医者を押し出している - 医療の未来

医療の中心での医者の役割は圧力にさらされている
 
ボストン郊外のフラミンガムの静かな通りにある窓のない部屋で、ロブ・ゴーズワードとその同僚たちは、保健における最も困難な問題を解決しようとしている。いかにして高齢化しそれ故に病気がちな人々を効果的に世話するかということだ。壁には典型的な患者の写真が貼ってある。こちらには時折運動する男性が、あちらには多くの慢性疾患を持った女性の写真、といった具合だ。大きな紙が、起こるかもしれないすべての問題とそれに対処する方法を示した多岐にわたる線で、それぞれの患者の病院から家での快適な生活へ戻る経路を示している。このようにして健康への多くの道を表にするために、ゴーズワード氏のチームはたくさんの患者と看護師に面接した。
 
しかし、この「戦争部屋」は病院には属していない。それは、オランダの電機会社であるフィリップスのものだ。フィリップスの家庭監視事業の革新部長であるゴーズワード氏は、何の医療訓練も受けていない。彼の専門は、消費者だ。
 
過去150年間は、医者にとって黄金時代だった。いくつかの点で、彼らの仕事は、1,000年間同じようなものだ。彼らは患者を検査し、彼らの病気を診断し、それをよりよくするようにする。しかしながら、19世紀半ばから、彼らは新たな高位を享受している。医者組合と医療学校の興隆は、医者と偽医者を分ける役に立った。免許と処方箋の法律は、彼らの地位を安置した。そして、理解、技術、技能が進化するにしたがって、医者はより効率的になり、首尾一貫して診断できるようになり、効率的に治療し、そして衛生やワクチン接種といった実際に機能している公衆衛生介入に助言するようになった。
 
これは報酬をもたらしている。コンサルタント会社のマッキンゼーによれば、アメリカ以外の先進国では、専門を持たない医者は平均的労働者の約2倍の所得を稼ぐ。アメリカの専門医は、アメリカの平均賃金の10倍稼ぐ。医学位は社会的地位の普遍的なバッジなのだ。生計を立てるものもいる。医者は命も救う。
 
21世紀は確かに医療への需要が上がるので、医者の星は依然として日の出の勢いを見るかもしれない。2030年までに、先進国クラブのOECDの22%の人々が65歳かそれ以上になり、1990年の割合のほぼ倍になる。中国はそのたった6年後に追いつくだろう。アメリカの大人の約半分は、糖尿病や高血圧といった慢性症状をすでに持っており、世界がより豊かになるにつれ、豊かな国の病気はさらに広がる。カルカッタのスラムでは、感染症は若者の命を奪う。中年の大人にとって、心臓病と癌がもっとも一般的な死因だ。去年、国連は(史上たった二度目の)健康についてのサミットを開き、世界中での慢性病による死者の増加について警告を出した。
 
しかし、この保健への需要は、前世紀にそうだったようには医者に合っているようには見えない。一つには、保健についての20世紀のやり方で21世紀の問題を処理することは、不可能なほど多数の医者を必要とする。ほかの理由は、慢性症状への対処は医者が得意とするものではない。これら両方の理由によって、医者は保健の中心ではなくなり始めており、その過程は幾つかの場所ではすでに始まっている。
 
 
 
間に合わせ、修理する
 
ほとんどの国では、単純なミスマッチに悩んでいる。保健への需要が医者の供給よりも早く増えているのだ。豊かな国々には免疫がないのだが、その問題は先進国で最も鋭い。保険が悪名高いほどに非効率だということも一因だ。過去20年間でアメリカの全体としての労働生産性は年に1.8%上がった一方で、保健部門でのその数字は毎年0.6%下がっている、とブルッキングス研究所のロバート・コッハーと最近までハーヴァード大学にいたニッキル・サニは語る。しかし、医者の訓練の代替的な方法や医者それ自身への代替への関心がほとんどの革新を生み出しているのは、貧しい国々だ。
 
医者をより効率的にする一つのやり方は、彼らが何をするかに焦点を当てることだ。インドが、この線に沿った世界でもっとも興奮させるモデルのいくつかの母国だ、とマッキンゼーの保健事業を率いるニコラス・ヘンケは論ずる。英国には1万人の患者につき27.4人の医者がいる。インドはたったの6人だ。そんなに少ない医者で、それはその使い方を変えている。
 
