ジャマイカを作り直す

その困難を抱えたカリブ海の国が黄金の誕生日を祝うとき、その首相は次の50年のために準備をする
 
彼の犯罪的な君臨の高みで、クリストファー・“デュードゥス”・コークは、その強力なストリートギャングがジャマイカを殺人首都に変えるのに役立った暴力的な薬物王以上のものだった。大統領と呼ばれたコークは、政治的なドンで、ジャマイカの首都キングストンの都心部の塊の事実上の支配者だった。政府がついに彼の逮捕に動き、麻薬密輸の罪で2010年に彼を合衆国に引き渡した時、治安維持軍と彼の支持者の軍との間の衝突で76人が亡くなった。
 
コークは6月に合衆国連邦刑務所に23年間服することを宣告された。そしてほとんどのジャマイカ人は、8月6日にそのカリブ海の島国が50回目の独立記念日を祝うので、彼の没落を歓迎している。しかし彼らはまた、ジャマイカ初の女性指導者でコークがかつて支配していたざらざらのキングストンの飛び地からの初めての歓迎を受けた新しい首相のポルティア・シンプソン・ミラーが、暴力的な犯罪とそれを生み出す貧困を減らすことによって、より良い次の50年を作る役にたつことができるとも望んでいる。
 
66歳のシンプソン・ミラーは、2011年の終わりの地滑り的な勝利によって生み出された画期的な期待に気づいている。キングストンの歴史的なアップタウン地区にあるジャマイカハウスの彼女の事務所でのインタヴューで、彼女がその落ち着いた母性的な態度を失ったのは、コークについて言及した時だけだった。「私は、その政治人生を、自分たち自身を「ドン」と宣伝するすべての人々との戦いに費やしてきた。」彼女は断固たる調子で語った。「もしわれわれが共同体の人々に力を与え、彼らに職をえさせれば、デュードゥス・コークのようなものは誰も彼らの心をつかみ、誘拐することはできない。」
 
ジャマイカは、もし中米と南米の沿岸を含んだ困難を抱えたカリブ海の内海の残りではないとしても、今年の夏に歓喜と不安をやりくりした。英国から独立を勝ち取った10のカリブ海諸国のうち最初で最大のジャマイカ(人口300万人)は、そのビーチ以外にもたくさん祝福するものがある。それは機能した民主主義を持続しており、それはどの元植民地にとってもなかなかの快挙だ。「我々はその最初の50年間で強く断固とした人々であることを証明した。」シンプソン・ミラーは語る。西インディーズ大学(UWI)のような機関は、国際的な尊敬を受けている。そしてレゲエ音楽からラスタファリアン・シックまで、ジャマイカほど自分たち自身をブランド化した小さな発展途上国はほとんどない。それはロンドンオリンピックで母国に駆り立てられただろう点だ。そこでは、世界記録保持者のウサイン「稲妻」ボルトとヨハン「獣」ブレークに率いられたジャマイカのランナーたちの絶対的な力が、同じ週のその国が英国支配を破ったことを記念する活気に満ちたジャマイカのストリートフェスティヴァルで全力疾走するかもしれない。
 
しかし、金メダルはジャマイカとカリブ海諸国が直面する危機を隠すことはできない。コークの逮捕以来、ジャマイカで殺人は減っているが、特に10万人につき86人という世界最悪の殺人率を持つホンジュラスのような中米諸国といったカリブ海内界全体が、依然として世界的な殺人と大規模薬物密輸の法外な割合を占めている、と国連は警告する。対外債務が別の妨げだ。国内総生産の割合で、世界の最重債務国13のうち5つはカリブ海諸国であり、その中には150億ドルのGDPの129%を抱えたジャマイカや、ギリシャの債務GDP比165%よりも高い壊滅的な180%の債務を持つセントクリストファー・ネイヴィスも含まれる。
 
