セント玉を作らない

 

コインの消滅は、長期的なインフレの影響を示す
 
カナダペニーよ、さようなら。1858年にカナダが独自の通貨を開発して以来流通してきた最後の1セントコインが5月4日に鋳造された。そのコインは、消費者の財布を重くさせ、その価値よりも作る費用が上回ることによって、迷惑なものになってきた。
 
そのペニーは、何世紀を使われた後で消えた一連の通貨のもっとも最近のものだ。英国のファージングは、古いペニーのたった1/4またはポンドの1/960の価値しかないが、1960年にそれが流通から消えるまではほぼ700年間続いていた。十分に注目すべきことに、半ファージングは19世紀にも発行され、(1/3や1/4ファージングといった)より小さな硬貨すらも外国で使われていた。
 
インフレが、カナダセントを殺したように、ファージングを殺したのだ。小さな硬貨は個々のものを買うことができなくなれば、危篤状態になる。1ペニーは、最初の英国の郵便切手のペニーブラックを1840年に買うことができ、1960年代後半に短パンの筆者が小さなアイスクリームを買うのに依然として十分だった。今では、1ポンド以下で売っているつましいアイスキャンディを見つけるのには苦労するだろう。
 
ファージングが消えた時、英国は平時のインフレが最も急速に進む時代に入っていた。1971年に、10進法化が進み、そのもとでは最小の硬貨が半ペニー(1/200ポンド)だった。それは消えるまでにたったの13年しか持たなかった。政府が硬貨を廃止しないときでさえも、市場の解決は起こっているかもしれない。イタリアでは、ユーロを採用する前に、ほとんどすべてのものが数千リラしたので、店主やレストランは顧客に代わりにおやつを提供することによって少額のお釣りを取り扱うのをやめた。
 
硬貨は金融史におけるたった一つの犠牲者ではない。昔の英国10シリング紙幣は、新たな50ペンス硬貨にとってかわられて1969年に消えた。ほぼ200年にわたって存在した1ポンド紙幣は1988年に硬貨にとってかわられた。これらの場合、耐久性に責任があった。硬貨は50倍長持ちしたのだ。
 
ときにすべての通貨が呼称変更された。フランスフランは、第2次世界大戦の直前に1ドルの約1/5の価値があった。それは、1960年代に同じ為替レートに到達した。その間に、しかしながら、フランスの紙幣の額面からゼロが二つ切り落とされた。旧100フランが1新フランになったのだ。事実上、フランは99%その価値を失ったのだ。(そして同じだけ金に対する購買力を示すドルに対してもそうだ。)
 
しかし、それ自身がインフレの症状である金属価格の上昇は、最後には硬貨にそうする。最近では、硬貨を溶かして鞘取りをすることはしばしば違法だが、中世ではそれは普通の行いだった。結果として、最初は銀だったファージングの材料は、徐々により安い銅、鈴、そして青銅に変わっていった。
 
カナダ政府は、公共経済の問題としてペニー廃止の決定を紹介した。その動きは1年間で生産分配費用を1,100万カナダドル節約するだろう。生産に2.4セントがかかっているアメリカのペニーにそれに続くようとの要求がある。しかし、それはより生産に1硬貨あたり11.2セントかかる非経済的なニッケルの使用(5セント玉)が増えることを意味するだろう。伝統と、そのような政府の計画についての大衆の疑念が、今のところペニーを節約している。
 
これらの損失は、それぞれの政府がほかの紙幣や硬貨を額面よりも安く生産することによる利益で相殺されている。シニョリッジとして知られるこの利益は、政府収入の大きな隠れた源の一つだ。中央銀行がマウスをクリックするだけでお金を作り、その利益で債券を買い政府の借り入れ費用を減らす量的緩和は、潜在的にはより儲かる計略だ。
 
少額硬貨の消滅はまた、もちろん電子通貨への動きにも負っている。小売業者は、例えば9.99ドルといった具合に、一般的に丸い数字よりも少し安く値決めをする。幾分かは、それは欺瞞に対する手段だ。従業員はペニーのお釣りを提供するためにレジを開くよう強いられる。ほとんどの顧客がデビットカードやクレジットカードで支払うこの頃は、それは妥当ではなくなってきている。
 
カナダの小売業者はおそらく、多くの人が10ドルまるまるよりも9.55ドルを選ぶという心理的魅力を利用したいと思うだろう。それは、この変化を、どんな通貨改革もより高い価格の言い訳になるという、一般的な消費者の経験とは違ったものにするかもしれない。しかし、売り手は最後には勝てないということを示唆する。もしペニーの面倒を見なければ、ポンド(やドル)は自然に消えるだろう。
 
Buttonwood欄より
 
 
発行日: 
2012-05-12
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