アジアへの架け橋? - ロシアの極東

その国のはるか広がる東の領域は繁栄のための大計画以上のものを必要とする

ウラジオストクの沿岸を少し離れたところにある森の多い島であるルースキー島への橋は、かなり構造的な驚異だ。それは3,100メートルの世界最長の斜張橋で、エッフェル塔と同じ高さがあり、建設に10億ドルかかる。そのすべては、たった5,000人の人々がその島を故郷だと呼んでいるだけだと考えると、少し大きいように見えるかもしれない。

しかし、9月7-9日の間に、何十人もの国家元首と何百人もの企業幹部が、今年のアジア太平洋経済協力(APEC)に集まり、ロシアのアジア太平洋地域へのデビューパーティーになりそうだ。それ自体、その橋はモスクワのロシア極東開発と、ウラジーミル・プーチン大統領言うところのその「もっとも重要な地政学的仕事」であるアジアとのつながりの強化の計画の象徴だ。

モスクワのそのはるか東に広がる領域への注意は、何年にもわたる循環で動いている。ツァーリたちはモスクワからウラジオストクまで9,300キロの鉄道を建設した。ソヴィエト時代には、沿海地方は重要な軍事的駐屯地で、漁業の中心で、多くのスターリン時代の労働キャンプ(多くの囚人は解放後にその地域に定住した)だった。1990年代に、その極東は無視され、かつてのアメリカの西部のように、悪漢資本主義が辺境自助のかなり非ロシア的精神で地元民を染め上げた。

この姿勢が、首都からの地理的孤立と結びついて、その地域の攻撃的で独立した政治を説明する。中古車への高い輸入関税に対する2009年のウラジオストクでの路上デモは、去年の冬のモスクワでのデモまでは、プーチン時代で最大のものの一つだった。3月の大統領選挙で、プーチン氏は、全国での64%の得票と比べて、沿海州ではたったの48%しかとることができなかった。

困難な時代の間に、多くの人々は単に去った。いくつかの推計によれば、過去20年間でその地域は人口の20%を失ったという。国境の反対側の三つの中国の省に1.3億人が住んでいるのに比べて、今そこにはたった600万人が住んでいるだけだ。そのような大きなギャップは、その地域の少数民族のほんの少数が中国人であることを考えると無理があるように見えるが、モスクワの高官の間での中国による乗っ取りの恐れの引き金を引いている。

いずれにしても、その極東を開発するロシアの計画は、成長する中国への恐れではなく、その地域の潜在力に基づいている。ヨーロッパの危機が深まり、アジアのエネルギーと原材料への需要が増して、それはプーチン氏に、カーネギー・モスクワ・センターのドミトリ・トレーニンの言葉を借りれば、「ロシアのもっとも開発の遅れた地域が世界で最もダイナミックな地域と隣接している」ということをわからせ始めている。彼は、太平洋が現在ロシアにとって、ピョートル大帝時代のその国にとってのバルト海に当たるものになると考えている。富の素で現代性への門だ。

ロシア極東は、確かに金属、鉱物、木材を含んだ資源が豊かだ。それはまた、アジア向けのロシアのガスと石油を積み出し、アジア製の製品をロシア深くに送る、積替・物流のためによい位置にある。そしてウラジオストクの新しい空港は、その町の更新された道路橋梁網と同じように、町の生活は言うまでもなく、地域的取引のたまものだ。

しかし、その地域はまた、その国のほかのどこでも事業を邪魔している問題によって苦しめられるロシアの小宇宙でもある。「100平方メートルの工場を作るために、100平方メートルの書類が必要だ。」あるアジアの外交官は嘆く。厄介な通関手続きと貧弱な鉄道の連結は、なぜウラジオストクの輸出能力が隣国の似たような港と比べて非常に少ないのかを説明する。

特に2月まで沿海州の知事を10年以上勤めたセルゲイ・ダーキンの統治下で起こったと言われる、不正の話はたくさんある。ある韓国企業がAPECフォーラムへの準備の計画のために入札したいと思った時、しばしば言われる話が起こり、その会社がその仕事から稼ぐだろうと計算した額の倍額の賄賂を支払うよう言われた。

新しい知事のウラジーミル・ミクルシェフスキーは、対照的に、有能だとみられており、これらの問題を認識しているようだ。彼は、「投資家に違った見方」をし、国境管理から港での物流まで「管理障壁」を最小化することを約束する。しかし、彼は、ロシアの極東での政治と事業を補強する地元エリートとのつながりと権威を欠いていると言われている。

プーチン氏の注意が移った時に、APECの会議の前に作られた注目を集める建設計画を維持するためにだれが支払うのか、ということを不思議に思うものもいる。「たくさんの資金が不釣り合いに使われている。」モスクワの社会政策独立研究所のナタリア・ズバレヴィッチは心配する。その首脳会談のために作られたキャンパスは、間もなく極東連邦大学になるだろう。しかし、その地域での連邦支出は、2008-11年の間に3倍の210億ドルに達した後に、細り始めている。

最大の疑問は、ロシアのアジアの隣人たちが、ロシアが彼らにしているのと同じように、彼らに注意するのか、ということだ。天然資源とエネルギーは関心があるが、多くのアジア諸国はすでにそれらの多様な供給を持っている。例えば、中国との関係は、二国間関係の専門家ボボ・ロが言うには、中国政府の影響力がロシア政府のそれをしのいでおり、かつてないほど対等ではない関係になっている。

APEC首脳会談と関連投資で、ロシアはその極東での大計画をやってのけることができると証明した。今、その地域は、より目には見えないが同じように重要な努力である地方自治と経済ルールの改善を必要としている。さもなければ、ルースキー島橋とほかのウラジオストクの模様替えは、いかにクレムリンの修辞と野望が広大な東の荒れ地で道に迷ったかの象徴になるだろう。
 

発行日: 
2012-09-08
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