消費とは何か? - 消費税論議から考える(6)

そろそろ消費税の話に入らないといい加減飽きられてしまいそうなので、本題に少しずつ入っていきたい。とは言ってもやはりひねくれ者なので、いきなり税の話をするわけではなく、現行の消費税が対象としている「消費」とはいったい何なのか、というところを吟味してみたい。

私 のような、およそ文化的、人間らしい生活からかけ離れた人間から言わせれば、広辞苑に書いてあるような定義としての「生産の表裏の関係をなす経済現象」で ある消費とは、衣食住や医療に関わるもの以外ではないのか、という気がしている。社会というものが生命の再生産により継続していくと考えるのなら ば、その生命の生産に関わるもの、特に直接的には食料がなければ、人は再生産どころか生きていくことすらできないのだが、現行の消費税の定義によると、食 料も消費であるらしい。ではいったい消費では無いものとは何なのだろうか?

まず目につくのは、給与である。何を根拠に給与が消費ではないと 考えられているのだろうか?資産の譲渡ではないと言うことであるのならば、役務提供 はすべて非課税になるべきだが、そうではない。生産活動に供するものだから、というのならば、なぜ企業の生産は不課税扱いになり、人の生産に不可欠な食料 は不課税にならないのか、という理屈が通らない。国税局の説明による「雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たら ないからです。」などと言うのはほとんど意味不明。事業として行う資産の譲渡等に当たらないものならば、一般家計の消費はすべてそうではないのだろうか?

で は、これは企業の生産活動を促進するために不課税扱いにされているのか、ということになると、またそこにも疑問が残る。生産活動を促進するためな らば、少なくとも企業に関しては、実物投資は課税せずに、金融投資を課税すべきなのだが、実態は逆だ。固定資産の購入には消費税がかかり、金融資産の購入 にはかからないのだ。さらに言えば、金融資産の取引を業としている金融機関は金融資産について「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け及び 役務の提供」をしているわけだから、当然消費税の課税対象のはずなのに、ここも課税ではない。

それでは、企業の資本を守るものは非課税で、そうで無いものは課税なのか、というとそれもまたそうではなない。企業の資本を最も「消費」している配当は、これまた非課税なのだ。全く支離滅裂でご都合主義的に「消費」という言葉を使っていることが明らかだ。

全 く筋が通っていないのか、というと、そうでもない。要するに、資本家が出資した資本を増やす行為が生産で、それ以外のものが「消費」なのであろ う。私は別にマルキストではないので、資本家が悪だ、などと言うつもりは全くないのだが、「公平」を売り物にして導入する税制度が明らかに一つの価値観で 「公平」を定義し、しかもそれを明らかにすることもなく押しつけるという行為に異議を申し立てているのだ。資本家の富を増やすことが政策の最優先課題だと 考えているのならば、それを明らかにし、その意義を説得して納得を得てから正々堂々と導入すべきだ、といっているのだ。それをしないのは、気づいていない のならば、率直に言って政策を語る能力がないし、気づいていてやっているのならば、政策を語る資格がないのだろう。

これについての私の立 場を明らかにしておけば、ずっと言っているように、私は資本が経済のボトルネックである時代はもはや終わったと感じているの で、他を犠牲にしてまでそれを最優先するという政策は全く評価できない。これもずっと言っているように、消費税自体に反対なのだが、それでももしやるとい うのならば、せめて消費というものをきちんと定義してからにしてほしい。そして導入するのならば全取引に本当に公平に、それができないのならば優先順位を つけた理由は明確に説明してほしい。たとえば企業の生産活動を優遇するのであれば、固定資産投資と金融資産投資をどうすべきなのか(単純に固定資産を非課 税にすればいいと言っているのではなく、むしろ金融資産投資を課税にした方が効果が高いと思っているが)、配当に対して課税した方が資本の欠損を防ぐこと ができるのではないか、ということを議論してからやってほしいと言うことを主張しているだけのことだ。

余談となるが、私は、この議論を通 して、サプライサイダーとは何者なのか、という議論が広がることを期待している。それは企業の生産力を上げるとい う意味でのサプライサイダーなのか、それとも資本の生産性を上げるという意味でのサプライサイダーなのかと言うことだ。ここを明確に分けて議論しないと、 出てくる政策は足して2で割ったような(私の言うところのプリミティヴな宗教のような)どうしようも無いものになってしまうと言うことを警告しておきた い。

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