性、薬、そして望み

いかに大企業は南アフリカでAIDSと戦ったか

ほとんどの経営者は、積極的な考え方の力を称揚する。しかしながら、南アフリカの新ヴァール炭鉱では、労働者は「消極的である」よう促される。これは、その炭鉱を所有する採掘大手のアングロ・アメリカンが、その従業員の間での陰鬱な姿勢を育てたいためではない。むしろ、それは彼らに元気でいてほしいのだ。

本誌が訪問した時、その炭鉱のお偉方は、従業員が自発的に(AIDSの原因となるウイルスの)HIVテストを受けるのを奨励する活動の一環として、サッカー代表チームのカナリア色のシャツを着ていた。だいたい80%がそうした。去年HIV陰性だったもので今年陽性に変わったものは誰もいなかった。早くテストを受けたものたちは、しばしばその状態について心配する理由の少ないものたちだ。にもかかわらず、これは見通しがある。HIV陰性から陽性に変わる率は、「安全性交渉指標」と呼ばれる。2005年に、それはアングロの燃料炭部門の100人の職員のうち2.1人だった。今年、今のところ、それは0.63に下がっている。ボスたちは、アングロの役員でそのAIDS政策を担当するジョン・スタンディッシュ=ホワイトの言うところの統計的に言えば「性交渉をするのに最も安全な鉱山」を示す日々の電子メールを受け取る。管理職はそれで判断される。最低点を持っている鉱山のトロフィーすらもある。HIV陽性が出たどの従業員も、アングロによって支払われる抗レトロウイルス薬を提供される。だから、HIVを持ったアングロの南アフリカの職員の17%は普通の生活を送ることができる。その会社の今の一押しは、新規感染を少なくしたり止めたりすることだ。

どれだけ変わっているか。10年前、南アフリカは破滅に直面した。HIVを持った大人の割合は、1992年のたった1%から2002年には17%に跳ね上がった。先進国でHIV陽性の人々を生きさせ健康にする薬は、ほとんどの南アフリカ人にとっては不可能なほど高かった。大勢が死んでいた。そしてその国の大統領ターボ・ムベキは、HIVがAIDSを惹き起こさない風変りな理論を促進していた。いかに黙示が避けられたかの物語には、医療労働者からAIDS活動家までの多くの英雄たちがいた。しかし、大企業もまた役割を果たした。

幾つかの産業は特に脆弱だった。鉱山労働者たちは、しばしば売春婦に囲まれた男だけの寄宿舎に住む移民たちだった。トラック運転手たちは、しばしば道路わきの売春宿で休んだ。感染は急速に広がった。熟練労働者たちは、病気になり、ゆっくりと死んだ。それぞれの重要な仕事についてそれぞれの鉱山で2人の人々に訓練され、一人が病気になっても代わりがいた。後に続く生産性の喪失は、事業を破壊する脅威だった。安全な性交渉を教える試みは失敗した。

それから、2002年の8月に、アングロの医療担当役員ブライアン・ブリンクは、彼に政策を変えるべき時だといったボスに呼び出された。アングロは、望む従業員すべてにテストを提供し、陽性の出た人に無料治療を行うだろう。その会社は、この計画にいくらかかるか、そしてそれがうまくいくかどうか知らなかった。アングロは慈善団体ではなく「結局はそれは道徳的判断だった」とブリンク博士は言う。

他の事業も後に続いた。大手醸造会社のSABミラーは、その最初の一つだった。その営業は、麦畑からバーまで危険にさらされていた。そのウイルスは、その原材料を供給する小農民、ビールを届けるトラック運転手、それを飲む顧客を襲った。(人々は時にグラス1-3杯の後で性について賢くない選択をする。)SABミラーはその職員に抗レトロウイルス薬を提供する。それはまた、安全な性交渉のメッセージを送るために、居酒屋と列車のバーのスタッフにコンドームを配る。威張り散らす奇妙な人は無視されるかもしれないが、新たな友人とバーを去る時にコンドームを使うよう提案する同僚のような、仲間からの警告はしばしば心に留められる。

このすべての結果は、誰もが思い切って臨んだよりも良かった。無料の薬は労働者にテストを受ける動機づけを与え、だから多くがそうした。活動家による働きかけと技術の改善のおかげで、薬の価格はその間に1990年代の終わりの年間一人当たりほぼ1万ドルから今は100ドルにまで急落した。製薬会社は、薬を飲むのを簡単にした。たくさんではなく1日にピル1錠か2錠でよいのだ。法人AIDS計画は、士気の改善は言うに及ばず、欠勤と職員の回転を減らすことによって彼ら自身割に合い始めている。アングロのブリンク博士は、「災害を我々が管理できるものに変える」話をする。
 

積極的家父長主義

AIDSとの戦いは、会社とその労働者との間の関係を微妙に変えている。AIDSの前には、アングロの鉱山のボスは、落盤について心配したものだが、従業員が過程でリスクを抱えても関係ないと感じたものだ。最近、彼は、その従業員の性生活に家父長的関心を持つ。SABミラーの管理職も、供給者や買い手とより近い関係を形成している。アングロがその労働者の健康をより密接に監視し始めて以来、それは肥満や高血圧の上昇といった、他の問題も発見し、それらに取り組み始めている。アングロの石炭部門のために医療ITシステムを開発したジャン・ピエナーは、太りすぎの人がサラダコーナーに導かれるようカフェテリアの回転ドアにそれをつなげることについて冗談を言う。

鉱山会社は、取り替えるのが難しいので、従業員を健康にするのに強い動機づけを持っている。鉱山労働者たちは、彼らが働く鉱山の独特な地質学について慣れるようになっている。アングロでの職員の回転は、年にたった2.4%だ。また、そのHIVへの取り組みの記録は、マラリアのような悪性の病気を持ったほかの地域での鉱業で「社会的免許」を担保する役に立つかもしれない。

AIDSに対して戦う会社からの最後の利益は、それが南アフリカの政府を恥いらせてそのAIDS政策を変化させる役に立ったことだ。ムベキ大統領は2008年に職を引いた。現在の大統領ジェイコブ・ズマはとても完璧とは言い難い。強姦の審理で、彼は感染を避けるためにHIV陽性の女性と性交渉した後にシャワーを浴びたといった。(彼は無罪になった。)しかし、頂点での無視にもかかわらず、その政府は今、600万人の南アフリカ人に、もしその免疫の強さが重大な水準以下に下がったら、HIV用の抗レトロウイルス薬を提供している。そのような治療は、キャリアをそれほど伝染性ではなくし、だから蔓延の広がりを緩める。事業は、この革命で本の補助的な役割を果たしているだけだが、尊敬に値するものだ。
 

発行日: 
2013-04-13
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