ポンプ・プライマー - 現代哲学

(書評)

Intuition Pumps and Other Tools for Thinking (思考への直観ポンプとほかの道具)
By Daniel Dennett, W.W. Norton

「思考は難しい」ダニエル・デネットは認める。「いくつかの問題について考えることは、とても難しいので、それらについて考えることを考えるだけで頭痛を引き起こすこともある。」デネット氏は知るべきだ。タフツ大学の哲学教授の彼は、半世紀を辺りのもっとも解決が困難な問題を考えることに費やしている。意味の性質、心の実体、そして自由意志が可能かどうか、といったことだ。彼の新著、『思考への直観ポンプとほかの道具』は、77のわかりやすくほとんどが一口サイズの章に蒸留された、この50年間の要約だ。

「直観ポンプ」は、デネット氏が、概念の核心に到達することを狙った思考実験を呼んだものだ。彼は何年にもわたってたくさん案出しており、そのいくつかを共有している。しかし、この本の狙いは、単にいかにそのポンプが機能するかを示すことではなく、読者が最も深淵(で偏頭痛を誘発する)難問のいくつかを考え抜くのを助けるためにそれらを展開することだ。

例として、人間の心をとってみる。心は、本質的に、脳が賢いことをしているときに座っている、小さな男またはホムンクルスだ、と言う昔ながらの考えは、間もなく問題になる。誰がその小さな男の中で賢いことのすべてをしているのか?しかし、デネット氏はこの無限の退行から抜け出すやり方を提供する。小さな男の代わりに、脳が階層的なシステムだったらどうだろう?

もちろんAIシステムは、特定の仕事をするために賢い設計者によってトップダウンで設計される。しかし、何か似たものが底から作り上げられないという理由はない。神経細胞から始めてみる。それらは、少なくともどのような興味深い意味でも、意識的ではなく、そしてさらなる退行に対してとても安全だ。しかし、そこから彼らが深化した心のない単一細胞器官のように(そして最も退屈な仕事を成し遂げる機械のように)、それぞれは脳の競争的環境の中でそれが生き残るために必要なエネルギーや素材を確保することができる。成長するその神経細胞は、「それらがより効率的にネットワーク化し、大規模の人間の目的と衝動が認識できる(より高い)階層のより影響力のある傾向に貢献できる」ので、そうする。

それから、この見方から、人間の心は、完全に(世界王者のガルリ・カスパロフにチェスで買ったことで有名なIBMのコンピューターの)ディープ・ブルーとは完全に違っているわけではない。カスパロフ氏の脳の正確な構造は、確かにディープ・ブルーのものとは違う。しかし、それは依然として「それがありそうもない枝に時間を費やさないようにする発見的な刈り込み技術の目立った塊を、時をかけて打ち立てている、巨大に並行する検索エンジン」だ。

ディープ・ブルーとカスパロフ氏の心が確かに実体的に異なっていると主張する人々は、これに難色を示す。彼らはかなり正しいかもしれない。しかし、彼らは、人間の心が、原理上ですらも名前以外は旧式のホムンクルスである科学の到達範囲を超えている不思議な心を形成する特性を持った、「不思議の繊維」からなっていると、事実上主張しているので、立証責任は彼らにある、とデネット氏は論ずる。

デネット氏の本は、そのような幻覚を持つ人々には決定的な解決ではない。それは、活動中の哲学なのだ。すべての良い哲学のように、個人的自立性のような我々の最も基本的な環新のいくつかについての、深く持たれているが口には出されない信念を、読者に検査させることによって、それは機能する。それは簡単な読み物ではない。いくつかの一節について一度以上耽読することを期待する。しかし、知的満足感を考えると、デネット氏の明白でウィットに富み幸いにも専門用語を使っていない散文は、読みでがあり、それはバグではなく特徴だ。
 

発行日: 
2013-06-15
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