種族の力

事業家たちはアングロ圏、中華圏、そしてインド圏を考える必要がある

ソ連が崩壊し、東西の古いかっちりとした分割が終わって以来、人々は世界を分割する新しい方法を発明している。1990年代には、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本について語ることが流行だった。現在では、専門家は成熟市場と新興市場の間に線を引く。

地理学者のジョエル・コトキンは、別の枠組みを提案する。ロンドンにあるシンクタンクのレガタム研究所で発表された論文「新世界秩序」の中で、彼は 文化のプリズムを通して世界を見る。歴史と、共有体験と共通慣習の習慣とのつながりは、誰が誰とビジネスとするかについてたくさんのことを教えてくれる。 コトキン氏は、14世紀のアラブの歴史家、イブン・ハルドゥーンを引用し、「集団感覚によって結びついた種族だけが砂漠の中で生き残ることができる」。 「砂漠」を「世界化した経済」に置き換えれば、これは現代の世界をとてもよく表す。

コトキン氏の議論は、最近の研究に一致している。「世界価値観調査」は、共通の価値観に従って世界を大きな価値観地域に分けている(儒教圏、英語圏 など)。これらの共通の価値観は単に所得によっては説明できない(英語圏が豊かになりがちで、豊かな国が自由になりがちだ、といったように)。ビジネスス クールのIESEのパンカジ・ゲマワットは、共通言語を共有している国の間では、そのつながりがないところよりも42%多く貿易すると計算する。かつて帝 国主義でつながれていた国々の間の貿易は、188%跳ね上がる。帝国主義のつながりは、共通通貨(それは貿易を114%だけ押し上げる)よりも貿易の傾向 に影響する。

文化的つながりは、それが取引費用を引き下げるので、事業にとって問題になる。種族的な忠誠は信頼を育てる。文化的親近性はコミュニケーションを満 たす。契約を読むことは有益だが、人々を読むこともまた必要となる。自由貿易と電子通信が世界をより近づけたとしても、近親関係は依然として価値がある。 シリコンヴァレーのインド人は他のインド人とチームを組み、中国系アメリカ人は台湾や上海で事業を行う。

最も力強い文化的ネットワークの一つはまた、最も古いものの一つでもある。中華圏だ。中国の成長の強さは、その外国の中国人とのつながりによって補 強される。7千万人ほどの中華民族が中国本土の外で生活している。12世紀から15世紀の間の中国の帝国主義的拡大の期間に中国からやってきて、今のイン ドネシア、ヴェトナム、マレーシア、そしてミャンマーに住んだものの子孫もいる。より最近では、共産主義の恐怖から逃れたり、アメリカや他の豊かな国での より豊かな生活を求めて脱出したものも多くいる。彼らは世界のあちこちで中国とつながっているのだ。

海外の中国人は、中国本土への最大の投資家だ。2009年に中国が受け取った海外直接投資(FDI)の68%ほどが1位の香港、4位のシンガポー ル、そして9位の台湾と言った、中国系が多数派である場所からのものだ。外国の中国人はまた、中国の世界的拡大の先兵だ。たとえば、アフリカには、広東か らの最新のものを売る中国系商店街が点在している。中国政府は文化的つながりの重要性を把握している。それは、中国語を教え、中国のソフトパワーを育てる ためにたくさんの孔子学院に資金を出している。

世界で2番目の新興勢力も、トップからの指導はそれほどでもないが、似たようなことをしている。インド本国の成功は、インド圏によって補強され、再 び関連づけられている。インド系はアメリカの人口の1%以下しかいないが、その国の最高の大学の卒業生の13%を占めている。英国では、インド系は全国平 均よりも少なくとも10%は多く稼いでいる。インドの海外投資の上位5カ所はいずれも大きなインド系人口を持っている。モーリシャス、アメリカ、シンガ ポール、アラブ首長国連邦、そして英国だ。英国で教育を受けた新しいボスが率いるインドの財閥、タタグループは、英国の製造業の最大の雇用者だ。

3番目の大きな文化圏は「アングロ圏」だ。ゲマワット氏は、英国のかつての植民地と拒絶された母国との間のつながりをはかろうとしている。彼は、モ ノ、サーヴィス、FDI、移民、そして(電話の通話回数ではかった)情報の流れに注目した。彼は、旧植民地と英国との流れと、それ以外の地域との流れを比 較した。彼は、貿易の流れが13%、資本の流れが24%、人と情報の流れは驚くべき93%高くなることを発見した。アングロ圏は、大ヨーロッパ文化圏にと どまるものではない。ゲマワット氏は、スペインの旧植民地とのつながりは英国のそれよりも強いと、いくつかの指標から計算した。

アングロサクソン資本主義の評判をひどく傷つけた2008年の金融危機にもかかわらず、コトキン氏は、アングロ圏はしばらくの間は強力であり続ける と予測する。それは世界最大の経済圏だ。それは、世界のGDPの中で(購買力平価で見て)中華圏が15%、インド圏が5.4%占めるのに対して、1/4以 上を占めている。それは依然として、科学と技術の泡だらけの泉だ。アメリカは他のどの国よりもはるかに多くの科学的論文を生み出しており、英国は5位に なっている。英語が国際共通語に一番近い位置にいる。それは国際的な事業と外交を支配している。それはまたアングロ圏を勃興するインド圏に結びつけてい る。
 

世界的部族人

この世界の見方は、はっきりと、望むべき何かを残している。文化はすべてではない。賢い企業は、血縁や背景ではなく、実力主義によって人々を雇う。 あまりに排他的な企業は、外部者によって生み出されたよい考えを失う。また、異なった文化圏の間の線は、しばしばぼやける。英国は、古い統治領とともに、 ヨーロッパの方へと引っ張られている。しかし、文化的つながりは、それを無視するのがばかげているだろうということを説明している。多くの事業が世界的 な流浪の民に変わっている時代に、種族への忠誠の持続する力は覚えておく価値がある。
 

発行日: 
2012-01-28
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