フランスの独自性

大西洋横断自由貿易協定は、映画製作者への補助金に対して必要なく停止を命ずる

ベレニス・ベジョは、サイレント映画時代についての受賞映画『アーティスト』の中で、まったく言葉を発することなしにスターダムに上がった。しかし、今週、欧州議会で、彼女はアメリカとの大西洋横断自由貿易圏の計画に反対する声だった。ヨーロッパの映画製作者は、ブリュッセルが幾分かは彼らをハリウッドとの競争から守る補助金と割り当てを許す文化的例外を諦めるのではないかと恐れる。フランスの公的資金がなければ、『アーティスト』は決して作られなかっただろう、とベジョ女史は宣言した。彼女は、文化的例外を失うことは「本を燃やし、博物館を閉鎖し、親指を切り、第1子を犠牲にし、ベルリンの壁を再建する」ようなものだろう、としたドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースからの手紙を読み聞かせた。

メロドラマは自然に人々を撮影することになる。より困らせるのは、フランスが始める前にその世界でもっとも野心的な貿易交渉を容易に殺そうとするように見える自殺的行為だ。音響映像サーヴィスが全部交渉から除外されなければ、今週末のルクセンブルグでの通商担当大臣会議で、欧州委員会がアメリカとの交渉を始める任務に拒否権を発動するだろう、とフランスは主張する。

ある程度は、これは瀬戸際政策だ。フランスは、英国の首相デヴィッド・キャメロンが6月17-18日にG8サミットを開催するときに交渉を始めることに熱心だということを知っている。そして、アイルランド首相のエンダ・ケニーは、その国がEUの6か月の持ち回り議長国の有終の美を飾るために、その交渉をしたいと思っている。多くはまた、フランスの大統領フランソワ・オランドが本当にアメリカの対応者バラク・オバマと同じくヨーロッパの仲間たちとも大っぴらに衝突したいと思っているのか疑問に思っている。

フランスは完全に孤立しているわけではない。13か国の文化大臣たちは、音響映像サーヴィスの除外を要求してそれに加わっており、欧州議会も似たような立場をとっている。音響映像サーヴィスは、今までの所は、20年近くにわたってそれがEU条約と地球規模貿易協定で保護されているという立場で、貿易交渉から除外されている。

その委員会は、不器用な踊りをしなければならない。それは、アメリカが公的購入、海運、または航空と言った部門を切り開くよう刺激するのを避けるために、音響映像サーヴィスを全部まとめて除外するということはあってはならない、と言う。しかし、それは既存と将来の補助金は触れられず、諸国はインターネット上の映像を規制することができなければならない、と主張する。その委員会の委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾにとって、文化的例外は「交渉禁止」だが、それは依然として交渉台の上になければならない。これは、誰も喜ばせず、いずれにせよアメリカの報復を刺激する危険がある。

今まで誰も、大西洋横断貿易投資連携の交渉が簡単だろうと考えた者はいない。太平洋をまたいだ商業は巨大で、世界貿易の1/3を占める。関税はほとんどの部分で低い。残っている障壁は、しばしば扱いにくい問題についてだ。食品安全基準、消費者保護、公衆衛生、環境、または安全保障だ。もし、いま交渉を始めるためのたった一つの障害が文化的例外ならば、たぶんそれは進歩だろう、と何人かのユーロ官僚は言う。

しかし、もしヨーロッパ人が何(例えば牛肉貿易において古い刺激物を取り除くといった)か月もの準備の後で交渉を始めることができないならば、彼らがそれをまとめることのできる機会はあるのか?よくても、協定の範囲は縮んでいる。その混乱は、ヨーロッパ人が機会を失う機会をめったに失わないということを確認する。アメリカは、地球規模で相対的に衰退しているかもしれないが、ヨーロッパは絶対的な意味で衰退している。大西洋横断貿易協定は、債務を悪化させることなしに成長を押し上げ、アメリカをその「アジアへの軸」の後でヨーロッパと結びつけつづけうる。統一することによって、アメリカとヨーロッパは国際貿易のルールを設定することもできる。

その委員会が排他的な交渉力を持つ貿易交渉では、ヨーロッパは巨人になるべきだ。しかし、EU加盟国はしばしば小人のように行動する。中国の太陽光パネル輸出に対して反ダンピング課税をするというその委員会の試みについての公然たる不和が証拠だ。アメリカとの貿易は、にもかかわらず、低賃金競争について心配する労働組合からでも、手ぬるい環境基準に不平を持つ環境主義者からでも、いつもの抵抗を何も惹きつけていなくて当然だ。代わりに、それはアメリカ文化に対する古い神経症と出くわしている。
 

光から狂気へ

彼らのより落ち着いた瞬間には、フランスの社会主義者の指導者たちはその賭けを理解する。しかし、フランスの例外主義は本当の束縛だ。EUの大きな加盟国のうちで、フランスが最も保護主義的で、アメリカの権力について最も怒りっぽく、その言語の防御に最も熱心で、その国民の生活における国の中心的な役割に最も関与している。『ヨーロッパ戦後史:Postwar』の中で、今は亡き英国の歴史家トニー・ジャットは、すべてのヨーロッパ人に共通の要素を見つけた。文化への支持は、「EUやほかの民間事業よりもむしろ国民国家が、独占に近い提供者として目立った役割を果たすことができる、公的生活の中で最後の重要な分野」だった。

映画を開拓して、フランスの産業は多作で補助金の包括的制度から利益を得ている。プロディーサー、配給者、映画館所有者、テレビやケーブル局、そしてインターネットプロヴァイダーと言った、映画から利益を得るすべての人々は、それらを作る人々に支払うために課税されている。アメリカの大ヒット作の象徴であるスティーヴン・スピルバーグすらも、それを弁護する。実際、考えられるどの自由貿易協定も、ヨーロッパ諸国にその映画製作者に補助金を出すことをやめさせないだろう。より大きな脅威は、インターネットとヴィデオオンデマンドのサーヴィスの勃興から来る。フランス政府は、今、コンピューターからスマートフォンまで、すべてのインターネットに接続できる装置に課税することを考えている。グーグル、アマゾン、そしてネットフリックスのようなものを恐れる代わりに、ヨーロッパの映画製作者は、彼らの作品をより接続しやすくお手頃に作ることができる産業を取り入れるべきだ。さもなければ、文化的エリートは、サイレント映画からトーキーに変わることへの無能さによって破壊された、『アーティスト』の中の不運なジョージ・ヴァレンティンのように、むしろ行動している。

Charlemagne欄より
 

発行日: 
2013-06-15
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