給料が機能するようにする

なぜボスは業績連動給与を使うとき注意しなければならないか?

ある企業のすべての入力のうち、その労働者の努力はたぶんもっとも奇妙なものだ。それは、土地、工場、または機械と同じくらい重要だが、管理するのはより難しい。それはしばしば測ることすら困難だ。経営者はその企業の産出を計測できるが、労働者が仕事に費やした時間といった荒っぽい秤以上に彼らがつぎ込んだ努力は計測できない。従業員は情報の刃を持っており、自分の努力、産出、そして技能水準を知っている。この非対称性は、経営者が例えば技能は低いが勤勉なものと熟練しているが怠惰なものの区別をするのを難しくしている。懸命に働く従業員を報奨し、怠け者を罰することは、努力を支えうるが、ひどく逆噴射もしうる。

会社はどうすべきなのか?よい出発点は、最も悪い種類の行動、つまり犯罪だ。1968年に出版された論文の中で、シカゴ大学のゲーリー・ベッカーは、政策立案者が発見するのにささげなければならない資源を決めるときに、彼らが考慮しなければならない要素を述べた。彼のモデルでは、犯罪者は、ありうる金銭的褒賞、捕まる可能性、そしてそのあとの刑罰を考慮に入れて、悪い行動のリスクと利益を計算する。犯罪を減らすために、当局は捕まる可能性、刑罰の厳しさ、またはその両方を増さなければならない。このやり方は、ゆっくりとした、またはいい加減な仕事のようなそれほど極端ではない形の悪い行動にも応用されうる。企業は個々の労働者を監視し、良いものを褒賞し悪いものを罰さなければならないかもしれないのだ。

しかし、このような制度には費用がかかる。人々はカネだけでは懸命に働かない。彼らは、良い仕事をするといった、他の動機も持っている。1971年の論文で、ロチェスター大学のエドワード・デッシは、現金ボーナスまたは罰金という外部褒賞がそのような「本質的」動機づけに持つ影響を試した。二つのグループが3Dパズルを与えられ、多様な形を作り出すよう頼まれた。パズルは面白く、精神的に厄介だったので、本質的な動機づけは高かった。自分のペースで進むようにされた一つのグループは、懸命に作業した。二つ目のグループは監視され、うまく真似できた形ひとつにつき1ドルを与えられた。二つ目のグループが今では一つ目ほど努力しないという結果を受けて、この支払はのちに取り下げられた。そのメンバーはスイッチを切り、替わりにプレイボーイやニューヨーカーの方に向いたのだ。金銭的報酬は彼らの本質的動機づけを殺したのだ、とデッシ氏は理由付けした。

労働者を綿密に見ることは、他の欠点を持ちうる。ある仕事に動機づけ計画を立ち上げることには、時間とカネがかかる。そしてそれはその仕事について何かを明らかにする。すなわち、それは会社の成功にとって重要で、難しいと考えられる。2003年の研究の中で、プリンストン大学のローランド・ベナボウとトゥールーズ大学のジャン・ティロルは、いかにこれが従業員をよりゆっくり働くよう導くかについて示した。努力は単に速さから正確さに移ったかもしれない。

もし「相互主義」が考慮に入れられれば、監視の効果はさらに悪いかもしれない。カリフォルニア大学バークレー校のマシュー・ラビンはこの概念を1993年の論文で探査した。強い公平さの感覚を持った人々は、彼らが役に立っていると認識する人々を助けるのを好む。しかし、その裏側は、彼らが役に立たないと思っている人々を罰するということだ。だから搾取価格を課す独占者は、買い手が本当にその製品を欲しているとしても、避けられるかもしれない。同じように、不公平なボスは、それが労働者も傷つけるとしても、悪い仕事で罰せられるかもしれない。

もし監視が利益と費用の両方を持つのならば、正しい水準はどこにあるのか?エジンバラ大学のミシェル・ベローとマクデブルク大学のマリーナ・シュローダーは、あるテストを案出している。彼らはヴォランティアに780ユーロ(1,010ドル)の硬貨が入った箱を与え、彼らにこれらを異なったタイプに分けるよう頼んだ。ユーロ圏には160種類の異なったタイプの硬貨があるので、その仕事は聞こえるよりも厄介だ。1セントから2ユーロまでの8つの段階で、ユーロ圏の17加盟国とモナコ、サン・マリノ、そしてヴァチカンの20地域がそれぞれ一つずつのデザインを持っているのだ。ヴォランティアが20ユーロを支払われたこの仕事は、いくつかの賢明な特質を持っている。一つ目に、それは努力で完璧に成し遂げることができるが、それほどの技術は必要としない(時間の圧力が最低限で、ヴォランティアは箱を家に持ち帰ることが許された)。二つ目に、悪い仕事は計測でき、いくつかの形でやってくる。硬貨の分類がひどいかもしれない。その箱は遅れて返却されるかもしれない。そして、硬貨は盗まれるかもしれない。その箱には蒐集家にとって額面よりも価値があるヴァチカンの硬貨が含まれているのだ。(オンラインオークションで約3ユーロの価値がある)ヴァチカンの50セント貨を普通の50セントコインに変えると、ヴォランティアは2.5ユーロ稼ぐことができる。
 

高いバーかバーなしか

その研究者たちは、監視と褒賞の異なった設定を試した。一つの管理グループは全く監督されず、業績に関わらずすぐに支払われた。他の二つのグループは監視され、業績に従って褒賞を受けた。一つ目の仕組みはかなり手ぬるい。労働者は10回の失敗ごとにたった1ユーロを失うだけだ。二つ目はより厳しい。二つ以上の硬貨が間違って区別されたら支払いは15ユーロ減らされたのだ。

その結果は、緩い監視が悪い選択肢だと示唆する。ヴォランティアの30%は10以上の失敗をし、監視なしのグループよりも悪かった。さらに、返却の遅れが増した。これは、監視に捧げられた資源が無駄だったということを意味する。しかしながら、より厳しいやり方は、いくつかの利益を提供した。10以上の失敗をしたヴォランティアがたった16%になり、正確性が改善した。しかし、努力の仕方を変えたものもおり、よりゆっくり働き、硬貨を遅れて手渡した。どちらの仕組みも泥棒には何の効果もなかった。全3つのグループで、10人に一人のヴォランティアが硬貨を盗んだのだ。

経済学では、中庸を選ぶことが普通最善だ。しかし、この場合、極端がより良い選択のようだ。厳しく監視するか、まったくしないかだ。少しの監視はよい労働者を困らせ、彼らが緩む原因となるだけだ。そしてときに、最も賢いことはただ人々にその仕事に折り合わせることだ。

Free Exchange欄より
 

発行日: 
2013-05-25
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