戦争のことを言うな - ケニアの選挙

有権者は、あまりに近づいている大統領選挙中のトラブルへの準備ができている

金属シャッターが下り、食料の在庫は切れ、数週間分の衣類を詰めたみすぼらしいバッグがケニアの民族的にまじりあった首都のナイロビから北西の農業地帯へ続く道路の脇に並ぶ。「我々は選挙のためにここにいたくない。」ブリキと材木でできた家に鍵をかける両親を助ける15歳の少年は言う。隣人の中には、3月4日の大統領選と4月にあるかもしれない決選投票の後の暴力を恐れて、すでに立ち去ったものもいる。5年前の最後の選挙後に1,300人以上が亡くなり60万人が居場所をなくした部族衝突の後で戻っていないものもいる。彼らはほかの所で民族的飛び地に住み、2007年のカレンダーがまだ壁にかかった空の掘っ立て小屋を残している。

その当時、様々な民族集団が選挙結果について争い、彼らの指導者が全国統一政府の形成に合意するまでお互いに激しく襲いかかった。何人かのこの選挙の候補者は、5年前の暴力を組織化したとして告発され、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)によって起訴されている。

多くが恐れているように、潜在的に経済を破壊し、アフリカでより良い多党制民主主義の一つとしてのその国の立ち葉を侵食する、ケニアの悪夢は再発するのだろうか?心配すべき理由はたくさんある。一つには、それがとても接戦であることだ。改革民主主義連合を率いる現職首相のライラ・オディンガは、ジュビリー同盟からの副首相ウフル・ケニヤッタと互角の争いをしている。

その一人が引き離すことがなければ、支持者たちが暴力的な反応を惹き起こすかもしれないお互いの選挙操作を非難することはほぼ確かだ。決選投票で明白な勝利を得るためには、第三の候補者ムサリア・ムダヴァディの支持を集めなければならないだろう。彼はキングメーカーとして現れうるが、彼に投票した人々を一団としてまとめることができた時だけだ。前回の選挙では、彼はオディンガ氏を支持した。より最近には、彼はケニヤッタ氏と協力したが、それから彼と仲たがいした。

3人とも民族の線に従って選挙運動を行っており、選挙民を多極化させている。人口のほぼ70%を構成する5大部族集団は、選挙で一枚岩に近い一団として行動する。ケニヤッタ氏のキクユ族が最大(21%)で、オディンガ氏のルオ族は最小(10%)だ。ムダヴァディ氏のルハヤ族は二番目に大きい(19%)が、一番まとまっていないものでもある。キクユ族は、その部族からの候補者にしか投票しないと誓う、「誓約」を実践していると言われる。

それはこの選挙では特に分裂的だ。2010年に採用された新憲法は、争われる地位の数を大きく広げた。大統領を直接選ぶことに加えて、ケニア人たちは同時に上下両院の384人の議員と、新たに作られた実権を持つ47の郡の知事と議員に投票する。まじりあった共同体での増大した政治的競争は、発火点を増やす。加えて、その地域は、5年前には存在しなかった紛争源を含む。その中には、投票のボイコットを要求している分離主義運動のモンバサ共和議会も含まれる。そのメンバーの中には選挙事務所を攻撃しているものもいる。

その恐れは、もしケニアが適切な治安部隊を持っていれば、それほど重大ではなかっただろう。政府は有権者を守るために9万の役人を配備すると約束したが、1/3だけが警察で、残りは野生動物レンジャーや刑務官といった人々でなっている。その役人のほとんどは適切な群衆管理の訓練を受けていない。それは5年前の殺人に寄与した欠点だ。軍隊が最後の望みとして呼ばれるかもしれないが、それは独立後初めてのこととなるだろう。軍隊のほとんどの上級職は、キクユに忠実なものの手にある。

警察は、選挙後の戦いを予期して、ここ数か月民族的民兵の形成があると報じる。銃となたの積送品がナイロビのスラムに届いたと言われる。テキストメッセージやフェイスブックと同様に、部族言葉のラジオのトークショーが、ケニア人が「兵とスピーチ」と呼ぶものは広げるのにつかわれており、彼らが蛆やハゲワシとレッテルを貼る反対派を打ち、略奪し、暴動を起こし、殺し、盗み、そして追い立てるよう聴取者をそそのかしている。オンラインのトラブルメーカーはスワヒリ語で屠殺者を意味する「チンジャ、チンジャ」と言う。

しかし、その困難にもかかわらず、その国はまた、何かより良いものを望む理由がある。新たに法で禁止されたヘイトスピーチは、前回の選挙の前よりもはるかに少ししか起きていない。ラジオ局は今、攻撃的な素材を削除することができるよう時間遅れで放送している。政治的雰囲気は、一般的に5年前ほど緊迫していない。候補者のノミネートは、ケニアではいつも暴力の焦点だが、いつもよりもずっと平和的だった。5人が亡くなったとされるが、いつもなら数十人だ。理由の一つは、ケニヤッタ氏のキクユと、彼の副大統領候補になる前に2002年には選挙責任者を務め2007年には反対派についたウィリアム・ルトに率いられた(人口の13%を占める)カレンジン族の同盟だ。まとめて彼らはウフルトと呼ばれている。両者ともに5年前にお互いを殺すよう支持者に命じたとしてICCに起訴されている。彼らの同盟は、決して正義の勝利ではないが、今のところ、それは大きな紛争源を取り除いている。

