新しい特別な関係 - 英国と新興市場企業

経済的暗がりの中で、英国は重要な世界的傾向の最先端にいる

4世紀ほど前、英国資本はインドに流れ込み、東インド会社を作り、帝国の基礎を敷き始めた。今、資本は反対の方向に流れている。過去10年間、鉄鋼や土木工事から、化学、通信、そしてお茶に至るまで広がるタタグループは、有名な英国企業を買い占めるのに150億ドルを使っている。テトリー紅茶についで、コーラス(元のブリティッシュ・スティール)、二つのもっとも典型的な英国車のメーカーであるジャガー・ランド・ローヴァー(JLR)、そして(それが全ての帝国の道を行くまで)インペリアル・ケミカル・インダストリーズだったものの元の企業の一つブルーナー・モンドが後に続いた。それらの買収の結果として、タタは今では英国最大の産業雇用者である。

ある程度、これは単に新興市場の巨人たちの勃興という大きな物語の中の英国の章に過ぎない。ブラジル、インド、中国、そしてロシアといった国々からのFT500リストに載っている会社の数は、2006-08年の間に20から62と3倍になった。新興市場の王者たちは、ビジネスのほとんどすべての分野で、その名を刻んでいる。航空業界でのブラジルのエンブラエル、通信業界での中国の華為(ファーウェイ)、そしてインドのタタは、車や化学から一般消費財やITまで全てにおいてだ。2010年に新興市場の企業は世界の2.4兆ドルのM&Aの帳簿の内、1/3を占めている。

彼らの前の日本企業や韓国企業のように、インドや中国の大物は、地域的なビジネスではなく、世界的なビジネスを打ち立てたいと思っている。自分の市場でのビジネスをする政治的リスクに対して、保険をかけることに熱心なものもいる。しかし、ほとんど彼らは、世界中からの技術や利点を混ぜあわせてヴァリューチェーンを格上げしたいと思っている。タタは、ブラジルのマルコ・ポーロを買うことによってどのようにバスを組み立てるかを、そして、ランド・ローヴァーを買うことによって洗練されたオフロードカーを作るかを学んだ。
 

投資し返す帝国

古い帝国地図は、これに影響している。グローバリゼーションに関する最近の本の著者のパンカジ・ゲマワットは、スペイン、ポルトガル、そして英国の帝国は、これらの新しい経済的結びつきを通して再び出現するだろうと考えている。依然として、英国は、(2004年に英国のPMCを買った)メキシコのセメックス、(今年北東部の製鉄所を買って再開したタイ企業の)サハヴィリヤ製鉄産業、そして今年アバディーンのダナ石油を買った韓国の国営石油会社といった亜大陸以外からの会社にとってさえ、特に魅力的なように見える。世界銀行によれば、2000-10年の間に、英国は1,290億ドルの新興市場からの買収対象だった。(1,930億ドルの)アメリカだけがそれより多かった。経済規模で見ると、英国はアメリカの4倍の買収を受けたのだ。

英国の成功の理由の一つは、その比較的開放的な経済だ。外国企業にとって、英国企業を乗っ取るのはアメリカ企業よりも簡単だ。そして、ペプシコがダノンを乗っ取る交渉をしていたときにフランスで起こったように、ヨーグルトが戦略的産業だと宣告されるおそれは殆ど無い。ラクシュミー・ミッタルの鉄鋼会社が2006年にアルセロールを乗っ取ろうとしたときに、そのインド人は大陸ヨーロッパからの反抗の嵐に直面していたが、露骨な憤慨の囁きの中で、7年間英国でもっとも豊かな住人だったことは注目すべきだ。

他の魅力は、新興市場の多国籍企業が欲する2つのものを大量に供給できることだ。専門性と強いブランド力だ。英国の帝国主義の過去と商業範囲は、それが世界的に成功した消費者ブランドをたくさん産んできたことを意味する。それが、去年のアメリカのクラフトによる大事にしている英国ブランドのキャドバリーの議論を呼んだ買い付けのように、タタにとってのテトリーの魅力だった。そして、英国は、法、会計、ブランディングといった、これらの新しい巨人企業が必要としている技術の世界的な中心だ。それに加えて、ロンドンのシティや英国への簡単なアクセスは、とても魅力的になった。それが、ひと世代前に英国では採鉱が死んだにもかかわらず、世界の先導的な採鉱会社の多くがその本社をロンドンに移している理由を説明する。タタにとって、JLRは世界的ブランドと頑丈な4輪駆動車を創りだした技術力を結びつけた。コーラスはタタ製鉄にかけている巧みな型の鉄鋼の専門性を持っている。たたは、これらの技術を取り上げ、それを自分の事業に注入することを狙っている。それは母国に持ち帰るだけでなく、それがものを売っている多くの他の国でもそうするためだ。

もちろん、全ての取引が購入者にとって良いものだと証明されるわけではない。バブル期に安い融資を受けたものは、恐らくバラバラになるだろう。しかし、新興市場の多国籍企業が世界市場の制服に熱心なので、外国ブランドと専門性の買収には意味がある。彼らは英国が彼らを歓迎する限りはやって来続ける。
 

英国オープンに勝っている

キャドバリーについての大騒ぎが示すように、全ての国々のように、買収者が事業を裸にし、外国に持っていくのではないかという外資の乗っ取りに対するある程度残った心配が英国にある。しかし、最近、経営者はその母国市場にそれほど根付いていない。近年の乗っ取り(日本のNSGグループのピルキントン、GEのアマシャム、そしてテレフォニカのO2の買収を考えてみると良い)は、英国に本社を残したり、合併した世界的グループの共同本社になったりした。タタのような会社は工場を閉鎖してインドに機械を持っていくというようなことはしていない。

より一般的に、外資を誘致することは国内の王者を守ることよりも英国の経済的未来にとってより良い基盤となる。ロンドンのシティは、概ねヨーロッパでもっとも開放的な金融市場として栄えた。多くの研究が、英国では国産の事業よりも外資の工場のほうがより生産的だと示している。1980年代に英国の自動車産業が死んでいたときにやってきた日産、ホンダ、トヨタはその事業を生き返らせた。ローヴァーが崩壊したときにフォードとBMWはジャガーやランド・ローヴァーを利益が出るようにするのに失敗したが、タタは両方を方向転換させるのに成功した。

全体として、英国人は新参者を歓迎しているようだ。恐らく、次の大きな買収者が家父長的なインドの複合企業ではなく国の後押しを受けた中国企業ならば、それは変わるかもしれない。恐らく、英国は彼らの金がそれほど欲しくなくなれば外国人に対してより保護的になるだろう。しかし労働組合員でさえ、最近は外資に対して一般的に友好的だ。英国のかつての植民地が主人として帰ってくるに連れて、帝国主義後の後悔の雰囲気はかなりなくなる。
 

発行日: 
2011-09-10
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