大きな考えの男 - ポール・ライアンの政府観

いかにしてある小説家、ある経済学者、ある大統領、そしてある聖人がポール・ライアンの政府についての見方を形作る助けをしたか

ポール・ライアンはアメリカでもっとも有名な予算オタクかもしれない。しかし、彼は数をかみ砕く人以上のものだ。ライアンの予算数学は、彼の多くの知的アイドルからの政治的そして経済的理論から引き出されている。ミット・ロムニーがポール・ライアンと同じくらい保守運動の大きな考えを愛するということはありうるが、彼は確かに彼の副大統領候補の趣を持ったすでに亡き作家や経済学者の名前をチェックしていないだろう。ロムニーよりも「彼は一層行動保守で、より保守運動の産物だ。」と、保守的なヘリテージ財団の総裁エドウィン・フュルナーは語る。

ライアンは、彼のキリスト教の価値の理想を保持する一方で、政府の大きさと範囲を削減し、権利付与を徹底見直しし、アメリカ人をワシントン依存から一般的に引き離して、少なくとも政府を変えることを望んでいる。ここに、ライアンが実践に移したいと思っている大きな考えを持った人々の何人かがいる。
 

作家:アイン・ランド

ライアンがそれについて語るのを聞くと、「肩をすくめるアトラス」と「水源」という長編小説の著者以上に誰も彼の世界観を形作っていない。「私が公共サーヴィス全体に夢中になった理由は、もし一人の思想家を上げなければならないのならば、それはアイン・ランドだろう。」2005年にポールはランドのファンの集まりで語った。2003年に、彼は「肩をすくめるアトラス」をクリスマスプレゼントとして彼のスタッフに与えると語り、彼は彼女の作品を事務所の「必須文献」として要求している。ランドは、人々がその真の熱望を追及するときに社会はもっともよく機能するので、自分勝手さは美徳だと論ずる、個人の自由の情熱的な信者だ。「あなたの幸福の達成はあなたの人生のたった一つの道徳的な目的だということを受け入れろ。」彼女は「肩をすくめるアトラス」で書く。ランドは、政府を幸福の障害物だとみなした。現代のランド主義者の右に引っ張る力は、政府はただ非効率で高価なだけでなく、自由意志の成長を妨げる依存の文化を創り出す、実際には非道徳的なものだ、と論ずる。

ライアンの修辞法はこの見方にこだまする。「オバマ大統領の税金があまりに大きすぎたり、保健計画がなんかかんかの政策理由のために機能しないとかいうだけでは十分ではない。」彼は2009年に語った。攻撃されているのは、たった今何が起こっているかの道徳性であり、そして、生産し、成し遂げ、成功するために彼ら自身の自由意思に向かって働いている個人の道徳性をそれがいかに犯しているかということだ。その原動力は「アイン・ランドが評しているだろうと私が考えているもの」だ、と彼は加えた。

彼の地位が上がるにつれて、ライアンはランドから距離を取ろうとしている。特にリベラルなカトリックの集団がその宗教の「盲目の信念、現実の事実によって・・・支持されていない信念」をあざ笑った女性への彼の賞賛をたたいた後には。「私は彼女の哲学を拒絶する。」ライアンは4月にナショナル・レヴュー誌に語った。「それは無神論者の哲学だ。」
 

神学者:トマス・アクィナス

もし無神論者でなければ、聖人はどうだろう?「もし誰かがある人の認識論についての見方を私に貼り付けようとするならば、トマス・アクィナスにしてほしい。」ライアンは今年の初めに語った。神の存在と人間行動の道徳性について広範囲にわたって書いた中世の哲学者は、1323年に聖者に列せられ、のちにすべてのカトリックの学問組織の守護聖人と宣言された。

