空っぽの男 - 日本の空洞化

 

日本の脱産業化は、恐れるほど完成もしておらず、被害を与えるものでもないかもしれない
 
今では30年間順調に進んでいる日本の「空洞化」が加速していると広く認識されているとき、その国の産業家は勝つことができないと感じたに違いない。何年間も、彼らは急速に変わる世界に取り残されていると非難されている。彼らの危機回避的な経営、重苦しい意思決定、そして収益性よりも市場シェアの重視のため、韓国や中国のより俊敏なライヴァルに追い越されてきた。コンサルタント会社デロイトの久保島悠の言葉では、日本企業は事業の市場で世界化を包含したが経営ではそうしなかったので10-20年失ったという。
 
去年の3月11日以来、しかしながら、日本企業はほとんど反対の理由で砲火にさらされている。あまりに早く破壊的な地震、津波、そしてそれに続く原子炉溶融に反応しすぎたということだ。この理由で、朝日新聞の元主筆の船橋洋一は自身のすぐ後に、上級の産業家たちがその計画について議論するときにCの字(中国)に言及しないよう注意深かったと書いた。生産をそこに移すことによって母国の困難から逃れることは、見苦しく、非愛国的に見えたのだ。
 
サン・ディエゴのカリフォルニア大学の日本事業教授ウルリケ・シャエデによると、日本の製造業の約1/5はすでに日本の外にあるという。電機では、その割合は30%以上で、車では半分を超えたところだ。悲観論者は、この過程がそれが母国に戻った跡に産業化後の荒廃を残すだろうと恐れる。日本では「産業と雇用は崩壊の際にある。」巨大車メーカートヨタの社長、豊田章男は5月に嘆いた。
 
日本での産業の衰退は、ほかの豊かな国に比べればそれほど急速なものではなかった。OECDの情報によれば、2000-08年の間に日本の製造業雇用は約1/10減っただけで、それに比べてアメリカでは約1/5、英国では1/4だった。そうだとしても、悲観論者は、かつての輸出原動力が一貫して月次の貿易赤字で操業していると指摘する。
 
2011年の災害は日本の製造業を外国に追いだす圧力を強めた。何年間も、円の強さはその経済の弱さを無視してきた。津波の直後に、豊かな国の中央銀行は、その通貨を上げるためではなく、その更なる切り上げを止めるために協調介入しなければならなかった。エコノミストの中には、円は重力を永遠に無視することができないと論ずるものもあった。しかしながら、ほとんどの企業は無期限の綱渡り行動の計画をしなければならなかった。
 
業界団体日本自動車部品産業協会(JAPIA)の髙橋武秀は、弱い円の望みをあきらめていると語る。電機大手のソニーは長く生産を世界化してきた。それは、ドル建て費用の生産を増やすことによって、それはドル=円の動きへの感度を「ほとんどゼロ」にまで減らしてきた。しかしながら、ユーロ圏に費用を変えることは難しく、ユーロに対して1円上昇すると、営業利益を600億ドル失う。
 
新たな大きな心配は、電力だ。福島原発災害の直前に、原子力は日本の電気のほぼ30%を供給しており、政府はそれを2030年までに50%に増やすよう計画していた。先月以来、日本はここ数十年で初めて原子力発電なしになっている。比較的安い電気の信頼できる供給はもはや当然のことではない。
 
円と電気は長い心配一覧表の中のただの二つだ。さらなる地震、特に長く恐れられている東京への「大きいもの」の危険がある。人口の減少は、次第に縮小する国内市場を意味する。法人税は高く、労働市場は硬直している。そして他国が二国間や地域的な自由貿易協定に競うにつれ、日本はかなり見ているだけだ。
 
しかしながら、多数の要素は、脱出へ急ぐのを遅らせている。一つ目は、最も脆弱な産業での多くの生産がすでに動いたということだ。そして、どこへ動くべきかについての悩ましい問題がある。巨大な急成長する市場の磁力を持った中国がリストの一番上だ。しかし、そこには、上昇する中国人の労働費用、法の支配、知的財産権の保全、最近の経済の減速、そして指導権を巡る乱闘が明らかに起こっている中での政治的安定性すらも心配になっている。
 
日本の外国投資が好むほかの国でも、それぞれ固有の問題に直面している。もっとも人気のある目的地の一つであるタイは、それ自身安定の手本からは程遠い。さらに、母国での津波の苦悩に苦しみ、多くの日本企業はそれから、その年の終わりのタイでの洪水による供給網の破壊に直面した。「50年に一度」の災害と表現されるが、多くが災害はかなり早めに再発しうると恐れている。
 
今のところ、日本に生産を残すことは魅力的なままだ。5月にトヨタの豊田氏は日本で大きな設備を残すと約束した。トヨタの広報担当、ドイ・マサミは、今年作る960万台のうち、340万台は日本で作られるだろうと語る。そのうちのほぼ半分は輸出されるだろう。ドイ氏は、これがトヨタの高熟練の日本の労働者の価値に基づいた商業的な決定だと主張する。しかし、豊田氏は、自動車メーカーは「日本を健康に、そして日本を笑わせるよう」真剣に働かなければならない、と語った。それは、より国家的使命のように、もしくはもっと皮肉的に言えば、最終利益に焦点を当てるよりも、ブランドイメージへの懸念のためのように聞こえる。しかしながら、ほかの自動車メーカーは、母国にとどまることにそれほど関与していない。
 
 
 
たたくことも泣き言をいうこともせずに
 
日本はすでに、タンブル乾燥機からDVDプレーヤーに至るまで幅広い製品で競争力を失っている。しかし、楽観主義者は、それがハイテク素材、化成品、部品といったニッチを確立しており、それらはそれからどこか他の所で消費財に組み込まれる、と論ずる。つまり、それがいつもそうするよう言われてきたように、供給網を前進させているのだ。長い間の貿易黒字の後で、それは輸出が減速し、特にエネルギーの輸入が上昇するにつれ、それは面食らうような赤字によろめいている。しかし、円が強いままである一つの理由は、経常収支が健全に黒字のままであることだ。それは、大部分が海外投資家らの所得収入のおかげだ。職を海外に輸出し、利益を母国に送るという空洞化は、その補償を持っているのだ。
 
Banyan欄より
 
 
発行日: 
2012-06-09
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