ユーロ崩壊の脅威は世界の注目をギリシャに集めている。しかし、5世紀の間、(カリブ海の底に横たわっているすべてのスペインのガレオンが証拠となる)イングランドの海賊から、ソ連の元首たち(キューバミサイル危機を考えてみるとよい)、そして(ハイチのような貧困に苦しむ島をそのお気に入りのコカインの積み替え地にした)国際的な薬物王に至るまでみんなが、西半球の連鎖した地域であるカリブ海諸国が脆弱であり、それが問題であることを示してきた。「強力な国々は、ただ我々の戦略的な場所のために、カリブ海諸国はより注意を払うべきだ。」シンプソン・ミラーは論ずる。もしわれわれが自身の問題を解決する能力を持たないのならば、それは彼らの問題だと証明しうる。
 
 
恐れないシスターP
 
それが、1月の就任式で英国君主をジャマイカの元首から外し、英連邦の国を共和国にする国民投票を要求したシンプソン・ミラーが、めったに使われない39歳のカリブ海共同体(Caricom)の復活を後押ししている理由だ。「我々だけで、もし一つのより強力な声で話したとしても、(カリブ海共同体が)多国間での債務再交渉のような多くのことを成し遂げられるとは、私は思わない。」彼女は言った。彼女はまた、ジャマイカを、コークのようなマフィアの財務を追いかける反組織犯罪タスクフォースから、その地域の保守的なキリスト教信教とジャマイカの混合主義のラスタセクトの厳しい異性愛道徳の産物である、ジャマイカとカリブ海諸国に存在する厳しいホモ嫌いの中では特に勇気ある立場だと多くの人々が考えるホモセクシャルへの市民権の改善に至るまで、改革の地域的な例にしたいと思っている。
 
シンプソン・ミラーは依然として自分自身を首相として証明している。彼女は、2006年に長きにわたって首相だったP.J.パターソンが辞めた後に最初にジャマイカハウスに入った。しかし、彼女のリベラルな人民国家党(PNP)による15年の統治の後で、有権者は変化を望み、PNPは2007年の選挙で中道右派のジャマイカ労働党(JLP)に敗れた。依然として、彼女はカリブ海のほかの女性たちに扉を開いている。同じく今年独立50周年を記録するその内海で2番目に人口の多いかつての英国植民地であるトリニダード・トバゴは、2010年にその最初の女性首相としてカムラ・パーサド・ビセサーを選んだ。「指導力を持ったより多くの女性が世界中で政府を前に押し出している。」激しく遊説できる、ボブヘアーとそのニックネームのシスターPで知られる、背が高く率直な女性であるシンプソン・ミラーは語る。「私はどんな男も、女も、どこも恐れない!」彼女は会話で愛想がいいので、ジャマイカなまりで吠えた。
 
シスターPは、犯罪的なボスと二つの政党の間の絆につながったPNPとJLPとの間の暴力的な冷戦を争った1970年代に政治的に成年となった。守備隊政治と呼ばれるその汚さのブランドは、ジャマイカをかつてないほど悩ませた。前首相のブルース・ゴールディングは、JLPが否定する、コークとの財務的なつながりと彼の保護にまつわるその党のうわさに対する批判にさらされて、2011年に辞職した。去年12月のシンプソン・ミラーの地滑り的な選挙の勝利の主要な理由は、彼女がギャングと党のつながりから距離を置いていたからだ、と彼女の支持者は語る。「彼女は、ジャマイカ政治の襟首をつかみ、新たな方向に動かすことのできる女性だ。」マイアミ大学で法学助教授を務めるジャマイカ系アメリカ人弁護士のデヴィッド・ロウは語る。
 
 
殺人を減らす
 
警察と司法の改革は、ラテンアメリカとカリブ海にわたって緊急に必要とされているが、特にジャマイカではそうだ。シンプソン・ミラーは主要組織犯罪と反不正タスクフォースを組織し、判事と裁判官により責任を持たせる立法を導入した。(殺人率が去年10万人につき41に和らぐまで、10万の住民につき60人に達していたことを考えると、ジャマイカの非常に少ない5%の殺人有罪率には当惑させられる。)新たな法はまた、当局が申し立てられた犯罪者から資金洗浄資産を押収することができるようにする。「我々の国のような調査者が多くの取扱件数を持っている資源に困った国を見るとき、重要人物を下す最善の方法は、彼らの資金を狙いとすることだ。」国家安全保障大臣のピーター・ブンティングは語る。
 