ライアンは、数字の男として知られているかもしれないが、彼はまた社会問題についての彼の教会の指導に従う敬虔なカトリック教徒でもある。カトリックの奉職として私がする仕事は、私が最大限理解できる社会原則に準ずるものだ。」彼は4月に語った。それは、ライアンが母親の命を守るため以外には強姦や近親相姦の場合ですらも禁じられるべきだと言っている堕胎へのはっきりとした反対を意味する。生まれる権利を守る全国委員会は彼に満点を与え、去年ライアンは、トッド・エイキン議員の「正当なレイプ」についての考えの後でますます注目を浴びるようになった点である「強制的な強姦」と近親相姦の犠牲者の堕胎への連邦拠出を制限するだろう法案を共同提出した。彼はまた、同性結婚と、合衆国軍の「訊くな言うな」政策のオバマ氏による破棄にも反対する。

しかし、ライアンは、カトリックの教義が彼の社会問題への見方以上のものを知らせると語る。彼の歳出削減の使命は、幾分かはヴァチカンによって引き起こされたものだ、と彼は4月に語った。ローマ教皇ベネディクトは大きな債務を抱えている政府、共同体、そして個人は「将来世代の犠牲のもとに生活」し、「偽りの生活」をしていると非難した、と彼は語った。それならば、ライアンの予算は、少なくともその製造者の目では、公平さと正直さの活動として解釈しうる。
 

経済学者:フリードリッヒ・ハイエク

ライアンは最初、オハイオのマイアミ大学の学生として、1944年の本「隷属への道」の著者でオーストリアの経済学者のフリードリッヒ・ハイエクの作品に突っ込んだ。それ以来、ハイエクは反政府保守派にとって試金石になっている。ハイエクは、政府の経済への介入を、政治家が正しく管理するには複雑すぎると言って、強く反対した。「隷属」の中で、彼は政府の経済への介入は、社会のすべてについての国の管理に、もしかしたら独裁制にすらもつながることが避けられないだろうと論じて、更に踏み出した。(その本は、最近、ワシントンが極端に新しい権力を蓄えていると確信したティーパーティーの活動家のお気に入りになっている。ライアンは最近、その経済学者の「致命的な自負心」の概念を彼が引用した2011年の保守政治活動会議での演説を含む、ハイエクの考えを実施しており、「少数の官僚が、社会のすべてについて何が最高かを知っているか、自由市場で相互作用を行う多数の自由な個人よりもひとの要望や必要について多くの情報を持っている、という考えはどちらも間違っており傲慢だ。」と付け加える。

ライアンはほかの良く知られた自由市場経済学者の影響を認めている。一人は、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスで、彼はおそらくもっとも有名な金本位制維持の提唱者である共和党リバタリアンのロン・ポールの英雄である。ライアンはまた、金融政策を通して失業対策をすることはインフレにつながると論じたシカゴ大学の経済学者、故ミルトン・フリードマンの賞賛者でもある。それは、連銀はその決定において雇用に比重を置くべきではないというライアンの見方を知らせるかもしれない。フリードマンは今なら「極端な連銀批判者だろう」、「我々は本当に金融の観点からの火遊びをしている。」とライアンは最近語った。

しかしながら、彼の自由市場経済への愛にもかかわらず、ライアンの批判者は彼の投票記録がより複雑だということに注目する。ライアンは、二つの巨大な政府の経済介入を支持した。銀行と自動車の救済だ。彼のメディケア案ですらも、何人かにとっては十分ではない。「彼が、メディケアを節約したいということはとても明白だ。」アイン・ランドびいきのアトラス協会の上級学者エドワード・フッジンスは注目する。「我々は、民間部門が、彼らが自動車保険を運営しているようなやり方でこれを運営するのを見たいのだ。」
 

議員:ジャック・ケンプ

ライアンは1990年代初めに大学を出たばかりのころ、ジャック・ケンプが議会をやめた後に共同設立したシンクタンクのエンパワー・アメリカで、ライアンがそのもっとも重要なメンターの一人だと呼ぶケンプのために働きに行った。ケンプは、減税が少なくとも幾分かはより速い成長を通して彼らにとって割が合うと考えるサプライサイド経済学の擁護者として、おそらく当時もっともよく知られていた。高所得者の税率が50%にもなった1970年代の中ごろに考え出された供給側理論は、政府が人々の追加的な所得の大部分を持っていくのならばより稼ぐために一生懸命働かないので、高い税率が産業と成長を窒息させると考える。この理論にとって重要なことは、低税率が成長を加速し、経済を拡大し、全体的な税収を増やすので、減税が大きな赤字の原因にならないという考えだ。

