水辺には無い理想郷 - 南シナ海は永遠の議論の地域になる

中国とアメリカはアジア太平洋の安全保障についての雰囲気を作る。1年前、政策官僚と防衛高官がシンガポールのシャングリラホテルに集まり、その主題について年次「対話」を行ったとき、空気は冷たかった。アメリカの防衛大臣のロバート・ゲイツは、当時寒冷前線を掲げていた中国からの無作法な拒絶に不平を言った。会議に出席していたタカ派の中国戦略家は、非を認めず、アメリカは「中国を敵として扱っている。」と怒鳴った。

今年、6月4日に会議が再召集されたとき、シンガポールは連続する熱帯性の土砂降りで水浸しだったが、辞める間際のゲイツ氏は晴れ晴れした雰囲気で、中米関係の改善を讃えた。中国は、初めて防衛大臣の梁光烈を送り込み、ロンドンに拠点を置くシンクタンクの国際戦略研究所によって準備されたそのイヴェントを賞賛さえした。長々と演説をぶつ標準的な中国人軍人として、梁将軍は特に愛想良く、アメリカとの「協力的パートナーシップ」を讃えた。

しかし、素っ気なさから温和さへの調子の変化や批難から大はしゃぎへの姿勢の変化は、その地域における、二つの国の間に横たわるどんな議論も解決に向かって動き出しはしなかった。最大の関心である、台湾、朝鮮半島、そして東南アジアで開かれるどんなフォーラムでも支配的な話題である南シナ海(そこでは積み重なる領有権主張の網を解きほぐすことに失敗するリスクがある)が上がっている。

アメリカは直接的には関わっていない。しかしアメリカは航行の自由を保持することを「国益」だと宣言している。世界の海から生まれる貿易の1/3を運ぶ74,000隻の船が去年マラッカ海峡を通りすぎ、その多くは南シナ海へ進んだ。商業は実際には直接的な脅威には晒されていない。しかしアメリカは、ゲイツ氏がシンガポールで主張したように、アジア太平洋の強国でありつづけたいと欲している。ずっと中国の意図にビクビクしている東南アジア諸国はアメリカがそうあってくれることを望んでいる。

数日前にクアラルンプールで開かれた他の年次地域フォーラムのアジアパシフィックラウンドテーブルで、アメリカの太平洋司令官のロバート・ウィラード提督は、その海軍が南シナ海での「継続的な存在感」を維持することを目指していると語った。予算制約にもかかわらず、アメリカはその地域での展開を強化すると決心したようだ。中国がそれを歓迎しているとは思えない。その報道官はより声高にアメリカがその調査船を海岸に近づける習慣に不平を述べている。2009年に中国が嫌がらせをしたとき、険悪な喧嘩が起こった。シンガポールでゲイツ氏は中国の透明性の無さを批難し、ほとんどの詮索は「秘密」と言うよりも「謎」であると語った。中国はこの区別をほとんど受け入れようとしない。

大国による対立よりも起こりそうなのは、しかしながら、中国とより小さな主権主張者との衝突だ。その中でまだ名目上は中華民国である台湾は、北京政府の主張を反映している。これは、1940年代の地図で中国にほとんどの海を与えていることに基づいているようだ。これは1982年の海洋法に関する国連条約(UNCLOS)を無視している。他の主張者の中でもっとも強硬なのはヴェトナムで、1974年に中国によって追い立てられたその海の北に位置するパラセル諸島と、より南の(部分的にフィリピン、マレーシア、ブルネイによって領有権主張されている)スプラトリー諸島の両方に主権が及んでいるといっている。6月5日に、5月末に起きた石油とガスを探していたヴェトナムの船が調査ケーブルを中国の監視船によって切られたと言う事件に刺激されて、何百人もがハノイとホーチミンで反中国集会に参加した。

海洋生物の豊富さの他に、その海域には石油とガスが豊富にあると信じられている。ある興奮した観察者は「次のペルシャ湾」と言う言葉を使った。この恵みに対して主権主張をしている国々はすべてその海軍を増大させており、特に中国は今週公式にその最初の空母を展開すると言う長く知られてきた計画を固めた。そのような進展に対抗するため、ヴェトナムは6隻のキロ型潜水艦をロシアに注文した。

2002年に中国と10のASEAN諸国は海洋に関する行動規範の「宣言」に合意した。これは、釣り人や他の海の使用者たちの論戦が紛争に発展するリスクを最小化するために規範を正式なものにすると約束したものだ。その規範はまだ現れていない。しかし楽観主義者は2002年から抑制的な集団が現れ、人の住んでいない島や岩礁を占領しないよう示していると示唆する。(彼らは既に実効支配しているところについては精力的に守りを固めているが。)似たように、中国のもっとも最近の領有声明で議論を呼んでいる地図を含んでおらず、UNCLOSの原則を受け入れたと解釈しうると喜んでいる人もいる。

 

ダグラス・アンフェアバンク

しかしながら、中国は信頼をもたらしてはいない。ヴェトナムの調査船がその線を切られたそのころ、フィリピンは、中国の船が彼らが領有権を主張するところにあるアミーダグラス堆と呼ばれる人の住んでいない岩礁で、明らかに石油掘削装置を建設するために建築材を荷下ろしするのを発見されたと報告した。もしそうならば、それは宣言の一つの大きな成果を侵食する。「それはその棺の最後の釘になりかねない。」とシンガポールの東南アジア研究所の研究員で、中国の勃興と東南アジアの安全保障についての本の著者であるイアン・ストレイは語る。

もし中国がその岩礁の上に建設しなくても、それは東南アジア諸国、特にその中でもっとも弱いフィリピンから始めて個別にその領有権主張を牽制する意図だと認識され始めている。その地域の多くがアメリカの関与についての質問へのゲイツ氏の反応に喜んだのは疑いが無い。それは100ドルをかけて、「今から5年間、アメリカのこの地域への関与は今より強くならないとしても、同じくらいには強いだろう。」より安全な賭けは、その期間、過度の結びついた南シナ海の国際的な議論はどれも解決するのが難しいだろうということだ。
 

発行日: 
2011-06-11
雑誌名: 
記事区分: 
主地域: 
主カテゴリー: 
キーワード: 
0
まだ投票はありません

コメント

コメントを追加