ブンティングは、シンプソン・ミラーが新たな選挙を行う必要がある2017年までに殺人率を10万人当たり12人とすることを目指している。それは、殺人率が10万人当たり27人であるトリニダードのような島々が後に続くよう刺激している。過去10年間にわたる合衆国に援助された禁止により(悪いニュースはそれが単に中米に向かって西に動いただけだということであるが)カリブ海諸国を通して薬物の密輸が減った一方で、ブンティングのようなカリブ海の治安責任者は、彼らがすでに麻薬貿易で新たな上昇を見ている、と語る。そして、もし、人口のほぼ半分が貧困にあえぐジャマイカのような場所でその地域がより多くの経済的機会を生み出すことができなければ、それは悪化しうる。
 
ここにカリブ海の判じ物がある。「その地域の暴力は経済成長に制約を課し、それはひいてはさらに犯罪や暴力に火を注ぐ。」合衆国の開発機関USAIDのラテンアメリカカリブ海担当補佐官のマーク・フェアシュタインは語る。「それは悪循環だ。」その地域での犯罪関連の費用は、観光業や外国投資の損失を含めてGDPの4%に上ると、Caricomそれ自身が推計している。失業率が14%のジャマイカは、年に5,200億ドル失っているかもしれない。
 
 
未来の島
 
債務が付加的な薬物だ。シンプソン・ミラーは、4万の職を生み出すことを狙った8,000万ドルの社会資本改善計画と、国際金融基金が望む財政健全性との間でバランスを取ろうとしている。路上では、政府の平和管理計画(PMI)が、権力闘争を取り除き、ラット・バットのような名前を持ったギャングたちからジャマイカ人を合法な仕事に向けようとしている。PMIの助けで、現在は共同体活動家の24歳のオデイン・テナントは、シンプソン・ミラーの議会選挙地盤であるセントアンドリューサウスウエストで、小さいが繁盛している都会の豚舎を経営している。「あなたに私の流れがわかるかい。」テナントは語る。「ここでの若者へのより多くの所得は、より少ないゲットーの紛争を意味する。」PMI計画のマネージャー、ダミアン・ハッチンソンは語る。「ポルティアの挑戦は、デュードゥスのようなドンによって取り残された空間を埋めるために、これらの道での彼女の信頼を使うことだ。」
 
しかし、ジャマイカとカリブ海諸国は、特に地元の事業にほとんど商業を生み出さないすべてそろった包括的なリゾートのような、低賃金観光業依存を超えて進化しなければならない。シンプソン・ミラーは、ジャマイカの特徴的なチョコレートのような土着産品への付加価値投資が一つの解法だと考えている。どちらにしても、トリニダードの莫大な石油と天然ガスの輸出にもかかわらず、カリブ海地域の成長は、ラテンアメリカが全体として2011年に拡大した4.2%のたった半分だった。「債務危機は転換点を示した。」UWIのジャマイカ人社会科学研究者で「アフリカ=カリブ海ワールドヴューとカリブ海社会の成り立ち」の著者であるオラス・レヴィーは語る。「我々の不平等は、取り組まれなければならない。そして、我々はより起業家的になり物を生まなければならない。」
 
レヴィーは、シンプソン・ミラーが、人口の90%が黒人であるその国が共和国になるよう促したように、その点でジャマイカに挑むことを望んでいる。「女王は素晴らしい人だ。」シンプソン・ミラーは語る。「しかし、我々にとっての独立は、奴隷制度から、それから植民地主義からの長い旅であり、そして今は我々独自の政府を持つべき時なのだ。」彼女はまた、ジャマイカ議会に、バルバドスのようなほかのカリブ海諸国も持っている、ホモセクシャルを犯罪化する古い方を考え直すよう要求している。「私はキリスト教徒の女性だが、人権を信じている。」シンプソン・ミラーは私に語った。「私は人々の寝室にはいかない。」
 
ジャマイカのテレビニューストークショー「オール・エンジェルス」の司会、ディオンヌ・ジャクソン・ミラーは、シスターPがその島を「我々のオリンピック走者がしているように、実力以上のものに挑む」よう押すことができると語る。もし今後50年のジャマイカがその稲妻を政治や経済に向けることができるのならば、それは、どんな男も、女も、どこも恐れない。
 
発行日: 
2012-08-13
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