何が英雄的な紛争にするのか - 内戦の科学

内戦の勃発と拡大を予測できるコンピューターモデルが開発されている
 
過去10年かそこらの間、世界で最も進んだ軍隊を指揮する将軍たちは、伝統的な戦闘の発生の正確な予測に頼ることができてきた。天候と地勢そして交戦国の数、兵器類、場所、訓練と士気の高さの情報があれば、ワシントンDCのデュピー研究所によって設計された戦術的数値決定論モデルといったコンピュータープログラムは誰が、どれだけの速さで勝ち、どれだけの死傷者が出るかを予測できるのだ。
 
しかしながら、ゲリラ戦争は、この種の開かれた戦争に比べてモデル化するのが難しく、しばしばそれに先立つ内乱はさらに難しい。最近そのような紛争が支配的な戦いの形なので、将軍の見方では残念なことだ。難しさの理由は、一般的な蜂起の燃料がハードウェアではなく、コンピュータープログラムがそのアルゴリズムではとらえるのが難しい型の社会的要素だからだ。フェイスブックやツイッターへの投稿や村のグループの間での電話の会話による感情的な温度を解析することは、戦車の射程距離や軍隊の弾薬や燃料の在庫のような物理的な情報を解析するよりも、常に難しくなる。
 
難しいが、不可能ではない。豊かな世界の軍事大国の戦略室やシンクタンクでは、反乱や不規則戦争をどのようにモデル化するかという問題に、俊英たちが取り組んでいる。ゆっくりとだが確実に、彼らは成功しており、その過程の中で、彼らは政治家や軍隊が反乱の性質についてよりよく理解することに役立っている。
 
 
 
SCARE戦術
 
この分野でもっともよく知られた計画の一つは、兵士になったコンピューター科学者メジャー・パウロ・シャカリアンに率いられたチームによってウエスト・ポイントの合衆国軍事学校で開発されたSCARE、Spatio-Cultural Abductive Reasoning Engine(空間文化推論エンジン)だ。SCAREは、不規則紛争領域のもっとも軍事的に伝統的な端で操業している。ゲリラ軍がすでにおり、理論上はより良い武装をした正規軍にとって、事態を難しくしている地点だ。それは、もちろん、ヴェトナムやイラク、アフガニスタンでのアメリカ軍の経験だった。メジャー・シャカリアンと彼のチームは、イラクとアフガニスタンでのゲリラの行動を分析し、信頼できるモデルを打ち立てるのに十分なほど理解したと考えている。
 
彼らの重要な洞察は、これらの国々での紛争の現地の性質だ。特に、占領軍に向けられた爆弾は、一般的にそれらが作られた場所のそばに、そして爆弾製造者の部族や同じ宗教の領域に送り込まれる。それはもちろん驚きではない。異なったゲリラ集団が最も直接的な外国軍を追い出すということ以外には目標について常に見解が完全に一致するわけではないかもしれない場所では、血縁者や同じ信仰者は戦争においてもっとも信用できる同盟者だ。しかし、それはメジャー・シャカリアンと彼のチームに便利な入口を与えた。かつて爆破された場所の座標、地勢図や街路図からの情報、そして、ある地域の民族的言語的そして信仰の「人間活動分野」の情報を使って、SCAREはゲリラの軍用品集積所がどこにあるかを700メートルの範囲で予測することができる。これは完全ではないが、有益なやり方で探索を集中することができるのには十分に近い。
 
さらに、SCAREの焦点は間もなくより正確になって当然だ。メジャー・シャカリアンの最新の仕掛けは、計算の中に電話通話の傾向の情報を含むことだ。この仕掛けを入れたプログラムの更新版は、来月には作られるだろう。
 
これらすべては、紛争が始まれば、それを処理するのに有益だ。しかし、もし可能ならば、物事が起こる前に何が起こるかを見ることができれば、さらによい。そしてこれについては、アメリカ海軍がリフトランドと呼ばれる計画を進めている。
 