特派員は最近、バンガロールのナラヤナ・フルダヤラヤ病院の院長デヴィ・シェティが、黄色くなった心臓に注意深く侵入し、小さなたこに似た塊を取り出すのを見た。それは難しそうに見えた。ナラヤナ・フルダヤラヤ病院のほかの仕事のいくつかはそうではない。シェティ博士の目標は、品質に妥協することなく、できるだけ多くの手術を提供することだ。それをするために、彼はその外科医がもっとも複雑な手続きだけをするようにしている。ほかの大群の労働者がほかのすべてのことをするのだ。その結果は、アメリカでの似たような手術の約1/15の1回2,000ドル以下での手術だ。
 
そのやり方は、保健のほかの分野でも繰り返された。インドのライフスプリング病院は、それほど高くない助産婦と一緒の医者を増やすことによって出産の価格を下げる。その費用は、プライヴェート・クリニックの約1/6だ。アラヴィンド眼科ケアシステムは年間約35万人の患者に手術を提供する。手術室には少なくとも二つのベッドがあり、だから医者は一人の患者から次の患者に回転することができる。もっとも重要なことは、それぞれの医者につき、手術室で医者の訓練を必要としない無数の仕事を行う、アラヴィンドによって勧誘され訓練された若い女性たちである6人の「眼科ケア技術者」がつくということだ。
 
ほかの問題は、労働力のギャップを埋める技術というほかの解決法に触発されている。ビルとミランダゲイツ基金は、ガーナで妊婦に助言と注意を届けるのに携帯電話を使う計画を支援している。12月にその基金と非営利組織のグランド・チャレンジ・カナダは、保健労働者が様々な病気を診断する役に立つ新たな携帯型の道具のために3,200万ドルの贈与を行うことを発表した。メキシコでは、心配な患者はメディカル・ホームに「通信保健」サーヴィスで電話することができる。もし患者に治療が必要なときは、メディカル・ホームは医者の訪問の準備をするのを助けることができる。しかし、患者の懸念の約2/3は(しばしば最近資格を得たばかりの)一人の医者によって電話越しに解決されうる。
 
これらの計画は拡大している。メディカル・ホームはコロンビアにそのサーヴィスを広げ、今年の終わりにはペルーで営業することを計画している。アラヴィンドはその訓練モデルを約30の途上国に輸出している。シェティ博士はすでにインドに14の病院を持っている。彼は、この先7年で大きな医療コンプレックスと小さな病院に3万の病床を加え、ケイマン諸島に病院を建てることを計画している。
 
技術は遠隔診断を可能にするだけではない。それは遠隔手術も可能にするのだ。2001年にニューヨークの医者は、ストラスブールの勇敢な女性の胆嚢を取り除くために遠隔操作のロボット装置を使った。ロボットは、人の手がするよりも石灰をよりきちんとすることで、医者がより正確に、そしてよりどこにでもいることができるようにする。今のところ、それらは医者にとってかわるよりも拡張するものだが、やがては変わるかもしれない。軍事無人機は、航空学校の高価な苦難を経験してきた幹部によって飛ばされて動き始めた。最近、はるかに徹底的な訓練を受けていない地位の人が管理することができる。
 
 
 
チームの努力
 
それほど派手ではない技術は、けれども、医者の媒介を必要とする危機の数を減らすことによって、最大の違いを出すことができた。マータ・ペティットはニューヨークのブロンクス区で最大の病院システムであるモンテフィオレ医療センターから運営する慢性病を管理する計画で働いている。ペティット女史とほかの「ケア・コーディネーター」たちの部隊は、健康記録とヘルス・バディのような患者の家にある装置から集めたデータの流れを吟味した。ドイツ企業のボッシュによって作られたヘルス・バディは、患者に毎日の症状について質問をする。もし糖尿病患者の血糖値が上がったり、うっ血性心臓病の患者が突然の体重増を示したりしたら、ペティット女史は患者を呼び、必要に応じて、彼女の上司の看護師に警告する。
 
ほかの仕事はより簡単だが、重要であることには変わりがない。モンテフィオレは、一人の老女がブロンクスの混雑した道路であるグランド・コンコースを渡るのを恐れているので、医者の診察を受けなかったことに気が付いた。だから、モンテフィオレは、コンコースの彼女の家の側に新しい医者を見つけた。全体として、そのような方法は違いを生み出す。糖尿病患者が病院へ出かける率は2006-10年の間に30%上がり、その費用は12%下がった。
 
