消費税の持続可能性 - 消費税論議から考える(8)

どうも政府の論調を眺めていると、一つの思い込みが感じられる。それは、持続可能な社会保障制度のためには消費税が最適だ、というものだ。はたして消費税というのは持続可能なのだろうか?

確 かに安定的な財源ではあろう。当たり前のことだ。経済の最も基本となる取引の部分に手を突っ込んで、そこから金をとろうというのだから。でも、普通の常識 を持っている人ならば、当然わかると思うのだが、例えば、パソコンの調子が悪くなったから、と言ってろくな知識もないのにいきなりOSに手を突っ 込んでその部分だけ直すなどということはふつうはしない。確かにそこは治るかもしれないが、他の部分に与える影響があまりに大きすぎるからだ。普通の人な らばそのようなことをせず、調子の悪いソフトを入れ替えるなど、アプリケーションレヴェルで対応するものだ。それが、他の制度(アプリケーション)は汎用 性がないから、汎用性のあるところ(OS)で対応すべきだ、などと主張する。そう主張するのならば徹底的に汎用的な制度にすべきなのに、そうはせずに見た 目だけ汎用的なように見せようとする。それをいじることがどれだけ資源配分をゆがませるのか、ということを本当に考えているのだろうか?

少 しわき道にそれたが、ずっと主張してきているように、消費税はデフレ促進的な税制度だ。安定的であるといっても、それはひたすら縮小均衡的な安定性であっ て、他の手法でかなりインフレをあおらない限りは、基本的にはパイは小さくなっていく。そしてインフレをあおることはまた資源配分をゆがませるだ ろう。そこまでして基本的にデフレ志向的な消費税を強化する必要がどこにあるというのだろうか?それに持続可能性があると主張するのならば、少なくともデ フレのもとで持続を確保できる理論的枠組みというものをまずは準備すべきだろう。それができないのならば、消費税がデフレを促進しないやり方を考えるべき だし、それも無理だというのならば消費税を導入すべきではない。こんな理屈は子供が考えたってわかるものだ。私には、一つ目のデフレ下の持続可能性の理論 化はどうしても思いつかない。二つ目のデフレを促進しないやり方は不完全ながらも前回提案したが、とても現実的とは思えない。だから私は消費税をやるべき ではないと主張しているのだ。

それでも不退転の決意でやるという人に、私はどのように対応したらよいのか全く分からないのだが、基本的なロ ジックの混乱を一つだけは指摘しておかざるを得ないだろう。私は基本的な立場として行財政改革に反対するものではないが、それを消費増税のエクスキューズ に使うというのは全く意味不明であると いうことだ。確かに財政のロジックで言えば、削るべきところを削ってとれるところから取るというひたすら財政再建一本で筋が通っているというべきなのかも しれないが、私に言わせれば、そんなのはおたくの内輪の論理でしょ、ということだ。どこの家計が、借金まみれだからといって、店に値引きを要求し、会社に 昇給を要求できるというのだ。そんなことが世間の常識として通じると思っていることが本当に信じがたい。マクロ経済的にデフレ下でデフレ政策をデフレ政策 のエクスキューズに使うなどというのは、どう考えても正当化できるものではない。そして財政とマクロ経済とどちらが国民生活に影響を与えるか、などという のは言うまでもないことだ。デフレ下ですが、申し訳ないが不退転の覚悟で行財政改革はやらしていただきます、でも一方でデフレ対策は徹底的にやります、と いうのなら何とか理解もできようというのだが、不退転の覚悟で消費税を上げるためにアリバイで行財政改革もやりますなどというのは全く理解不能な話だ。そ こにどのような(そして誰にとっての)持続可能性のロジックがあるのかを明確に説明する必要があるだろう。

なんか、寄り道をしていたら、 今日書こうと思っていたところに頑張ってもどうしてもたどり着けなくなってしまったのだが、無理やり気味に話を変えます。先週書かなかったが、もう一つだ けより簡単に消費税のデフレ性向を避ける方法もある。これも私は基本的にあまり筋がいい政策だとは思わないのだが、消費税をやるのならばやらざるを得ない だろうというのが、いわゆるトービン税だ。制度設計次第だが、一般的に言えば、消費税率よりもトービン税の税率を高く すれば、金融資産の購入よりも実体資産の購入のほうが有利になり、デフレ抑制効果は出るだろう。バランス的には持続可能性を担保しやすいのかもしれない。 ただ、金融の話は詳しくないのでよくわからないのだが、やっぱりこれも制度設計的には消費税と同じくらい難しい話なのではないのだろうか、という気はす る。

というわけで、一番言いたいことは、消費税をベースにして持続可能な社会を構想するというのは、最初にも書いたように、OSを一から書くようなもので、非常に大変なことですよ、ということだ。ちょっと支離滅裂気味ですが、とりあえず今週はここまでにしておきます。

 

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