リフトランドは、ヴァージニアのジョージ・メイソン大学でコンピューター社会科学の教授をやっているクラウディオ・シオフィ・レヴィラによって、海軍のために開発されている。それは、(その名前の由来となっている)大地溝帯周辺の東アフリカの一部に特化したものだ。この地域が現在もしくは最近の内戦の舞台となったコンゴ、エチオピア、ルワンダ、ソマリア、そしてウガンダを含んでいるのは偶然ではない。しかし、その考えは、現地の状況に合わせれば、世界のほかの部分に一般化しうるだろう。
 
大雑把にいえば、リフトランドは、慈善団体、学界、そして政府機関から集められた多数の情報を通してそのやり方で咀嚼することによって機能し、これらを人々の集団がどこへ行くのか、そして旱魃や武力紛争のときにだれと彼らが衝突するかもしれないのかということを予測するために使う。シオフィ・レヴィラ博士は、(名前を特定することはないだろうが)家畜の薬を他者と分かち合う考えで知られている遊牧民部族の例を挙げる。そのモデルが予測するには、この部族は、自分たちの動物を健康に保つことに頼っている集団の土地を横断するときはより安全だと計算するだろうという。別の点は、ラジオや携帯電話を持っている部族は、彼らの血族に対する政府の残虐行為がニュース報道された後に道路の余白を運転するだろうということだ。三つ目は、牧畜民の動きの多くは、シオフィ・レヴィラ博士が、現在お互いに敵意を持っていたり、誰が誰に借りがあるのか、といった部族間の「IOUSの複雑なネットワーク」と呼ぶ知識によって修正された牧草地の状態の2次的な情報から予測することができるということだ。
 
 
 
敵意の感情
 
リフトランドによって取り扱われた種の紛争は、中央政府が軽いか存在しないところでの万人の万人に対する戦争であるが、近年ではアフリカのこの部分で特に特徴的だった。国がより強いはるか北では、アラブの春に初めにみられた種の都市部の暴動がより一般的な脅威だ。そのような脅威に直面した政治家たちは、マサチューセッツ工科大学のピーター・グルーアによって開発されているコンドルとして知られるさらにほかのソフトウェアに関心があるかもしれない。グルーア博士は、確かに、中東の独裁者の仕事を助ける仕事をしているわけではない。彼は実際には、ドイツ最大政党のキリスト教民主同盟のコンサルタントだ。しかし、民主主義者であっても独裁者であっても、権力の座にあるすべての政治家はデモや街頭抗議活動への嫌悪を分かち合っている。
 
コンドルは、ツイッター、フェイスブックそしてほかのソーシャルメディアからの情報を通して吟味し、どのように公共的抗議活動が進化するのかの予測にそれらを使って機能する。それは、グルーア博士がデータの「感情分析」と呼ぶものによって行われる。
 
感情分析は、最初に、抵抗者たちの影響力によって彼らを分類する。例えば、影響力のあるツイッターユーザーは、フォロワーをたくさん持っているが、自分はほとんどフォローしていないといった具合だ。彼のツイートは概して快活(「素晴らしい」、「楽しい」、「面白い」、「よい時間」、「楽しい映画」、「あなたは好きになる」といった言葉を含む)で、素早くリツイートされ、ほかの人々を揺るがすようだ。グーグルによって開発された方法に同意し、グルーア博士はこの過程を「人々のページランキング」と呼ぶ。
 
このように抵抗者たちを格付けし、コンドルはそれから、彼らの産出がどのように変わるかを見るためにリストの上からこれらを追いかける。グルーア博士は、少なくとも西側諸国では、快活なツイートが「ない」、「決して」、「不十分な」、「嫌いだ」、「愚かな」といった消極的な言葉がより頻繁になると、非暴力的な抵抗運動は燃えつき始めるということを見つけた。政府内や思想的反対派の愚か者について不平が多くなるということは、ある運動の衰退の良い兆候だ。自分たちの運動内部の愚か者や、仲間のデモ参加者によるビール泥棒のような不適切な行動への不満は、すべてのことがほとんど終わったことを示唆している。
 
コンドルは、それから、現存する抵抗運動の方向を予測するのが上手だ。政治家の立場から言えば、さらによいことに、抵抗運動が起こる前に、そのようなことを予測できるかもしれないことだ。驚くまでもなく、研究者の中にはこれをしようとしているものもいる。
 
