鎖につながれたボス

会社のボスはかつてほど強力ではない

難破のあとに疲れ果てて、「ガリヴァー旅行記」の英雄はリリパット島の上で目覚め、たくさんの「細い糸」で縛られているの気づく。ガリヴァーは彼をとらえた小さな人々よりもはるかに強い。しかし、一緒に働くことによってリリパット人たちは巨人を征服する。

1月25-29日にダヴォスに集まるボスたちは彼らが想像しようとするよりもずっとガリヴァーのようだ。彼らは、(スイスの保養地の凍った歩道で滑るのを避けるために実用的な靴を履いて)政治家と親しく話し、次から次へと会合を渡り歩くので、大きいと感じるかも知れない。そして専門家は、いつもしているように、ダヴォスの男たちが世界を分割しているのではないかとやきもきする。しかし、これらのボスたちが仕事に戻ると、彼らはダヴォスに出席していないものたちが彼らを縛った小さな糸が彼らをかつてないほどきつく縛っているのを発見する。

20年前ボスたちは比較的自由だった。アメリカの社長たちはフォーブスやフォーチュンの表紙で英雄的なポーズをとり、従順な取り巻きを役員に任命した。スウェーデン=スイスの複合企業であるASEAブラウン・ボヴェリのボス、パーシー・バーネヴィックと言ったヨーロッパ人たちは、CEOのアメリカ的文化を古い大陸に輸入した。しかし、それ以来、連続する災難、特に2010年のエンロンの圧縮と2007-08年の金融危機は、強すぎるボスへの批判者たちに力を与えてきた。2010年に二人の法学者マルセル・カハンとエドワード・ロックは「困難を抱えたCEO」という重要な記事を発表した。それ以来、彼らはより困難を抱えることになった。

一つの兆候は、このところボスは長続きしないと言うことだ。世界の2,500の大きな公開会社の間で、辞職したCEOの平均在任期間は、2000年に8.1年だったものが、現在では6.6年になっていると、コンサルタント会社のブーズ&カンパニーは言う。その短期化は寛大な中国の国有企業以外では急になっている。2010年に世界でのCEOの回転率は11.6%だったが、中国はその半分だった。ブーズはまた、株主がボスにその力を証明するのにとても短い時間しか与えていないことに注目する。レオ・アポテカーは(ソフト会社の)SAPのボスとして7ヶ月、そして(コンピューターの大企業の)ヒューレットパッカードのボスとして10ヶ月しか続いていない。

リリパット人たちが勝っているという別の兆候は、(学校ならば生徒が自分のテストを採点しているようなものである)取締役会の会長を務める社長が少なくなっていると言うことだ。ブーズの世界的なサンプルでは、会長を兼ねる社長の割合は2002年の48%から2009年には12%以下になっている。アメリカでさえも、権力を持つボスに慎重になっている。圧力団体のコーポレート・ライブラリーによると、S&P500の企業のうちで自分のテストに採点しているCEOは2002年の78%から2010年には59%に下がった。

ボスたちは依然として気前よく支払われているが、これは一部には仕事の不安定さが上がった反動だ。そして世界のCEOの給料は1990年代よりもゆっくりとしか上がっていない。アメリカではそれは下がってさえいるかも知れない。さらに、リリパット人たちは政治家にさらに縛りをきつくするよう強いている。2010年には、アメリカ議会は株主に役員給与について(非拘束の)投票権を与えるsay-on-pay法を可決した。英国首相のデヴィッド・キャメロンは、株主に拘束力のある給与支払いへの投票権を与えることを提案した。

(特にミューチャルファンドのような)機関投資家の隆盛は、分散した株主がまとまった経営者たちに直面するという古い等式を変えている。組織に保有されているアメリカの上場企業株の割合は1970年の19%から2008年には50%に増加した。そして2000年代の醜聞は株主の活動主義を再点火した。

彼らのために働くボスを調査すると、株主は強力な新しい道具を持っているという。たとえば、リスクメトリックスのような会社が提供する委任状争奪戦の助言のようなものだ。株主はまた、強力な新しい仲間も持っている。ヘッジファンドは、マクドナルド、タイムワーナー、そしてドイツ証券取引所のような大企業を脅して、攻撃的に会社の意思決定に介入する。

同時に、役員会はより多くを求められるようになっている。ボスが役員会にゴルフ道具を持ち込むことができたのは昔のことだ。(「無の大きな塊」というのは1960年代にある観察者が役員会を描写したものだ。)現在では、役員会の大部分は外部からだ。これは、それらの品質改善に大きく貢献した。コンサルタント会社のコーン・フェリーはアメリカの上位100社のサンプルの役員になった95人の新しい役員たちは、特に国際経験が豊富だと言うことに注目する。21%が外国籍を持ち、12%がブラジル、ロシア、インド、または中国のどこかで働いてきた。そしてまた、彼らは友好的な助言者と言うよりもむしろ厳格な監視者として活動するという意思を増している。ニューヨーク大学ステーンビジネス校のバルーチ・レヴは、彼のすばらしい新著「投資家に勝つ」で、この新しい世界では、「孤独なCEOは今しばしば、時には敵でもある『ライヴァルのチーム』に直面している」と書く。
 

節度への提案

これらはすべてボスの行動に影響している。経営陣の間での最新の専門用語は、「謙虚な指導力」、「使用人の指導力」、そして「下からの指導力」だ。しかし、それは実際に会社の業績を改善しているのだろうか?学問的な論文では、そうだと言うことが示唆されている。ジョン・コアとその同僚は、株主の権利が強い会社は弱い会社よりも高い営業利益を出していると言うことを示した。クレッグ・ドイッジとその同僚は、より強い経営陣を持つ会社は資本をより安く調達できたと示した。

しかしながら、CEOの中には新たな枠組みに異議を唱える者もいる。もし彼らが絶え間なくライヴァルのチームに後知恵で批判されるのならば、彼らはどうやって長期的な成長に焦点を当てることができるのだ、と彼らは訊ねる。未公開会社に転身する者もいる。かつてAsdaで衣料ブランド「ジョージ」の責任者だったアンソニー・トンプソンは、「私はもはや会社の意味のない高圧的な統治に奴隷のようにくっついていかなくていい。」と喜んで、Asdaをやめて非公開衣料会社のファット・フェイスに移った。ガリヴァーは最後には彼をとらえていた人たちを説得してひもをほどかせた。CEOも、疑いなく同じようにしようとするだろう。
 

発行日: 
2012-01-21
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