所有と淑女

所有権と経済成長はいつも一緒に進むわけではないかもしれない

少なくともア・レイ・ダウの僧侶や村人の目には、アウンサンスーチーの頭から後光は滑り落ちている。その経歴をミャンマーでの働く政治家として再開したそのノーベル平和賞受賞者は、政府によって差し押さえられた土地の上にあるレパダウン山のそばの銅山開発に彼女が支持を与えることによって、今月初めに村人たちをうろたえさせた。村人たちは、政府が力によってその抵抗を壊した後で、12月にスーチー女史がその計画への調査を主催することに同意した時、もっと期待した。彼女は彼らの土地への市場価格での補償を勝ち取ったが、それを耕地利用に戻すこと、そしていくつかの場合には先祖伝来の家に戻ることという村人の望みを打ち砕いた。

スーチー女史の決定は、中国の複合企業体ノリンコの子会社が(ミャンマーの軍にくっついた持ち株会社とともに)その鉱山の合弁事業相手だという事実によって大きく影響を受けているようだ。鉱山を止めることは、中国のような外国投資家が「我々の国がその経済で信頼され得ないと考える」ことにつながる、と、彼女は3月13日にその村を訪れた際に村人たちに語ったと伝えられる。それは、ミャンマーがひどく必要としている成長が少なくなることを意味するだろう、と彼女は続けた。

その国民の貧しい層の所有権の上に国際的投資家の所有権を担保する条項を置くことで、スーチー女史は、18世紀の英国の土地囲い込みと19世紀に強制的にネイティヴアメリカンを取り除いたことまでさかのぼる経済発展のやり方を事実上裏書きしている。これは、ひいては、近年所有権の担保を成長の重要な要素としてほめたたえている経済学者にとって重要な疑問を提起する。誰の所有権が担保されるかは重要なのか?

これは、ニューヨークの外交問題評議会の経済学者テラ・ローソン=レマーによる最近の研究の主題だ。彼女は、経済学者が、もし外国投資家と地元のエリートが担保されればほかのみんなもそうだと推測する、所有権担保の単純な見方をする傾向にあると論ずる。もっとも一般的に使われる所有権担保の計測には、PRSグループの国際国別リスクガイド、ヘリテージ財団によって作られた財産権指数、そして世界銀行の世界統治指標が含まれる。すべてが外国人とエリートの経験から推定する、と彼女は語る。経済学者はそれから、財産権担保の証拠を、ある国の統治と法の支配の質の代理とみなす。

しかしながら、それはすべての住民の経験を反映していないかもしれない。ローソン=レマー女史は、少数者グループの経験に焦点を当てた代替の財産権不安指数を開発している。その指数は、メリーランド大学によってまとめられたリスクにさらされた少数派のデータベースを使う。リスクとして数えられるためには、少数集団は少なくとも10万人の人口か、その国の人口の1%を持っていなければならず、とりわけ、現在差別に直面している、過去の差別に苦しんでいる、またはその集団のためのより大きな権利を提唱する政治的組織を支持している。財産権不安指数は、土地の収用とその国の他の場所への強制移住を含んだ、これらの少数派が直面したある経済的リスクを見る。少数集団への最悪の財産不安を持った国には、ブルンジ、イラク、イスラエル、スーダン、トルコ、そして、そうだ、ミャンマーが含まれる。

経済成長と外国とエリート投資家への財産権担保との間には強い相関関係がある。しかし、ローソン=レマー女史が少数集団の財産権担保と経済成長との間の関係を見た時、彼女は何も見つけられなかった。そして、財産権担保と国連開発計画の人間開発指数のその国のランキングとの間にも何の相関関係もなかった。少数派の財産権を保証することは、経済成長に何の明白な帰結を持つようにも見えないのだ。

それは、大きく不快な示唆を持つ。もしエリートだけが財産のより生産的な使用をするための専門性と資本へのアクセスを持っており、そしてもしレパダウン山のように彼らがしばしばそれらの権利を偏狭化された人々の犠牲の下にこれらの権利を獲得するのならば、ア・レイ・ダウの村人のような人々へのより大きな所有権担保は、実際にはよりゆっくりとした成長という結果になるだろうかもしれない、とローソン=レマー女史は語る。つまり、もしいかなる対価を払っても成長が望ましいのならば、外国人とエリートの財産権強化は割に合うかもしれない。必要ならばほかのグループの犠牲の下であっても。
 

私のものかあなたのものか

ならば問題は、この安売りの間違った側にどれだけ補償するかだ。早い成長は、それ自身報償ではない。より高い成長が自動的に脆弱な集団にしたたり落ちるということを示唆する証拠はほとんどない。高所得諸国は、より多くの財産権を人々に提供する傾向にあるが、受益者はもともとの資源所有者ではない。理論的には、政府は失った所有権を失った人々に補償しつづけることができる。しかし、実際には、そのようなことを適切にしている政府の例はほとんどない、とローソン=レマー女史は語る。ひとたび土地が押収されれば、その以前の所有者の面倒を見る関心は一般的にかすむ。水力発電ダムによって移住させられた原住民に利益を与えるためにブラジルが支払った高価な社会支出は、珍しい例外だと彼女は語る。

これは、スーチー女史の難局だ。銅鉱山に進めるよう認めることは、半世紀の停滞の後にミャンマーの成長をかなり上げるかもしれない。それは、外国人投資家に強力な信号を送る。しかしそれは、もともとの所有者を貧困にとらえられ、彼らが長く頼ってきた共同体安全網なしにしたままにするよう脅かす。より公平な解決法は、現在の土地の価値だけではなく、エリートがのっとった時の潜在的価値を反映した市場価格を払うことだ。それは後光を回復するかもしれない。

Free Exchange欄より
 

発行日: 
2013-03-30
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