マサチューセッツ州ウォバーンの会社、アプティマは、その一つだ。E-MEME(Epidemiological Modeling of the Evolution of MEssages:メッセージの進化の疫学的モデリング)と呼ばれるそのプログラムは、どのように意見と精神状態が、活動家だけではなく、全人口にわたって流れるかを見るのに、感情分析を使う。それは、オンラインのニュース源、ブログ、ツイッターからデータを持ってきて、大衆のある部分のある考えに対する「感受性」を格付けしようとしている。アプティマの技術者長のロバート・マコーミックによれば、E-MEMEは、エジプトのどの部分にイスラエルとの国境問題について多く気にしている人を含んでいるか、といったことから、旱魃時にある国のどの部分が最も水と必要とするかということまで様々な物事を決めることができるという。
 
大きなアメリカの防衛会社、ロッキード・マーチンに率いられたWorldwide Integrated Crisis Early Warning System:世界中の統合危機早期警戒システム(W-ICEWS)計画は、さらに遠くまで行っている。その計画の政府連絡管であるワシントンの防衛大臣官房のメリンダ・モーガン中将によると、それは、デジタルニューメディア、ブログやほかのウェブサイト、そして諜報や外交報告からもまた大量のデータをかみ砕くことができるという。それはそれから、これらすべてを、暴動、反乱、クーデター、経済危機、政府の取り締まり、そして国際戦争を発生に数か月先だって予測するのに使うのだ。モーガン中将は、この過程を「ソーシャル・レーダー」と呼ぶ。
 
紛争予測者は、ソフトを改善する試みとして、オープンソースの集団に参加すらしている。去年の8月に、諜報サーヴィスのためのアメリカ政府の技術開発機関のIARAPは、オープン・ソース・インディケーターズ計画を始めた。これは、政治的危機や大衆暴力を信頼できる方法で予測して「ニュースをやっつける」ことのできるソフトの開発者に資金提供するものだ。その計画のマネージャー、ジェイソン・マセニーは、今までのところ重要になっている提案を考えている。これらは、Wikipediaの編集追跡から路上カメラによる交通の監視にまでわたる。マセニー氏が考えていない提案は、アメリカ自身の紛争を予測するために設計されたもの(CIAは合衆国の人々をスパイするようには考えられていない)と、アメリカであってもほかのどこであっても特定の個人を監視することに頼ったものだけだ。
 
 
 
真ん中にいるゲリラ
 
しかしながら、ただ未来を予言するよりむしろ、最高の技術はそれを作ることに集中しても当然だ。W-ICEWSはそれを少し提供する。それは、利用者がインプットを変えて、現実世界の異なった事件によって物事がいかに異なって発展するかを見ることのできる、「what if」能力を持っている。しかし、メリーランド大学のヴェンカトラマナ・サブラマニアンは、より特定なものを提供する。60万ドルのアメリカ軍資金を使って彼らが開発した一時的蓋然性ルールシステムだ。そのプログラムは、770の社会的、そして政治的指標を見て、パキスタン統治下のカシミールを拠点とするゲリラ集団のラシュカ・エ・タイバによる攻撃を予測するのに使う。もしそれがうまくいけば、この過程は、異なった指標の集まりを使って、ほかの反乱集団に応用できるかもしれない。
 
サブラマニアン博士のモデルについての重要な点は、それが攻撃を予言するだけでなく、それはまたどのようにそれに対抗するかを示唆する。サブラマニアン博士はもっともなことだが、詳細について隠しているが、一つの例を挙げる。もし攻撃がグループ構成員の間の複雑な調整を必要とするのならば、そのソフトは彼らの間の間違った通信を偽造することによって「被害妄想を蓄える」のを薦めるかもしれない。
 
4月2日に、バラク・オバマ大統領はラシュカ・エ・タイバの指導者ハフィフ・サイードに対して1億ドルの報奨金を発表した。もしその報奨金やほかのそのようなものがいつの日か地球の反対側のプログラマーのグループのために請求されれば、それは実に内戦ソフトの時代の到来を記録するだろう。
 
 
発行日: 
2012-04-21
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