線を回す - 現代の錬金術

 

周期表を拡大する競争は続く
 
化学が基本となる傾向を持っているという最初の暗示の一つは、19世紀初めの、集合的にアルカリ金属として知られるリチウム、ナトリウム、カリウムの発見だった。彼らはお互いに違っているけれども、奇妙に似た性質を持っている。これは、ヨハン・デーベライナーと呼ばれるドイツ人科学者に、すべての化学的要素が家族になるのではないかというように思わせる観察の一つだった。
 
デーベライナーの推測の真実を探り出し、アルカリ金属が第1列をなす周期表を作り出すのに何十年もかかった。そして、なぜその表が機能するのかということを説明するのにさらに何十年もかかった。(それは原子核の周りを回る電子に関わりがある。)しかし、もしうまくいけば、今後数か月のどこかで元素番号119の新たなアルカリ金属の創造が、ダルムシュタットのGSIヘルムホルツ重イオン研究所の同じドイツ人のクリストフ・デュルマンによってもたらされるということは、デーベライナーの洞察への適切な賛辞だ。その追加によって、その周期表はかつてなかったことになるだろう。それは今、新たな行が増えるのだ。
 
 
 
119番が入ってくる
 
要素の原子番号は、その核にある陽子の数だ。彼らが正の電荷を帯びているので相互に反発しあうにもかかわらず、これらは強い原子間力と呼ばれる現象によって結びついている。この力のいくらかはまた、ほとんどの原子核で陽子よりも数が多く電荷をもたない、中性子によっても供給される。しかしながら、もし原子核に多すぎる、もしくは少なすぎる中性子があると、その原子核は不安定、言い換えれば、放射性同位元素になる。そして量子物理学の気まぐれは、「多すぎる」そして「少なすぎる」ということは時に重なることを意味し、それ故にある元素については安定的な同位元素(またはより多いかより少ない中性子を持った変種)がないことを意味する。
 
これは、お好みならば不安定性の島々とも呼べる、票の真ん中の二つの場所で起こる。結果として、原子番号43のテクネチウムと原子番号61のプロメチウムは常に放射性(そして検知できる量では天然には見つけられない)だ。さらに表を下に行き、原子核が重く、元素がそれほど有名ではないところへ行くと、不安定性はさらによりよく起こる。(82番の)鉛よりも重い安定的な同位体はなく、92番(ウラン)より上のものの寿命はとても短いのでそれらの物質は自然にはほとんど存在しない。そのような「超ウラン」の元素は、しかしながら、より軽いものの融合によって、人工的に作ることができる。そしてそれがまさにデュルマン博士がチタン原子(22番)をバークリウム(97番)に向けて発射し、そのいくらかがくっつくことを望んで、119番のためにやろうとしたことだ。
 
新しい元素を作るのはコツがいる。チタン原子はGSIの粒子加速器の中で自分の陽子とバークリウムのそれとの間の反発を克服するのに十分なほど早く、しかし新しく形成された119番の原子が落ち着く時間を持つ前に裂けてしまうのを避けるのに十分なほど遅く動かなければならない。けれども、正しく混ぜれば、デュルマン博士は、今後数か月の間に一つか二つの119番原子が作り出されることに自信を持っている。そしてそれは検知できるほどに長くうろつくだろう。
 
それは、(それにちなんでバークリウムが名づけられた)カリフォルニアのローレンス・バークリー国立研究所や(105番のドブニウムがその名前にちなんだ)ロシアのドブナにある核調査合同研究所との友好的な競争をしているGSIの帽子に羽根をつけるだろう。110番はダームスタチウムと名付けられ、これらの3つの研究所は今のところこの二つの間にあって見つかっているすべての超ウラン物質の製造に責任がある。もっとも目立つのは、1945年に長崎での爆発に使われ、それ故に第二次世界大戦を終わらせたプルトニウムだ。
 
 
 
祝福された島々
 
現代の超ウラン研究は、1940年代よりも平和的だ。実は懐疑的な人々は、それがなされたと示すよりも、作り出された新たな元素の価が同時に一つか二つの原子であることにほとんど理由がないと不思議に思っているかもしれない。しかしながら、それには、それなりの理屈がある。テクネチウムとプロメチウムが普通放射性ではない周期表の不安定の島々にあるように、多くの物理学者は不安定な部分の底には安定の島があると信じている。その予測は、(120番台の原子番号を持つであろう)184の中性子を持った原子核は、おそらく数百年という長さで、かなりの時間存在するだろう、というものだ。それは、少なくとも彼らに有益である機会を与える。
 
デュルマン博士の119番は、それほどではないだろう。それは117の中性子を持つだけだ。しかし、もしそれが作られれば、それは伝説的な安定の島へ向けた踏み石になるだろう。それは一般的に価値のある運命だと合意されているものだ。アメリカ人やロシア人が同じように目を向けているだろう物は、純粋に偶然のものだ。
 
 
発行日: 
2012-05-12
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