サーヴィスエレヴェーター

貧しい国々は製造業を飛び越えてサーヴィス業で豊かになれるのか?

インドのサーヴィス革命は豊かな世界のビジネスを眩ませた。それはインドの会社を世界的な競争相手にし、ハイデラバードのような僻地の街を豊かで洗練された技術センターに変えた。だが、経済学者はそれほどスターに心を奪われておらず、産業革命以来はびこっている標準とされる知恵に固執している。近代化は農業から始まり、製造業を通ってそののちにやっとサーヴィスに至る、と言うものだ。今ではいくつかの順番を破った例がある。

経済を進歩させる伝統的な道を支持する理論はまっすぐだ。発展は、一般的に、自作農のような低生産性の活動から高生産性の部門に労働者が移動することを伴う。それは製造業への移動の傾向を示す。なぜなら、製造業はそれ自身専門家と規模の経済を与え、それはどちらも労働者あたりの生産額を上げるのに必要だからだ。最初に日本が、そして台湾と韓国が、今では中国が証明してきたように、製造業は生産物を豊かな国々に輸出できるので、その点でもまた発展を加速する。

それに対してサーヴィスは、生産性にとって鬼門だ。散髪やレストランでの食事は個人に届けられ、そこには規模の経済や輸出をもたらす潜在力はほとんどない。人々は技術進歩がその価格を下げた時ではなく、豊かになり他のニーズをほとんど満足させたときにより多くのサーヴィスを消費する。まったく、ウィリアム・ボーメルが1960 年代に議論したことで有名なように、国が豊かになり、その国民はサーヴィスを熱心に買うようになるので、その生産性の成長が低いことは避けられない。

伝統的な英知は今火に包まれている、と世界銀行のエジャズ・ガニは記す。彼は、技術とアウトソーシングにより、サーヴィスは既存のハンディを克服したと論ずる。商売、ホテル、レストラン、そして公的部門といった伝統的なサーヴィスは、多く古い制約に縛られたままだ。しかし、ソフト開発、コールセンター、(医療記録の転写などの)業務委託といった現代的なサーヴィスは、熟練労働者を使い、規模の経済を享受し、輸出できる。つまり、それは製造業のようなものだ。もしそうならば、貧しい国々は、製造業を越えて農業からまっすぐにサーヴィス業にいけてもおかしくはない。

そしてそれは正確に何がおこっているようなのかだ。インドがもっとも目立った例かもしれないが、たった一人の先駆者とは言い難い。パキスタン、スリランカ、そしてネパールはそれほど目をみはるものではないが、インドを真似している。貧しい国々では、全体として、1980年からサーヴィス業は産業よりも成長に寄与してきた。インド、パキスタン、スリランカでは、サーヴィス業の生産性向上もまた産業部門よりも早かった。その3ヶ国では、(購買力平価で測った)生産性のレヴェルは、産業部門よりもサーヴィス部門の方が高い。ネパールでは、サーヴィス部門の方が3倍も生産性が高い。東アジアとは違うパターンだ。ガニ氏がかいているように、「南アジアの成長パターンは中国やマレーシアというよりも、アイルランドやノルウェーに似ている。」

発展の産物というよりもむしろエンジンとしてのサーヴィス部門の役割を強調すると、1985年には貧しい国々のサーヴィス産出のだいたい6%だった輸出は、2005年にはほぼ10%まで膨らんでいる。ブルンジ、スワジランド、そしてルワンダでは、1995年から2008年までの間に、皆25%以上のサーヴィス輸出の伸びを記録している。ケニアは会計のような専門サーヴィスを近隣諸国に輸出している。

サーヴィス業には製造業に比べていくつかの利点がある。それはより早く女性を雇用することができ、環境負荷が小さいようだ。大都市に位置するため、それは都市化を加速する。現代的サーヴィスは、どちらも海外市場への物理的な参入を必要とする、法律家のような伝統的サーヴィスや物品の輸出よりも保護主義の影響を受けにくいことは間違いない。

サーヴィスは、しかしながら、すべての国々にとっての答えではないかもしれない。南アジアはかなりの運に恵まれた。インドの主導的なソフト輸出者は、アメリカで教育を受け、帰国した技術者によって設立された。英語話者が多ければ、アメリカでサーヴィスを売りやすい。多くの他の途上国にはこの利点がない。

 

仕事から逃げ出すな

すべての中で一番問題なのは、現代サーヴィスは熟練労働者を必要とし、それは貧しい国々に豊富な未熟練労働者ではない。南アジアでは、サーヴィス従事者は、一般的に、産業労働者よりも1年から3年多く教育を受けている。現代サーヴィスでは、学校の成績や大学の学位がしばしば必要とされる。高い生産性の裏側には、現代サーヴィス業が比較的少人数しか雇わない、ということがある。インドの12億の人口の中で、わずか200万人だけがIT産業で働いている。残りの南アジアでは、たったの10万人だ。それが、なぜインドが、そちらも盛り上がっているのだが、製造業を促進するのにまだ熱心なのかということの理由だ。

実に、多くの国々にとって、サーヴィス業の成功は、製造業の失敗に対する告発状なのだ。インドとスリランカでは、厳しい労働法がより競争力のある製造拠点の出現を妨害している。対照的に、インドでは、IT産業を重要産業だと宣言し、いくつかの州で24時間操業の禁止を解除することによってその部門を助けた。南アジアでは、サーヴィス業は電話線の数や100人あたりのパソコン数などで測られる通信インフラへの投資から利益を得、一方で製造業は舗装道路の不足により妨害された。

これにより、これらの問題を解決した国々にとって伝統的な知恵はまだ正しいことが示唆される。製造業は多くの人々にかなりよい給料の仕事を約束する。それほど幸運でない人たちには、少なくとも別の道がある。

Economic Focus欄より
 

発行日: 
2011-05-21
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