富豪階級の政治 - アメリカの富裕層課税

アメリカの富裕層はもっと支払うべきだが、それには彼らの所得税率を上げる必要はない

普通のアメリカの大統領選挙では、事業で財を成し、ばかげたほど低い税率で支払っている候補者は、ほとんど非難されなかっただろう。アメリカ人は、長い間、富を、中傷され再分配されるべきものではなく、何か賞賛され追及されるべきものだとみなしてきた。アレクシ・ド・トクヴィルは、「富の恒久的な平等の理論に、より深い蔑みが表現された国を知らない。」と語った。

しかし、これは普通の選挙ではない。いかにしてミット・ロムニーが(民間投資会社の無慈悲な世界の中で)富を稼ぎ、(いくつかの中産階級の家庭が支払っているよりも低い税率の15%という)彼の税率の両方にそれほど多くの監視が注がれているか、ということが、何か変わっていることの兆候だ。それには、まさに上位1%が1920年代以来見たこともないほどの国民所得の割合をひったくっている時に、アメリカの中間家庭の実質所得が7%下がり、下がっているとはいえ失業率が厄介なほど高いままの10年が理由としてある。多くのアメリカ人がウォール街占拠運動の戦術や流行選択を好んでいるわけではないが、経済が富裕層のためにあるというその運動の意見は少なからぬ人々が共有している。

そして、豊かな人々は今では選挙の論点になっている。バラク・オバマは「大金持ち」に「公平な部分を支払う」よう要求する。金持ちへの最低税率を導入し、最高所得税率を35%から39.6%に戻し、ほかの98%のアメリカ人はより多く支払う必要がないだろうと彼は主張する。共和党はどのような増税も雇用と事業の信用を破壊するだろうと打ち返す。彼らは予算の穴を歳出削減だけで埋めることができると考えており、多くはさらなる減税を求めている。

どちらの側も常識を語っていない。アメリカの富裕層は全くもっと多く税を支払うべきだが、限界税率は上げるべきではない。ほとんどの予算が歳出削減にさらされるときには赤字の削減が最もよく機能すると歴史は示している。それは、オバマ氏がその支持者たちに何を言おうと、中間層の権利部分が減らされなければならないことを意味する。しかし、ほかの予算削減と同じように、共和党が何を言おうと、ある部分はより高い税から来なければならない。

民主党は上位1%だけがより多く支払う必要があるという。それは誤解を招きやすい。ほかの人たちも払わなければならない。しかし、増加分のより多くの部分は最近の傾向からよい業績を上げた富裕層が負担すべきだ。技術的変化と世界化はほとんどの熟練労働者、特にアスリートであれヘッジファンドの経営者であれスーパースターへの需要を激しくし、それ故に鋭く不公平さを増した。税制はこの傾向を和らげるよりも悪化させた。ジョージ・ブッシュ父は、配当やキャピタルゲインに対する税率と同様に最高税率を引き下げた。これが、なぜウォーレン・バフェットやロムニー氏がそのような低い税率なのかを説明する。
 

金に続け

しかしながら、オバマ氏が提案するように、最高税率を回復することは、富裕層から追加的収入を得るのに最高の方法ではない。それはGDPの0.3%の収入を上げ、アメリカの異様に複雑な税制をより効率的にするには何の役にも立たないだろう。それよりも、現在GDPの7%を占め、(たとえば人々に大きな不動産を取得するよう奨励して)行動を歪め、ほとんどが富裕層に利益をもたらす、抜け穴や控除を閉じたり制限した方がはるかに良い。不動産補助を含んだ控除の中には、段階的に廃止されるべきものもあるだろうが、多くはすぐに廃止できる。同じように、資本、配当、そして通常所得の税率をそろえることは、現在豊かな世界で最高のものの一つであるアメリカの法人税率を低くすることを可能にするだろう。

その結果は、低い税率、より多くの収入、そしてより効率的で累進的な税制度となるだろう。もしそれが富についての議論を終わらせるところならば、それは価値のあるものだろう。
 

発行日: 
2012-01-21
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