彼らのカップはあふれる - 英国飲酒事情

英国の飲酒文化はかなり不健康だ。飲酒の政治もそうだ

2012年の最後の数時間、レスターの真ん中にある大きなかわいげのないパブのハイ・クロスはその普通の雑多な人ごみに満ちていた。きらびやかなミニスカートの10代の呑兵衛たちが、本当のエールやワインをちびりちびり飲んでいる中年のカップルと並んで、濃いウォッカカクテルを飲み干した。たくさんのおしゃべりがあり、音楽はなかった。J.D.ウェザースプーンのチェーンが所有しているハイ・クロスは、価格を抑えるために高価な娯楽免許やほかの贅沢をなしで済ます、格安のパブだ。10ポンドで痛飲した後で、ほとんどの呑兵衛たちは新年をより派手に迎えるためにどこか他へ出かけるだろう。

格安のパブは、緊縮下の英国で栄えており、より高い伝統的な社交場の衰退を隠している。J.D.ウェザースプーンは、もともと銀行や郵便局、そして映画館だったところに安い飲み屋を開いている。しかし、ハイ・クロスほど現代英国へのコメントを力強く提供するところはない。その素晴らしいレンガと石造りの建物は、19世紀後半に、1杯1ペニーで紅茶、コーヒー、そしてココアを飲む快適な環境を提供することによって、労働者たちを悪魔の飲酒から引き離そうとした禁酒の組織であるレスター・コーヒー&ココアハウス会社によって建てられた。「それは正しいの?」ハイ・クロスのタトゥーを入れた呑兵衛のクレアはくすくす笑う。「うまくいかなかったでしょ?」

まったくだ。英国は大きな飲酒問題を抱えている。ほとんどの冷たい北ヨーロッパ諸国のように、酔っぱらう古くからの伝統を持っている。しかし、英国人はスカンジナヴィア人の飲みすぎを、肝臓を浸すような地中海人の消費水準と結びつけることができる。30年に及ぶ飲酒の増加の後で、英国の大人の60%以上が週のどこかで酒を飲んでおり、6人に1人が少なくとも一度は酔っぱらっている。健康へのかかわりは破壊的だ。アルコールにつながった死は、過去10年にわたって20%増えている。騒がしい大酒のみはまた、いくつかの犯罪と多くの混乱の原因となっており、それについて英国の人気のある新聞はほとんど取りつかれたような懸念を持っている。「2013年:大酒のみの呑兵衛は夢中になる」という見出しが今週サン紙に踊った。英国人の2/3が、国民的な飲酒習慣は管理できないと信じているのも不思議はない。

レスターのヴィクトリア風長老たちのように、連立政府はそれについて何かしようとしている。お祭りの季節のすぐ前に、それは大酒のみへの大口割引を終わらせ、単位当たり約45ペンスの最低アルコール価格を設定する計画を発表した。その考えは、今のところコンピューターモデルの中で試されているだけだが、これが、最も騒々しいばか騒ぎと同様に、最も貧しい大酒のみたちの間で最もはやっている最も有害な飲酒の、大きな削減につながるだろうというものだ。最低価格は、もしそれが実行できるのならば、確かに行動に影響する。英国のもっとも泥酔した地域の一つであるスコットランドで以前に約束されたものは、自由貿易の立場から欧州委員会によって異議を唱えられた。しかし、それは、その問題について広がる誤解と政治的な臆病さの両方を反映した奇妙な解決法だ。

公共の怒りのほとんどを惹きつける英国の騒がしい若い酒飲みは、実際にはその問題の中では小さくなっている部分だ。17-24歳の間の大酒のみの率は、2005-10年の間に大雑把に1/3減っている。熱く争われているその原因は、たぶん、健康教育、流行、そして最も明らかなのは厳しい経済を含んだ要素の混ぜ合わさったもののためだろう。ダラム大学の犯罪学者フィオナ・ミーシャムが示唆するには、仕事の不安な時期には、若い英国人はますます「月曜の朝に蒼い顔をして会社に行く」ことに気が進まなくなっている。

最近の真の脅威は、法と秩序ではなく、全体的な公共健康だ。英国は全面的に大酒消費を減らす必要がある。それを終わらせるために、政府は、現在実質的には安いすべての飲酒への税を上げる方がよいだろう。それはまた、より必要とされる収入を供給するだろう。対照的に、最低価格はたぶん飲酒産業の金庫を満たすだろう。だが、みんなに影響するだろうこの解決法は、政治的には受け入れがたい。デヴィッド・キャメロンの保守党の中には、すでに最低価格がトーリーに投票する酒飲みでもある多くの中産階級に影響しうると心配しているものもいる。ある推計によると、現在店で売られているワインの1/3は提案された最低価格以下だという。

英国のボトルとの戦いは、いつも健康、道徳、そして社会階級についての心配の湧き上がる混合物を伴う。1552年に可決された英国最初の免許法は、ワインバーには適用されない「一般エール酒場」を非難することによって金持ちと貧しい大酒のみの間の初期の区別を作った。口やかましい悪玉化の初期の例として、エリザベス朝の反対派たちは、大衆の飲酒水準の上昇を、退廃的な外国の、もしくはカソリックの影響のせいにしようともした。(彼らはまた、英国人がどの外国人よりもよく酒を飲みうるとも主張した。「我々のものと比較して、外国の大酒のみは、しかしほんの一飲みだ。」とはある17世紀の政治的ビラ製作者が書いたことだ。)
 

しかしそれは元気を広げてもいる

増える繁栄と都市化は、飲酒癖とその批判者の両方のよりありそうな原因だ。それらが騒々しい一般人をより穏やかな大酒のみのすぐ近くにもたらしたからだ。そしてこの階級に注入された緊張は、それに続いている飲酒に対するすべての主要な運動の中に認められる。(ウイリアム・ホガースの泥酔した悪行の悪夢である「ジン横丁」の銅版画が、現在のけばけばしいタブロイドの暴露と似たような役割を果たしている)18世紀の「ジン大流行」の弾圧から、高潔なヴィクトリア時代の節制運動、そして現在の「酒飲み英国」についての誇張された一般的な懸念に至るまでだ。

それは、問題の部分的な理解が片手落ちの政策につながるというだけにとどまらず残念なことだ。それはまた、大衆の威圧の中であまりにしばしば無視されてきたことである、英国の内気な社会がボトルから困難と同様に多くの貴重な絆と元気を得ているからだ。それなしの大みそかを考えることは確かに不可能だろう。または、近くの戸口で用を足していたように見える数人のアジア系の女の子たちを含んだレスターの酒飲みの上できちんと輝き微笑んでいるハイ・クロスから一歩踏み出したときに、本欄の著者はそう結論付けた。

Bagehot欄より       
 

発行日: 
2013-01-05
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