宇宙の割合の問題 - 暗黒エネルギー

宇宙で最も豊富にある物質である暗黒エネルギーの研究のために、3つの実験が始まっているが、それが存在しないと示すと主張する理論が発表されたばかりだ

1920年代に、天文学者たちは宇宙が彼らから離れていると認識した。銀河がさらに離れれば離れるほど、それは早く後退するのだ。論理的に、これは、すべてのものがかつては一つの場所にあったことを意味する。ビッグバン理論につながったその発見は、現代宇宙学の始まりだった。

しかしながら、1998年に、新世代の天文学者たちが、宇宙は拡大しているだけではなく、かつてないほどに早い速度でそうしていることを発見した。誰も、何がこの加速する拡大の原因なのかはわからないが、それは何であれ名前を与えられている。それは暗黒エネルギーとして知られており、その性質が謎だとしても、その影響は、その量が計算されうるということだ。決定されうる限りでは、それは宇宙の中で質量の2/3を構成し(そしてそれ故にエネルギーの2/3に等しい)ている。それは、故に、文字通り、大きなものだ。もし暗黒エネルギーを理解しなければ、本当に現実を理解することはできない。

宇宙学者たちは、それ故に、暗黒エネルギーについての闇を晴らすことに熱心で、3つの実験(二つはチリで、ひとつはハワイで行われる)が、彼らがそうすることを助けてしかるべきだ。これらの実験は、ほとんど宇宙の始まりまでさかのぼってみて、銀河間、そして銀河群間の関係を、前例のない詳しさで計測する。それらがなされるとき、暗黒エネルギーの性質は未解決のままかもしれないが、それは少なくともより明らかになって当然だ。

すなわち、それが実際に存在するかだ。宇宙学的信念に凝り固まった人たちにとっては、それは依然として信じられない。彼らは、他の人たちが暗黒エネルギーの仮説を立てる観察を否定はしないが、その結論を否定する。彼らにとって、これらの実験は、代わりの理論を試す機会を提供するものなのだ。
 

暗闇と夜明け

新しい実験の最も進んだところは、去年アタカマ砂漠の海抜2,200メートル地点にあるチリのセロ・トロロ・汎米天文台に設置された5トンの570メガピクセルの暗黒エネルギーカメラだ。それは、5年間にわたって525晩、400枚の1ギガバイトの写真を撮り、数週間のうちに事業に開かれる予定だ。

この写真のマラソンは、シカゴ大学のジョシュア・フリーマンによって率いられた暗黒エネルギー調査(DES)の一部だ。フリーマン博士の計画は、空の1/8をスキャンし、そうする中で10万の銀河の群を調べ、これらの群れの中の3億の個別銀河の距離を測ることだ。

このすべての努力の理由は、銀河の群の大きさと形の時を経ての変わり方を追うことは、重力と暗黒エネルギーとの間の戦いをラウンドごとに詳細に調べることができるようにするからだ。宇宙の拡大を減速させる傾向にある重力は、群れをより密着させる原因となる。宇宙の拡大の速度を上げる傾向にある暗黒エネルギーは、群れが広がる原因となる。群の収縮率か拡大率は、二つの力の相対的な強さを示す。フリーマン博士と彼の同僚は、その歴史の静止画しか見ることができないので、どの群の変化の後も追うことができない。しかし、様々な年齢の群の間の違いを見ることは、次善の策だ。

以前の観察は、宇宙の137億年の歴史の半分以上にわたって、重力が優勢だったと示唆している。暗黒エネリギーがそれにとってかわったのは、ほんの約60億年前だ。DESは、光速100億年までの群を単に方便的に見ることによって100億年までさかのぼってみて、特に変移期の研究をしたいと思っている。

新しい実験の二つ目である、東京のカブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉に率いられたすばる望遠鏡(SUMIRE)は、ハワイの山頂にある。それは、暗黒エネルギーカメラと似たようなやり方だが、よりよく、来年にデータを集め始める。それは、空の1/8ではなく1/10しか見ないが、100億光年よりもさらに遠く130億光年まで見ることができる。それはまた、暗黒エネルギーカメラよりも多くの便利な機能を持っている。特に、それは赤方偏移を調べるために統合分光写真機を持っているのだ。

赤方偏移は、天文学者のもっとも重要な情報源の一つだ。それらは、銀河がどれだけ離れているかを教えてくれる。それらは、地球上ではパトカーや救急車のサイレンが近づくときと離れる時で高さが変わることで知られている現象であるドップラー効果によって引き起こされる。光もまた、ドップラーの変化に従い、後退する物体からの光は故にそうでないものよりも赤い(すなわち長い波長の)ものになる。物体が早く動けば動くほど、それはより赤くなる。エドウィン・ハッブルに率いられた1920年代の天文学者たちが宇宙が拡大していることを見つけることができるようにしたのは、これだったのだ。分光写真機を持っていない暗黒エネルギーカメラは、赤方偏移を計測するためには、それを持っているほかの望遠鏡に頼らなければならない。統合分光写真機を持っていることは、故にSUMIREに利点を与える。

