会社を縛るがんじがらめの仕組み - 消費税論議から考える(4)

経団連という団体が、なぜあれほどまでに教条的、宗教的、しかもわかる人にしかわからないという意味ではかなりプリミティヴな宗教にこり固まった主張をするのか、ということをずっと考えていた。

わ たしは、それが、全体的な整合性なく積み重ねられた現在の法制度の様々な矛盾が、株式会社、という組織で最も顕著に表れやすいからではないか、と 考えた。個人ならば、矛盾があっても、世の中ってそんなもんだよね、という感じで納得してしまう。官庁ならば、自分のところの法律が一番だと主張すればそ れですんでしまう。しかしながら、企業はそうはいかない。あちこちの官庁に顔を立て、法律で守られた消費者、労働者、株主に顔を立て、なおかつ利益を出し ていくとなったら、それこそ宗教的なものにでもすがらないと、とてもではないが一貫性のある方策など立てられない。そういった企業を集約した、経団連とい う団体があのような奇矯な主張をするのは全く宜なるかな、という気がするのだ。

その中でも特に悲惨なのが、役員の立場だ。一般の従業員は まだよい。雇用契約を持ち、労働基準法に守られ、労働者としてはっきり立場を主張できる。 一方で株主はもっと気楽なものだ。有限責任などと言うものすごく甘やかされた条件で商法にがっちり守られ、所有者、使用者として好き放題のことを言ってい ればよいのだから。その矛盾は、すべてが中間管理職とでも言うべき役員にしわ寄せされている。労働基準法では使用者扱いされ、労働者としての権利は主張で きない。一方で商法ではたかだか株主との間の委任契約とされ、受任者、つまり株主に対する発言権などはなきに等しい。にもかかわらず、税法では役員として さんざん手枷足枷をはめられた上に委任契約にもかかわらず源泉徴収までされると来たものだ。いったいどんな物好きが好きこのんで役員になんてなるものか。 創業者はまだいい。自分が主要株主として行動できるので、おそらく株主としての立場と役員としての立場の区別など特に気にかけることもないだろう。問題な のは、一般の労働者にとって、ある意味人生の目的の一つともいえる役員というものが、実は責任ばかりかぶせられ、ほとんど名目上のメリットしかないという このどうしようもなく不毛な社会制度だ。彼らにとって取り得る立場は、普通に考えれば、役員を目指すにしろ目指さないにしろ、労働者の立場はしっかり強化 し、その中でなるべく自社の株を取得して株主としての立場を確立していき、いざ役員になる順番が回ってきたら、立場の不安定なご用人として株主に精一杯仕 え、あとは株主として生きていく、ということになるのだろう。株主が会社のことを考えるなどとは言っても、所詮は有限責任の話。要するに自分が損をしない ように切り抜けていくことを奨励する制度だ。こんな仕組みの中で会社のため、などと発言すること自体の、薄ら寒いほどの白々しさ。会社のため、ということ を定義すると言うことが全く仕組みの中にビルトインされていない状態で、利益、とりわけ株主利益以外のものを会社のためだ、と発言できる余地がいったいど こにあるというのだ。

この状態をどう考えるのか、という点についてはいろいろ意見もあるだろうし、私が何かこれ、といった明快な解答を持っ ているわけでもないが、私の感覚で言えば、株主の力が強すぎるのだろうと思う。三権分立的な考え方で行けば、株主、役員、労働者はそれぞれ牽制機能を持っ ていた方が望ましい(と私は考える)のだが、この中では株主が飛び抜けて強い力を持ちすぎている。誰も株主を止めることができないのだ。私なりの経済史観 で見てみると、これは資本の希少性を前提にした制度なのだろうと思う。資本が手に入れにくく、それを誰もが欲しがる歴史的状況においては、株主の立場を優 遇して産業化を進めていくとい うのはとても合理的な制度だったのだろうと思う。しかし、今では、これに関しても意見はいろいろあるとは思うが、私は資本の希少性というものは事実上なく なっているが、制度がそれに追いついていないが故に、依然として資本は希少であると誰もが思い込んでいる状態ではないのか、と私は考えている。そのような 状況において、株主を必要以上に優遇する現在の社会制度は、本当に合理的なのだろうか?それが望ましい社会を開いていくという論理的な絵図を描くことはで きるのだろうか?

最初の問題提起に戻ると、これらのもやもやが、経団連という団体をして、宗教的ともいえる主張を繰り返させる原因ではな いか、と考えるのである。 ちょっと大きな話になりすぎて、趣旨から外れつつあるので、次回からはもう少し税制度に話を戻しつつ何とか消費税の話につなげられるようにしていきたい。

 

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