組織的変化もまた、気分を穏やかにしている。ケニアにとっては新しい二段階投票制度は、部族集団がその期待を調整し、権力分立の取引をする冷却期間を作り出す。新憲法のおかげで、2008年以来司法はより独立するようになっている。今、勝者が信頼性を宣言し、暴漢を告訴するのにより良い場所にいる。裁判長のウィリー・ムトゥングは先月、ムンギリとして知られるキクユギャングの司法を脅そうとする試みを公表することによって、勇気と決心を示した。近年の別の組織改革は独立選挙境界委員会(IEBC)の設置だ。その前任組織の貧弱な成果は5年前の暴力の引き金の一つだった。データ転送の遅れと問題は、操作の申し立てを生んだ。今回、結果はすぐにそれぞれの投票所の外に知らされ、メディアは投票情報が中央対照所に移された時、その生情報を受け取り、投票の操作を難しくする。暫定結果は48時間以内に出ると期待される。ある西側の外交官は語る。「IEBCは仕事をし、みんなを驚かせた。」それは問題の一部を持っていた。二人の最上級役員は競合する政治陣営から来て、仲たがいし、その組織を何か月間もふらつかせた。しかし、それは期待以上の有権者の69%に当たる1,400万人の有権者を登録し、投票所運営のための12万人の職員を雇った。
 

我々は見ている

広がる暴力に対する単一最善の保険は、国内と外国の両方でその選挙が惹いている巨大な注意かもしれない。アフリカ連合特使として働く元国連事務総長のコフィ・アナンや、父親がケニア生まれのバラク・オバマを含んだ一連の国際的な政治家からの落ち着くようにとの呼びかけが届いている。外交官は個人的に共同体指導者たちと話しており、その政府は技術的支援に1億ドルを費やしている。5つの別々の国際監視団がある。ケニアの市民団体が6つ目のELOGとなっており、国中で3万の監視者を編成する予定だ。他のグループが平和を促進し正義を追い求める。ヴォランティアがインターネットでの扇動の兆候を探す。多くは、前回の選挙後に設立され、犯罪者を起訴するために役人と協力するネットワークの(スワヒリで「証人」を意味する)ウシャヒディの一部だ。ナイロビのキベラのようなまじりあったスラムでは、共同体組織者が何か月も緊張を和らげ紛争解決メカニズムを立ち上げるために働いており、住民教育のためにメガホンを持って狭い街路を歩く。キクユ族が大きな部分を占めるビジネスエリートでさえも、観光客や投資家を追い払いうる新たな選挙暴力によっておこる危険に気付かされている。

ケニアは選挙での勝ちの差が十分に大きい限りにおいて国家溶解を避けるかなりの可能性を持っている。もし、特にごまかしの申し立ての中で、誰が勝ったのかを言うのが難しくなれば、そして司法と治安部隊が不公平な動きをすれば、困難が浮かび上がるだろう。第1回目の投票後のよりありそうなシナリオは、決選投票を5月に延ばそうとする一連の法的挑戦だ。今のところ、1992年と1997年の大統領選中のように、散発的な暴力行動がわずかな場所でたぶん起こるだろう。

もっともありそうな発火点は国中に広がっている。前回の選挙後、最悪の殺しのばか騒ぎはその国の西部のリフトヴァレーで起こったが、民族立ち退きとキクユ=カレンジン同盟がその地域を穏やかにしている。その例外は、キクユとカレンジンが地元の同盟を結ぶことに失敗したナクルだ。

ほかの発火点は、今では5年前ほどではないがスラムが民族的にまじりあったナイロビ、旱魃と隣のソマリアからの武器の流入によって部族衝突が過熱している特にタナ川渓谷に沿ったケニアの北部と東部、地元のムスリムが不動産の多くを所有しているキリスト教「内陸移民」の経済的優位に憤慨しているモンバサ周辺の沿岸地域だ。

アンドリュー・モートンは、元大統領ダニエル・アラップ・モイの1998年の伝記の中で、土地と部族が「ケニアの政治的風景の二つの強い川だ」と書いた。どれだけその国が本当に変わったかはナイロビでより議論される。部族クライアント主義は確かに生き残っている。選挙での二人の主要候補者はどちらも主導的一家の御曹司だ。ジョモ・ケニヤッタはケニアの初代大統領で、オギンガ・オディンガは彼の偉大なライヴァルだった。彼らの息子のどちらも有能であるともカリスマ的であるともいうことはできない。

そのような男たちはめったに説明責任を果たさない。2008年に暴力的な選挙の後に設立されたケニアの真実・正義・和解委員会は、まだその所見を発行していない。国際的監視団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは、たった14人しか殺人で有罪になっていないという。キクユとカレンジンはICCの起訴にもかかわらずその指導者たちを援助している。

だがしかし、今年のうまくいく選挙は、ケニアが現代的な複数政党国家になるのに向かう大きな一歩になるだろう。その国は、その史上初の大統領討論会を先月開いた。新憲法は、いかに権力が分配されるかを根本的に変えるだろう政治構造を作り出すことを約束している。時を経て、それはパトロンネットワークを少しずつ崩しうる。大物たちはまだ立ち去っていないが、有権者と既得権益は彼らにますます寛大であろうとはしなくなっている。
 

発行日: 
2013-03-02
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