困難の海

台湾と中国は同じ海洋主権を主張しているが、とても異なった利益を持っている

中国の周りの海での入り組んだドラマの中で、台湾はしばしば多くの領域紛争に争っている参加者の長いリストの選択的な追加である、少しプレイヤーだとして配役される。しかし、5月9日に65歳の台湾漁民がフィリピンの沿岸警備隊によって射殺されたことにより、台湾は舞台の中央に移っている。その殺人は、たまたま台湾の防衛の最終的な保証者であるアメリカとの条約締結国でもある、重要な経済的パートナーとの関係に危機を引き起こした。より大きな絵の中では、そのような紛争への台湾の関与は、その島の未解決の国際的地位と、中国とのその将来の関係への注意を惹くことが避けられない。

中国は台湾を国際条約から締め出しているので、台湾は海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)を批准できない。しかし、それはその条約の原則に従う。その射撃は、UNCLOSの下で、フィリピンのものと重なった台湾の「排他的経済水域」とされるだろう、台湾の南東164カイリ(約300キロ)の所で起きた。

台湾漁船団は貪欲だという評判があり、この事件では、フィリピンはその沿岸警備隊が違法操業に対して行動をとったといった。それは、台湾の船がフィリピンの監視船にぶつかろうとした後に、そのエンジンを止めようとして火ぶたを切ったのだ、と。台湾当局は、亡くなった男は武器を持っておらず、彼の船は弾丸で穴だらけになっていたという。大衆は、扇動的な報道に刺激され、怒った。その政府は、謝罪、調査、そして補償を要求し、フィリピン労働者の雇用凍結や大使の召還を含んだ厳しい制裁を課した。争われた水域で海軍演習が行われている。一方、両国からのハッカーたちは、相手国の公式ウェブサイトにサイバー攻撃を始めた。フィリピンの最初の謝罪は、一つはベニグノ・アキノ大統領によって任命された特使から出て、卑屈だとみられたが、「不誠実」だとして拒絶された。

中国は、台湾の怒りをあおるのを助けている。その外務大臣は、すぐにその「野蛮な行動」を非難した。頼りになるけんか腰の共産党機関紙環球時報は、台湾が中国の目には待機中の省であり、その保護に値するということを義理で思い出した。その新聞は台湾海峡をまたいだ厦門大学の庄国土(Zhuang Guotu)を引用した。「中国は、台湾が中国の不可分の一部だとずっと繰り返している。今、中国は、本土からだろうが台湾からだろうがわが漁民が射撃されることを許さず、わが政府はその国民の生命を守ると決心しているということを示す良い機会だ。」

台湾の総裁馬英九は貿易と観光を増やすことを通じて、中国との大きな関係改善を統括している。しかし、それは台湾において、統一は言うまでもなく、どのような種類の中国の安保の傘への大きな共感ももたらしていはいない。そして、尖閣諸島として知られる東シナ海の日本が実効支配中の5つの島についての別の議論では、台湾は中国の怒りを招いている。

中国の見方では、その無人島は福州台湾県(そして1887-95年には台湾省)だったものの歴史的な一部だ。台湾とそれが支配する島々は、上昇する日本による戦利品として1895年に衰退する清朝から強奪された。中国は、その島は1945年に日本が負けた時に台湾に戻されるべきだったと論ずる。しかしながら、日本は尖閣を(かつては琉球と呼ばれた)沖縄の一部だとみなし、日本が1884年にそれらを「発見」するまでどの国によっても領有権主張されなかったという。(中国の人民日報は、現在の沖縄県であるすべての琉球に対するその主張に疑問を呈して、この歴史解釈すらも日本に主権を与えるかどうかの疑念を提示している。)

だから、台湾は、去年日本政府が民間地主からそのうちの三つの島を買って「国有化」したとき、最も激しい反対者の一つだった。去年の9月、台湾の沿岸警備隊は日本の海上保安船とその島の近くでやや馬鹿げた水砲戦を戦った。しかし先月、中国が怒ったことに、台湾は日本と取引をし、両国の船団がその島の周辺水域で漁をすることを許した。それは、そのすべての燃えるような愛国心にもかかわらず、台湾はそれを50年間統治した日本と密接なつながりを持ち、そしてまたそれは中国「本土」ではなく、自身の利益を追求するのだということを思い出させるものだった。
 

私の国、どちらがあなたか?

中国にとって心配すべきことに、今示されている感情は、中国ではなく台湾への愛国心に動かされている。フィリピンの最初の謝罪が退けられた最大の理由は、フィリピンの「一つの中国」政策が北京の政府だけを認識しているので、謝罪がその政府から公式に来なかったことだった。台湾でのこれに対する憤りは、馬氏の比較的親中の与党国民党(KMT)と、台湾の公式な独立を好む野党民進党(DPP)の両方をまとめる。DPPはまた、1949年にKMT政府が共産党との内戦に負けた後のその所在地としてのものを除いて、歴史的に台湾と何の関係もない領域への政府の主張も支持している。台湾は、中国と同じく、南シナ海のほとんどすべての主権を主張するあいまいな「九段線」の主張に固着する。それは、その海にあるスプラトリー諸島最大の島に駐屯部隊を置いている。去年、中国がその海に行政組織を立ち上げたと宣言した時の馬氏の意気地のない反応をDPPは非難した。

本土から少しだけ離れた小さな島の台湾による支配に長い間寛容だったように、中国はたぶん台湾の南シナ海に対する奇怪な主張を歓迎する。台湾の政府は長い間中国全土に対する正当性のその主張を維持したものである虚構のほとんどを放棄している。本土議会への議席、再征服を計画する政府機関などだ。台湾と中国が同じ領域主張をしていることは、共有された「一つの中国」の眺望の最後の名残だ。しかし、そのフィリピンとのけんかのやり方は、いかにたとえ台湾の「親中」政府でさえも実際には「一つの中国、一つの台湾」を信じているということを示す。

Banyan欄より

 

発行日: 
2013-05-18
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