似たような計画は、監視者が進歩するにつれてよりさらに洗練されるだろう。患者は、以前よりも、オンラインで買った装置を使って家で自分自身で監視する方がより幸せであり、装置製造者はその流れをはるかに進めることに巨大な成長の潜在力があると考えている。フィリップス、ゼネラル・エレクトリック(GE)などはみんな、家庭医療へのその投資を増やしており、彼らの既存の製品を売る市場を広げている。(フィリップスは、高齢者への緊急警報装置で日本に押し入ろうとしている。)GEのデザイングルは、患者の全体の体調は、体温計で体温を測るのと同じくらい簡単に測ることができるだろうと予測する。
 
そのような技術は長い間見通しがあるとみなされてきた。最近、その見通しは裏付けられ始めている。英国はフィリップスからの機械を含んだ世界最大の無作為通信保健技術の試験を完成させた。その研究は慢性病を持った6,000人の患者を検査した。英国保健局による2011年12月の予備的な研究結果によると、緊急室への入室は20%下がり、死者数は45%急落した。
 
 
 
健康に戻すよう看病した
 
保健制度を変えるのは複雑だ。改革者は、医療ロビー、神経質な患者、そして誰が何をどこでするかもしれないのかについての規制の塊によって困らされる。しかし、特に労働市場の低い地位で動きがある。インドの保健省は、卒業生に田舎の地域で基本的な初期ケアを行わせる新たな3年半の学位を提案している。シェティ博士は、より広い技術を持った労働者を生み出すための幅広い訓練計画から彼の病院は利益を受けうると考えている。
 
医者よりも少ない訓練を受けた労働者は依然としてかなり効果的になりうる。ジョージ・ワシントン大学のジェームズ・カウレイによれば、アメリカの医者の助手は一般的な開業医の仕事の約85%ができるという。医療省が拡大したいと思っている型のインドの地方医療労働者のパイロットプログラムは、その労働者が基本的な病気を診断し、適切な薬を処方することが完全にできたと見つけた。いくつかの領域では、非医者の方が実際には好ましいように見える。英国医療ジャーナルに発表された英国、南アフリカ、アメリカ、日本、イスラエル、そしてオーストラリアでの実地看護師の研究の評価は、看護師によって治療された患者はより満足し、医者によって治療された患者と同じくらい健康だと判定した。
 
しかし、非医者の供給を拡大することは、本質的には、十分ではない。アメリカは、実地看護師と医者助手の役割を開発することで世界を主導している。ほかにも、より少ない訓練しか受けていない労働者がそこでも浸透している。2年間の訓練を受けた「診断医療音波検査者」の数は2010-20年の間に44%跳ね上がることが予想されている、と労働統計局は言う。しかし、生産性は依然として下がっている。これは、物ごとのやり方と保健チームの管理の仕方の新しい方法の歩調があっておらず、依然として医者の管理下にあるためのように見える。
 
医者の力は、彼らが選ばれても訓練もされていない管理の洞察力よりも、職業的な名声に基づいている。しかし、それは彼らが保ちたいと望んでいる力だ。医者のロビーの地域団体であるアジアオセアニア医療組織会議は、緊急事態だけに制限した「仕事の移行」を望んでいる。日本の医療団体は実地看護師の創出に激しく反対している。地方の幹部のためのインドの提案はその国の医療主流派を怒らせており、3年半の学位を作るという法制排気歯が無くなっている。
 
2010年に、アメリカの尊敬される医療研究所(IOM)は、看護師に初期ケアでより大きな役割を果たすよう要求した。ほかの障害とともに、看護師は州ごとに多岐にわたった制約に直面している。しかし、どんな変化も最初に医者を動かすことを要求する。主要な医者ロビーであるアメリカ医療組織は、罵りにヴェールをかけてIOMの報告を迎えた。「看護師は医療チームには重要だが、教育や訓練に替わるものはない。」そのグループは声明の中で述べた。
 
医者が希少になり、保健費用が上がり続けるにつれて、制度にはより一層の革新が必要となり、彼らの成功はかつてないほどに広く知られるようになる。すでにモンテフィオレの行っているような計画は、患者を健康に保つためのパラダイムになっている。12月に、アメリカの健康局はモンテフィオレをケアの改善と高齢者の費用削減のためのパイロットに選んだ。
 
これはすべて興奮の原因になって当然だ。資源はゆっくりと再割り当てされている。看護師やほかの医療労働者は彼らの訓練がよりよく使われるようにするだろう。装置は、かつてには考えられなかった方法でケアを支えるだろう。一方医者は、彼らの技術をその高度に訓練された能力の価値がある複雑な仕事に捧げるだろう。医者はそれ故に彼らの古い立場のいくつかを失うかもしれない。しかし、患者は明らかに勝利を得る。
 
 
発行日: 
2012-06-02
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