セルドン博士だと思います - 社会科学

ソーシャルネットワークからのデータは、社会科学をより科学的にしている

SF黄金時代のアイザック・アシモフの小説「ファウンデーション」は、その専門家が正確に人々の大きな集団の行動を予測することができるようにする、心理歴史学という科学を想像する。心理歴史学の発明者、ハリ・セルドンは、歴史的な暗黒時代から人類を救うために彼の発明を使う。

もちろんファンタジーだ。しかし、携帯電話とソーシャルネットワークの興隆は、新進の心理歴史学者が、予測可能性のより穏やかな傾向を得るかもしれない、情報を探すための巨大なデータを今持つことを意味する。そして、彼らのうちの何人かがAAAS会議で語ったように、彼らはまさにそれをしているところだ。例えば、ソン・チャオミンはボストンのノースイースタン大学の研究者だ。彼は物理学者だが、社会科学者として内職している。その帽子をかぶって、彼は、誰かの携帯電話の記録を見、93%の精度でその人がある日ある瞬間にどこにいるかを予測するアルゴリズムを案出した。ほとんどの人々の定期的な習慣(睡眠、通勤、仕事、通勤、睡眠)を考えると、これはそれほど難しいことのようには見えないかもしれない。印象深いことは、彼が見た5万人のだれをとっても、その精度が80%を下回ることはなかったということだ。

ノースイースタン大学の彼の同僚の一人アレサンドロ・ヴェスピニャーニは、そのような知識から何ができるだろうかを議論した。別の内職物理学者のヴェスピニャーニ博士は、疫学を研究している。彼とそのチームは、世界を多数の四角形に分けたGLEAM(世界的蔓延と流動性モデル)というプログラムを作り出した。それは、それらの四角形の間の移動傾向(混雑した道路、飛行経路など)のモデルを、国際線のつながりや学校の休日などの多方面にわたるデータに基づいた等式を使って、作る。

その結果は印象的なものだ。例えば、2009年に、H1N1というインフルエンザの種類が勃発した。GLEAMはとても忠実に、実際に何が起こったかをまねた。ほとんどの国では、新規感染者の数がピークを迎えてから1週間以内で計算された。計算に2週間以上かかったケースはなかった。

政治もまた、新しい心理歴史学者の手に落ちている。ニューヨーク州のレンセリア工科大学のボレスラフ・シマンスキは、いかに社会がその集合的な心を変えるかを研究する。人々の模擬化されたネットワークを研究することによって、彼は傾倒した少数派がほとんど全ての他の人をその考え方に変えることができる点を予測することができる。理想化されたモデルでは、この触媒の少数派の大きさは10%を下回るところだ。そのモデルをツイッターやフェイスブックといった本当のネットワークからのデータで絞り込むことによって、これらの洞察が本当の世界に応用できるようになる、と彼は望んでいる。

けれども、その活動でもっとも勇敢な考えは、スイス連邦工科大学のダーク・ヘルビングからやってきた。ヘルビング博士は、社会の一般的なコンピューターモデルを作り出すことを狙ったFuturICT計画の指導者の一人だ。

ヘルビング博士が言うように、「我々は宇宙を理解しているほどには我々自身の社会を理解していない。」しかし、物理学者は、その中にあるすべての原資を負うことによって宇宙を理解しているわけではない。彼らは、それぞれがシステムの一部を描く(重力、熱力学などの)法則を案出し、結び付けることによってそうしているのだ。似たように、社会のモデルは、地球上のすべての人間の詳細を模擬することを狙いはしないだろう。むしろ、ソン、ヴェスピニャーニ、そしてシマンスキ博士らによって概説された種のより小さなより特定されたモデルを結びつけることによって、ヘルビング博士は、彼やその継承者が最後には全社会を描くことができるだろうと望んでいる。
 

末端の男

それはとても野心的な計画だが、途中にはいくつかの有益な立ち寄り場所がある。例えば、人々が暴動を起こしそうな時を予測したり、金融危機の原因となる銀行と顧客の間の信用の崩壊をモデル化することだ。ヘルビング博士は水晶玉は不可能だと素早く指摘するけれども、これは本当にセルドンの国だ。社会のような複雑なシステムの基礎になっている数学が、あるモデルの出発状態にとても敏感だからだ。小さなエラーは広く異なった結果を生み出すのに素早く雪だるま式に大きくなりうる。しかし、今から数十年もすれば、かなり信頼できる量で短期間でかなり特定の予測をするだろう社会的天気予報の類は、問題外ではなくなるかもしれない。
 

発行日: 
2013-02-23
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