遠すぎる橋? - 遺跡保護

 

会社はイタリアのバラバラになった宝物を生き返らせる役に立ちたいと思っている―高い値段で

有名なポーランド人映画監督ロマン・ポランスキが2007年に(今は行き詰っている紀元79年のヴェスヴィオ山の噴火についての大予算の叙事詩であ る)映画ポンペイを作る契約を結んだ時、ポンペイ遺跡の母国であるイタリアは、撮影のための彼の一番の選択肢だった。しかし、そのプロダクションは、現実 的なイタリア人役人が例によって映画クルーが考古学遺跡を踏みにじることに反対し、スペイン政府がイタリアに安いオファーで勝ったために、最後にはスペイ ンに移った。

現在の弱い経済においては、イタリアの役人は契約を結ぶのにより激しく臨んだかもしれない。ユーロ圏危機が深刻化し、借金まみれのイタリアにより大 きな予算削減を強いるにつれて、より多くの地元の役人たちが、イタリアのバラバラになった考古学的な宝物を支えるために民間投資家に頼っている。会社は、 ポンペイやヘルクラネウムといったイタリアの遺跡の回復への資金提供の支援に長い歴史を持っている。しかし、文化遺産が長い間その完全さを守るために厳し いルールで支配されてきたイタリアでは今、会社は増加する資金需要に投資している。そして彼らはその見返りに、古代の史跡のそこらじゅうに会社のロゴをべ たべた張ることから、ファッションアクセサリーに遺跡の画像を印刷する権利を保つことまで、かつてないほど大きな要求をしている。その取引は、イタリアの 金に困った文化省には利益だが、それらはまた商業的利益が文化的なそれを圧倒しているという懸念を提起している。「我々の文化的遺産の保護は、国の責任 だ。」ローマ周辺のラツィオ地区の議員であるジュリオ・ロダーノは語る。「民間の介入は代用とはなりえない。」

イタリアの最新の引き締めは、3年にわたって17億ドルの文化的支出を削減した前首相シルヴィオ・ベルルスコーニの文化予算削減の後にやってきた。 文化省次官のロベルト・チェッキによれば、国家的文化支出の世界的リーダーであるフランスが国家予算のうち2.2%を文化に使っているのに対して、イタリ アは今0.2%だけだ。

その軽視は国中にある古代からの素晴らしいものに損失を与えている。近年では、モルタルの厚板がローマのほぼ2,000歳になる円形闘技場であるコ ロッセオから剥がれ落ち、観光客を危険にさらしている。紀元1世紀に建てられたローマ皇帝ネロのドムス・アウレアの天井の一部は、2010年に崩壊し、そ の華麗な金箔と下に作られたギャラリーを破壊した。壁は古代ポンペイで崩れており、フィレンツェのルネサンスの宮殿は垂れ下がっている。それは、世界のど の国よりも多くのユネスコ世界遺産の遺跡を持ち、毎年4,500万人程度の観光客が殺到する安定した流れのある国では深刻な問題だ。観光業は、イタリアの GDPのほぼ10%を占めている。「我々の国の中にはほんの少しの記念碑が散らばっているのではない。」チェッキは語る。「我々の国全体が遺産で織なされ ているのだ。」

シチリアの町、アグリジェントの市長マルコ・ザンブートのような地方の高官は、回復基金の掛け金を上げている。彼は、ルイ・ヴィトンやヴェルサーチ といった会社に渓谷保全の支援の代わりに服のブランドにそれを印刷することを許す、世界的に有名なアグリジェントの神殿の谷の画像の商業利用権を競売にか けたいと思っている。「それは必要から現れ出た考えだ。ザンブートは語る。「我々は市民の基本的必要のための資金を持っていない。しかし、我々は使うこと のできるこれらの文化的資源を持っている。」

その国中で似たような考えがすでに採用されており、イタリアを文化遺産の商業化の最前線に立たせている。ヴェネツィアでは、衣料会社のディーゼルが リアルト橋の修復に資金提供している。そして、死刑囚がかつてドゥカーレ宮殿から運河を渡って牢獄に向かった、その町の有名なため息橋は、ある銀行基金の 作品を宣伝する大きな看板で2010年のほとんどがおおわれていた。チェッキが言うには、その年にヴェネツィアは国家予算から保全のための支出としてたっ た26万ドルを受け取っただけだという。「彼らが最初にやってきたスポンサーに飛びついたのは理解できる。」彼は語る。

2010年にコロッセオの天井から最初の塊が落ち始めた後に、そこの緊急保全責任者になったチェッキは、会社が変わりにほしがるものの提案とともに 3,300万ドルと推計される修復計画の入札に彼らを招待した。低価格のアイルランドの航空会社ライアンエアーとイタリアの不動産ファンドフィミットは、 古代の闘技場の壁の上から下まで宣伝を垂らしかける権利を求めた。しかし、勝者はイタリアの靴メーカートッズの社長であるディエゴ・デラ・ヴァッレだっ た。彼は、ほかはどこでも広告を掲げることができるが、円形闘技場の壁には宣伝を出さないことを約束した。「我々は大きな広告を望まない。」チェッキは語 る。「そうすれば、我々は50のスポンサーを見つけられただろう。」デラ・ヴァッレは、彼が「イタリアを助け、同時に我々の真の遺産を強化する可能性を持 つ者の義務」を感じると語る。

強硬派の保護主義者は、懐疑的だ。ボローニャ大学教授のミケーレ・トリマルキは、その場限りの民間資金調達は、毎年の安定的な投資を必要とする遺跡 の保全にとって信頼できるやり方ではないと語る。「大きなスポンサーは、物語のほんの一部になりうるだけだ。」彼は語る。「我々は、文化と地域社会の間の 異なった関係を探す必要がある。」史跡の民営化ははるか遠くまで行ってしまいかねない。考古学者は、アルバニア政府がその城を貸し出し、遺跡上のレストラ ンや携帯電話の通信塔といった商業的事業につながった後に被った損害を批判した。そして、トルコ政府によって民営化された127歳の歴史的な映画館は、 ショッピングモールを作るために去年閉鎖された。

遺跡がバラバラになり続けるにつれ、商業契約は増え続けるだろう。汚染、水、破壊、盗掘、そして無視によって受けた被害を元に戻すのに3.6億ドル が必要だと推計されているポンペイの、何年にもわたる不注意な政府の見落としは、全部のまちを民営化する要求を促している。遺跡の周りに一連のホテル、 店、公園を開発したいと思っているナポリ産業家組合は、その提案が2,500の興味を持つフランス企業のコンソーシアムをひきつけていると語る。1月にロ シアの億万長者のミハイル・プロホロフは、神殿の谷の有名なゼウス神殿の遺跡を買うことを提案した。ザンブートは外国人が遺跡を買うという考えを、「単に 考えられない」として却下したが、彼は民間のイヴェントのためにその遺跡を管理し貸し出すことを外国人に奨励した。荒廃した古代の遺跡が必要なもの、それ はより多くのお客さんだ。

Tourism欄より

 

 

発行日: 
2012-04-02
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