のところは目に見えない地球の磁場を感知する能力である)第6感を与えることによって、コンパスはこれまでで最も重要な発明の一つだと証明された。それにより、船員は夜の空の光景なしに航行する。そして、それは、現代世界の政治的地理を作りだした発見、貿易、そして征服の旅へ導いた。

それならば、自分の作り付けのコンパスを持っている動物は何を成し遂げることができるか想像してみよう。彼らはグラインドボーンやヘンリーでイングランドの季節を楽しみ、モンバサの暖かさで冬を越すかもしれない。彼らは大胆な開拓者のように、アンゴラからアンカレッジに出発するかもしれない。彼らは、もし本当に旅行熱にとらわれ、暗闇を嫌っているのならば、極から極へ移動することによってほぼ年がら年中日の光の下で生活すらするかもしれない。

そしてそれが、まさにいくつかの鳥がしていることだ。ツバメはヨーロッパとアフリカの間を旅行する。ハシグロヒタキはアフリカからアラスカに飛び、そして戻る。キョクアジサシは毎年その惑星の片端から反対側に旅する。そして、彼らは、少なくとも幾分かは、人間が持たない磁気の感覚を持っているから、そうできるのだ。

もっとも一般的な鳥類の航行の技は、家に帰る鳩によってやってのけられている。帰結として、鳩はしばしば自分たちが、いかに鳥一般が航行し、特に磁場の感覚がいかに実際に機能しているのかについての調査の先端にいることを見つける。鳩がそのような感覚を持っているということは、ニューヨーク北部のコーネル大学のウィリアム・キートンが磁石を鳩につけて彼らが依然として帰宅できるかどうかを見ることによって、40年以上前に示された。磁力を持たないダミーをつけたものは完全にうまくできたが、本物をつけたものはできなかった。それ以来、他の種での実験が、磁力への敏感性が鳥の間で一般的だと示している。これらの実験が示していないことは、しかしながら、いかに鳥がそれをするかだ。
 

見るのか、聞くのか、におうのか?

二つの理論がある。一つは、磁力センサーが、その名が示唆する通り簡単に磁化する酸化鉄の形で、磁鉄鉱の粒だということだ。他のものは、地球の磁場が、量子力学の不可解な深さに到達するやり方で、網膜の中の特定の化学反応に影響するというものだ。

磁鉄鉱仮説は、鳥のくちばしに集中する。磁鉄鉱の粒は生物の中に一般的にあり、バクテリアの磁気感知に関与しているとして知られる。鳥では、それらは特にくちばしに豊富にある。だから、去年、ウィーンの分子病理学研究所のデヴィッド・ケーズは、さらに理解するために、200近くの不運な鳩たちのくちばしを切開した。

彼の発見したものは、励まされるものではなかった。実に、たくさんの磁鉄鉱の粒があったのだ。しかし、彼は、それらが、舌の味蕾や耳の有毛細胞のような特別な感覚細胞の中に固まっていることを期待していた。代わりに、彼はそのくちばしの磁鉄鉱がほとんどマクロファッジの中にあることを発見した。これらは、その仕事が、アメーバのように動き回って、進むときにバクテリアやほかの体細胞からの破片をかみ砕くことである細胞だ。だから、磁気感知器の候補ではなさそうだ。

けれども、他の実験は、くちばしが関わっていることを示唆する。それを脳とつなげる神経は、三叉神経として知られている。ドイツのオルデンブルク大学のドミニク・へイヤーとヘンリク・モウリツェンが、ヨシキリの三叉神経を切断した時、その鳥のどちらが北かを探知する能力はそのままだった。しかしながら、彼らは伏角(水平線からのずれの角度)の感覚を失った。傾斜は、航行の別の重要な部分である緯度を指し示す。

問題をさらに複雑にするのは、くちばしで何が起こっているかのケーズ博士の解釈を受け入れる人もいるが、彼らは関連する磁鉄鉱はほかのところ、つまり同じように酸化鉄が豊富な耳の有毛細胞にあると考えていることだ。もし彼らが正しければ、それから鳥の見方で言えば、彼らは磁気信号を多分「聴いている」のだ。

けれども、鼻の磁鉄鉱仮説の主要な代替案は、鳥が磁場を聞いているということではなく、彼らはそれを見ている、と言うものだ。これへの証拠の一つの線は、目から直接入力を得るクラスターNと呼ばれる鳥の脳の一部が、磁気感知に関与しているようだ、と言うことだ。モウリツェン博士のチームがコマドリで行った実験は、クラスターNを破壊することは、鳥の北を感知する能力を破壊(彼らは傾斜の問題は見なかった)することを示し、マキバタヒバリでの別の実験は、クラスターNの中の細胞が、磁気感覚を使っていない時よりも使っているときの方がはるかに活発だということを示す。

この考えへの問題は、鳥の目はその中に磁鉱石を持っていないということだ。もしそれらが磁気検知器を持っているのならば、これらの検知器は何かほかのものでなければならない。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で働いているクラウス・シュルテンによって進められた仮説によれば、その何かは、クリプトクロムと呼ばれる網膜タンパク質の一種だという。光に当てられた時、クリプトクロムは、電気的に中立だがペアになっていない電子をその中に持つ、遊離基と呼ばれる分子のペアを生み出す。電子は小さな磁石なので、彼らはお互い惹きつけ、彼らの合同磁場を中立化するやり方でペアをつくる傾向にある。しかしながら、ペアになっていない電子は、磁気を帯びたままで、故に地球の磁場に対して敏感なのだ。

さらに、遊離基の中のペアになっていない電子は、遊離基を形成するために別れた分子の中でもともとペアになったものなので、量子力学はこれらの電子が「もつれた」ままだと検知する。これは、どんなに遠く離れて彼らが飛んでも、ひとつに起こったことはほかのものの行動に影響することを意味する。二つの遊離基が別れた時に地球の磁場を感じる異なったやり方は、それらが、神経の刺激の引き金を引くものを含む、ほかの化学物質に反応するやり方を変えるのに十分で、もつれを経由してそれらがこの情報をお互いに「転送」し、故にお互いの反応に影響すると計算する。

これは、鳥の脳が磁場を解釈するには十分だろう、とその計算は指し示す。それはたぶん、その目の前に点の傾向を見るだろう。その点は、その鳥がその頭を横から横までスキャンするときに、静止したままだろう。そして、鳥の中には、磁気的な北の方向を調べるときに、実に、その頭をこのようにスキャンするものがいるのだ。

もちろん、どちらの仮説も正しく、鳥が二つの磁気感覚、たぶん一つが北の探知に集中し、もう一つが傾きを検知するものを持っているというのはありうる。しかし、この謎めいた第六感の一部さえも、さらになお謎めいた、アインシュタインが「離れた所での気味の悪い行動」と描いた、量子効果に依存しているという考えについては、特に詩的なものだ。
 

発行日: 
2013-07-13
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