悲劇指数 - 社会的地位と健康

 

低い社会的地位は健康に悪い。生物学者はなぜかを理解し始めている
 
かつては、ストレスのかかりすぎた幹部が電話に向かって命令を怒鳴り、会議をキャンセルし、事務所に遅くまで残り、心臓病で死ぬというのが現代性の固定観念だった。それは、1960年代にはじまった英国の公務員の一連の調査であるホワイトホール研究の前の話だ。これらの研究は、真実は正確に反対だということを発見した。序列の頂点にいる人々は、実際にはもっともストレスが少なく、最も健康な人生を送っているのだ。心停止、そして実はどんな原因によるものでも、早死は、下っ端の特権なのだ。
 
そのような結果は、人間社会と、強い社会的階層を持ったほかの霊長類の両方で、それ以来何度も確認されてきた。しかし、傾向がよく理解される一方で、その基礎となる生物学的メカニズムはそうではない。国立科学学会報にちょうど掲載されたばかりの研究は、しかしながら、その問題にいくらかの光を注ぐ。
 
その中で、シカゴ大学のジェニー・トゥンとヨアフ・ギラッドに率いられた研究者グループが、マカクザルの地位の効果を見た。実験によると、これらのサルは、ホワイトホール研究の発見とサルのような同等物を示したという。両方の事例での山のすそ野にいるもの中での病気の高いリスクは、低い地位の生化学的反応がその生物の免疫システムに反応するということを示唆する。これらの反応は、ひいては、その生物の遺伝子の発現方法の変化に依存しているに違いない。この現象を調査することは、社会的階層を扱うことを意味するが、それを人間についてやるのならば、それは難しい(そしておそらく倫理に反する)だろう。しかしながら、サルにならばそれをすることができ、その研究者たちはそうした。
 
 
 
不健康な肉体の不健康な精神
 
トゥン博士とギラッド博士は、49頭の中位のメスザルを選び(たくさんの動物階層についての実験がメスで行われているのでメスザルが選ばれた)、彼女たちを4-5頭の群れに分けた。研究者たちは、そのグループに入った順番によって個別のサルがそのグループのどこにランクされるかを管理することができた(新しく入ったサルはほぼいつでも既存のグループメンバーに対して従属的な役割を受け入れる)。その階層はそうして作られ、そのチームは、彼女の生化学へのサルの地位の影響、特にいかに地位が様々な遺伝子の活動に影響するかを測定するために、サルの細胞のテストを行った。
 
その答えはたくさんだ。トゥン博士とギラッド博士は、それぞれのサルの6,097の遺伝子(サルのゲノムの、またはそれについて言えば人間のゲノムのすべての30%にあたる)の発現を観察した。彼らは、社会的地位と遺伝子の活動との間の相関を調査し、987の遺伝子で彼らはそれを見つけた。地位の高い個体でより活動的だった遺伝子もあれば、地位の低いものでより活発だったものもあった。その関係は、逆にしても機能するほど丈夫なものだった。ほかの情報なしで血液サンプルだけを与えられれば、グループの中での個体の地位を80%の精度で予測することが可能だ。
 
次の問題は、これらの遺伝子が実際には何をしているのか、ということだ。それらの実体の一部にとって、十分に確かな答えは、それらが免疫制度の様子を規制するということだ。特に、地位の低い個体は、(影響を受けた場所での組織の腫れと免疫細胞の活動増加を伴う一般的な免疫反応である)炎症を引き起こすのと同様に、様々な免疫関連細胞と情報伝達要素の生産に関連した遺伝子の、高いレヴェルの活動を示した。研究者たちはその責任のある猿の健康をはっきりと調べたわけではないが、長期にわたる一般的な情報では、人々において、心臓疾患からアルツハイマー病に至る長い病気の一覧にとって危険要素だ。
 
最後に、そのチームは、遺伝子発現のこれらの違いの裏にあるメカニズムを調査した。前の作業を続ける中で、彼らは、高位のそして低位の個体が、免疫制度を規制しストレスに反応する糖質コルチコイドと呼ばれるホルモンの集合への刺激反応に、異なったレヴェルを示したことを発見した。彼らはまた、その動物の免疫制度それ自身の中にある細胞の混合体の中にも変化を見つけた。しかし、新しいことは、そして大変興味深いことは、彼らが初めて、後生的変化と呼ばれる現象が働いているという証拠を発見したということだ。
 
現在分子生物学のもっとも熱い話題の一つである後生性は、メチルやアセチルグループと呼ばれる化学構造があるかないかによって、遺伝子が活性化したり不活性化したりする過程だ。トゥン博士とギラッド博士は、メチル化傾向が、高位と低位の動物で機能的に異なることを発見した。重要なことは、これらの変化が、一般的に細胞が分裂した時に生み出される娘細胞に手渡され、それ故にその動物の生涯を通して永続するということだ。後生的特徴付けが社会的地位を作ることに伴われる程度により、地位はその動物の細胞が複製されることによって維持されるかもしれないのだ。
 
 
 
運命の子供?
 
進歩を信じる者は、しかしながら、後生性が必ずしも運命ではないことを知って喜ぶだろう。メチルグループは、現状維持に役立つかもしれないが、もしその状態が外部の事件によって妨害されれば、それらは拭い去られ、新しい状態が置かれる。
 
トゥン博士とギラッド博士は、彼らのサルの何頭かがグループ内での地位変化をしたので、これを発見した。それが起こった時、新しい地位にふさわしい遺伝子発現の変化がすぐに起こった。その低い地位を打ち破って自由になったものは、健康特権をほとんどすぐに受け始めるかもしれない。
 
どんな動物研究とも同じように、これは単にまっすぐ人間に置き換えることはできない。しかし、それは人についての研究者が使うことのできる指針を提供する。特に、その実験は、社会的地位が変えることのできるたった一つの要素であることを確認し、それは因果関係の鎖が、低い社会的地位から、免疫システムの混乱を通して、健康の悪化という形でつながっており、その逆ではないという強い証拠を提供している。最高の薬は、だから、昇進なのだ。繁栄し、長生きしろ。
 
 
発行日: 
2012-04-14
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