プリンストン大学のライマン・ペイジによって行われる三つ目の実験のACTPoL(アタカマ宇宙望遠鏡偏光感応受信機)はかなり異なっている。銀河からの光を見る代わりに、それは宇宙マイクロ波バックグラウンド(CMB)からのマイクロ波を研究する。これは、ビッグバン後約38万年前に作りだされ、故に初期宇宙がどのように見えたかの痕跡を保っている。

ACTPoLもまた、チリのセロ・トコと呼ばれる山の頂上にある。テストは7月19日に始まった。その目的は、CMBの偏光を見ることだ。そのどの部分も、できてから地球に到達するまでにマイクロ波が邪魔をする銀河を通り抜けることによって有意に歪んでいる。そしてそこから、たくさんの統計を巧みに使って、銀河群上の重力と暗黒物質のヨーヨー現象を推計する三つ目のやり方があらわれてしかるべきだ。

もしこれらの三つの実験がうまく行けば、そしてお互い矛盾がなければ、いかに宇宙が電子よりも小さな物体から今見られるような広大なものに進化したかを理解する大きな一歩となるだろう。理論家は、新しいデータを暗黒エネルギーについての自分たちのモデルに差し込み、何が出てくるかを見ることができるだろう。しかし、他の人たちもそのデータを使うことができるだろう。そして彼らは異なった結論に至るかもしれない。
 

正しくなるのに十分なほど狂っている?

天文学者が拡大する宇宙の謎を説明するのに競っている時でさえ、それを説明しようとしている人もいる。もっとも最近のそのような試みが、ドイツのハイデルベルグ大学のクリストフ・ウェテリッヒによって発表されたばかりだ。彼は暗黒エネルギーを信じていないだけではなく、宇宙が拡大していることすら信じていないのだ。

現代宇宙学の文脈では、それはかなり重大な異端だ。しかし、オンラインレポジトリのarXivで発表されたウェテリッヒ博士の最新の論文は、それを後押ししようとしている。

ウェテリッヒ博士の宇宙図の中では、他の人たちが拡大のせいにしている赤方偏移は、むしろ宇宙が重力をまとっている結果だ。もし原子が過去により軽かったならば、それらの発した光は、量子理論によって、それらが今発している光よりも少ししかエネルギーを持っていないだろう、と彼は理由づける。エネルギーの小さな光は長い波長を持つので、それを現在見る天文学者はそれが赤方偏移したと認識するだろう。

ひと目見ると、これは馬鹿げているように聞こえる。質量が変わらないという考えは、高校物理の段階で刷り込まれている。それを放棄することは痛みを与えるだろう。しかし代わりに、ウェテリッヒ博士の提案は、すなわち正統的な理論が説明できない特異点と呼ばれるはじめの無限の密集点に対処して、ビッグバン理論の大きな擦り傷にきちんと対応する。

ウェテリッヒ博士のモデルは、しかし、暗黒エネルギーカメラ、SUMIRE、そしてACTPoLがはっきりさせようとしている銀河群の形の変化を説明しない。しかし多分、いつかそれはできるかもしれない。ウェテリッヒ博士はかなり尊敬された物理学者で、彼の数学は明白には間違っていない。さらに、彼の理論は、その跡がすでにCMBで見られている、膨張として知られる短期間の急速な拡大を許している。しかしながら、ウェテリッヒ博士は、宇宙には始まりがないと信じているので、(合意を得た見方である)宇宙の始まりの直後にこの膨張が起こったとは考えていない。代わりに、いつでも存在している小さな静態的な宇宙が、いつでも存在するだろう大きな静態的なものに変わり、そうしているようにだんだん重くなるのだ。ゆえに、特異点はない。

多分、この理論は間違っている。カナダの理論物理学センターであるペリメーター研究所のクリフ・バージェスは、「暗黒エネルギーの仕事は、ほかのすべての詐称者が明白にくるっていると断言する一方でそれぞれがナポレオンだと主張する人々の群れのようなものに、とても簡単に変質する。」と言う。しかし、理論はデータとぶつからない限りでしか続くことができず、新たな実験が終わるときには、衝突する更なるデータがあり、故に誰が実際に真のナポレオンか明らかにする。たぶん、故に、最後の言葉は量子理論の創始者の一人であるニールス・ボーアに行くべきだろう。彼はかつてその同僚のヴォルフガング・パウリに言った。「我々は皆、あなた方の理論が馬鹿げていることに合意している。我々を分かっている問題は、それが正しくなる可能性を持つのに十分なほど馬鹿げているかどうかだ。」
 

発行日: 
2013-08-24
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