その政治的魅力は明白だ。問題は、純粋な供給側理論をまじめに受け取った経済学者は(ほとんどが税率が成長にいくらか影響することは認めるが)ほとんどいないということだ。ロナルド・レーガンとジョージ・W・ブッシュのもとで行われた減税は、結局急増する赤字が後に続いた。何年にもわたって財政保守派は供給側理論を拒絶した。ジョージ・ブッシュがそれを「ブードゥー経済学」と呼んだことは有名で、前上院議員のウォーレン・ラドマン、ピート・ドメニシ、アラン・シンプソンといった共和党の予算タカ派は一般的に賛成した。

ライアンは、それを違ってみる新世代の共和党員の一人だ。若い男として、ライアンはケンプのヴィジョンに幻惑された、とかつてケンプの支持者で現代の供給側の推進者の最近の批判者であるブルース・バートレットは語る。「供給側運動の周りをウロウロし、ジャック・ケンプが歩いた地面をある種崇拝する親衛隊がいつでもおり、ポールはその一人だった。」

無派閥の税制センターの分析によると、ライアンの予算は今後10年で4.3兆ドルの減税を行い、一方彼はその金額の半分しか歳出削減の詳細を示していない。ライアンは、彼の減税が、経済を潤し収入を増やして違いを作る役に立つだろうと語る。しかし、彼の計画の下での成長についての彼の推測はかなり楽観的で広く受け入れられてはいない。

しかしながら、共和党が彼の予算を取り入れたことは、党内でのサプライサイダーの勝利を示す。ケンプはかつて、ワシントンのすべてのサプライサイダーを一つの電話ブースに合わせることはできないと冗談を言った。しかし今、彼の弟子が党を支配している。ライアンは、その間に、ケンプの考えに新たなひねりを加えた。初期のサプライサイダーが歳出水準よりもはるかに税率を強調した一方で、ライアンの議会予算案は防衛以外のほとんどの分野で連邦の支出を1950年代の水準に減らすだろう。社会保障やメディケアといった権利付与に取り組むという彼の大っぴらな決意は、長く政治的に自殺的だと考えられてきた政策だが、彼のランド的な見方と供給側の見方を融合している。「ポールはジャック・ケンプとは違う。彼は政府の大きさについて心配しているからだ。」ヘリテージ財団のフュルナーは語る。「ジャックは多かれ少なかれ我々はいつでもそれで切り抜けて成長することができると説得した。私はジャックですらもこれで切り抜けて成長できると言えるとは思えない。」
 

大統領:ロナルド・レーガン

しかし、ライアンは楽観主義者以外の何者でもない。彼はまた、比較的純粋な保守主義ブランドが政治的経済的な成功への道だとも考えている。その意味で、彼は現代保守運動のもっとも成功した産物であるロナルド・レーガンの相続人である。(レーガンは、ひいては、その1964年の大統領選挙がミット・ロムニーの父親のジョージを含んだ穏健派共和党主流派指導者たちへの非難だったバリー・ゴールドウォーターの改革的保守主義の相続者だった。)

レーガンのように、ライアンは彼のイデオロギーについて弁解をしない。彼は、地元の観察者が言うには、幾分誇りを持ってその保守的な見方を持つという彼の意志によって、左寄りになるウィスコンシンの議席を守っている。レーガンもまた、擁護者で周りを固め、彼らの考えに基づいて大きな減税を可決した、供給側経済学を信じるものだった。そしてレーガンのように、ライアンは彼の議題に快活な笑顔をのせ、彼の予算数学が貧困層や高齢者にとって冷酷なものだと考える批判者を武装解除させる助けになる。

「政府は解決法ではない。」レーガンは論じた。「政府が問題なのだ。」もしライアンが有権者にそれが本当だと納得させることができれば、彼は間もなくそれについて何かをするのにとても強力な地位に就くだろう。

US Election 2012欄より
 

発行日: 
2012-09-03
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