本棚をたたむ - 電子貸出と公共図書館

電子書籍は公共図書館と出版社へのどんでん返しを意味する

サンフランシスコの主要な公共図書館を塗りつぶしているのは、以前その図書館の目録に乗っていた5万枚のインデックスカードだ。それらが参照する大きな本もまた装飾品になっているかもしれない。図書館の常連客は収蔵書をオンラインで検索できるだけでなく、彼らは図書館を訪れることなく電子書籍を借り出すかもしれない。図書館司書にとって、「電子貸出」はデジタル時代の自然な提案だ。出版社と本屋は、それが彼らの事業をほどくかもしれないと恐れる。

書籍取引における図書館の影響についての心配は新しいものではない。しかし、書籍が読者の下に簡単で素早く到達することができるようにするデジタル装置が、それらを激しくしている。大出版社マクミランの社長ブライアン・ナパックが2011年に言ったように、その恐れは図書カードを得た人が「再び本を買う必要がない」ことだ。

印刷された本は、開館時間にのみ、図書館でだけで借りることができるので、多くの読者は面倒を避け、自分のものを買う。しかし、電子貸出は摩擦がない。正しい権限を持ったどの利用者も、デジタルファイルを簡単にダウンロードできる(貸出期間の終わりには、それは自然に壊れる)。これは大きな問題を提起する。図書館は電子書籍を複数部買わなければならないのか、それともただ1冊か?そしてセキュリティはどうなのか?図書館のシステムを破ったハッカーは、それが持っているものをすべて盗むことができる。

出版社の目からは、図書館司書は「悪魔の近くに座っている」のだ、と図書館情報専門家協会の会長フィル・ブラッドレーは宣言した。彼は、最近電子貸出の悩み話を交換するためにロンドンに集まった怒れる司書たちに話しかけた。出版社の中には、電子書籍を公共図書館に売ることを拒絶するか、それらを法外に高いものにするか、またはその使用に厳しい制限を設けているところもある。71%の英国の公共図書館は電子書籍を貸し出しているが、電子書籍出版物のうち85%は公共図書館では利用できない、とブラッドレー氏は言う。アメリカでは、平均的な公共図書館は、たった4,350種類の電子書籍しか利用できない(オンライン小売大手のアマゾンは170万種類以上を持っている)。

著作権法の下では、印刷した書籍を買ったものは誰でもそれを貸し借りできるが、同じことはデジタルの作品には適用されない。図書館はこれらをまったく持っていないのだ。替わりに、彼らは貸し出したいそれぞれの本に免許契約を交渉しなければならない。彼らはその電子在庫を、一般的に年2万ドル程度とそれぞれの本についての料金を課す、オーヴァードライヴや3Mといったコンピューター会社によって運営されるサーヴァー上に置いてある。

どの国も電子貸出についての確固とした政策を持っていない。英国は見直しを命令している。その結果は間もなく出る予定だ。他の政府は、出版社が彼らの条件を決めるのを待っている。公共図書館のほぼ3/4が電子書籍を貸し出しているアメリカでは、「6大」出版社のそれぞれが異なった政策を持っている。サイモン・アンド・シュスターは、公共図書館での電子書籍の利用を一切禁じている。ハーパーコリンズの電子書籍は26回貸し出されると期限切れになる。ペンギンが試験的な電子貸出計画を提供している80の図書館では、その電子書籍の免許は1年後に切れる。他の出版社は、印刷書籍の制限をデジタルのものに適用したいと思っている。例えば、図書館が本当の本が汚れたりばらばらになったりした時にするように、電子書籍を定期的に置き換えてほしいと思っているところもある。

他のいくつかの実験も行われている。カナダは全国的な電子貸出プラットフォームを計画しているので、図書館は第三者の下に置いた自分の電子書籍在庫を持つ必要がないだろう。小さなカナダの出版社は、その事業に占める図書館市場の割合が40%も占めているので、実際には電子貸出を好む、と元ヴァンクーヴァー公立図書館のポール・ホイットニーは言う。アメリカでは、図書館は売上のたった5%ほどしか成していない。
 

新たな本、新たな物語

図書館の中には、電子書籍が貸し出されるたびに出版社に支払おうとしているものもいる。デンマークでは、デジタル貸出につき約17デンマーククローネ(3ドル)を払っていたが、それほどの価格をつけても、その国最大の出版社は引き揚げた。それは、電子貸出が印刷の売上を食っていることを恐れたのだ。そのうえ、いくつかの国では、図書館利用に対して人々の料金を課すことは違法だ。大学が学術ジャーナルを買っているように、その産業が本の塊の講読を提供してほしいと思っているものもいる。しかしながら、出版社は、これが本の価値についての顧客や図書館の認識を劣化させるかもしれないと心配している。

電子貸出は、本についての出版社の管理を減らすかもしれないが、それはまた図書館からも力を取り去る。電子在庫を置くのに外部サーヴァーに頼ることは、法的な面倒を意味するかもしれず(プロヴァイダーを変えるのが難しかったり不可能になりうる)、海賊行為の心配もある。アメリカ図書館協会のアラン・イノウエは、図書館は利用者の貸出習慣についてのデータを守るのに汲々としている。しかし、電子貸出は、出版社が利用できる新しいデジタルの軌跡を残す。

図書館と出版社両方にとってのさらに大きな心配は、競争だ。2011年に、アマゾンはアメリカで電子貸出計画を始めた。それは、以来、それを英国、フランス、ドイツに広げている。年会費によって映画の無料配達とストリーミングを提供するアマゾンの「プライム」サーヴィスに登録した顧客は、アマゾンの電子読書装置のキンドル上で毎月1冊本を借りることができる。今のところ、大きな出版社からの作品は一つも利用できない。図書館司書はこれにうんざりしているが、まだ心配していない。サンフランシスコ公立図書館の蔵書責任者ローラ・レントは、その書架からの貸出はアマゾンのものとは違って無料だと注記する。

図書館司書と書籍産業は、異なった利益を持っている。しかし、将来世代を読書習慣の中に取り込まなければ、どちらも消滅する、と国際図書館連盟のスチュワート・ハミルトンは語る。図書館貸出は、読書への愛を育てるのに、数えられなくても大きな役割を果たす。

電子貸出は(図書館が納税者の支持を受けている理由の一つでもある)公共の場所としてそこを使うのではなく、人々が家にとどまることを奨励するので、それが図書館の利益になるのかを疑うものすらいる。ある批判者は、ひそかに電子貸出を「2013年図書館司書失業法」と呼ぶ。しかし、調査会社のピューは、アメリカの図書館の62%が、その共同体におけるたった一つの無料インターネットアクセスとコンピューターを使える場所であると計算する。多くの常連客は彼らの電子読書器の使い方を学ぶ助けを求めてやってくる。図書館の物語は、まだたくさんのページがある。
 

発行日: 
2013-03-23
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