シリコン・サヴァンナ

ケニアはアフリカと世界を変えているブロードバンドの動きの出発点だ

この6月に開かれた携帯電話ソフトウェアの開発者と投資家の会議のピヴォット25でのざわめきは、すべて金の未来についてだった。コポコポの事業開発担当副社長である24歳のベン・リヨンは、支払いをテキストメッセージで行う店のためのアプリを作るために25万ドル必要だ。28歳のポール・オクワリンガは、Mショップと名付けた携帯電話を通じて旅行チケットやテイクアウトを買うことができる彼の有料アプリを「自動車を作りなおしたのではなく、それを斡旋した」と描写した。35歳のカマル・ブダバッティは、クラフト・シリコンという彼の会社の最新製品のエルマが、電話としてそしてほとんどすべての金融手段として、クレジットカードやオンラインバンクとして振る舞ったり(彼が言うには「デジタルの財布」)、株式や外国為替の取引をしたり、会社の給与支払いを行ったり、(ついでながら)ウェブを見て回ったり家で電話をかけたりできる、と主張する。現金は突然とても古いものにみえるようになった。先週、グーグルの上級課長のジョー・ムシェルは、クレジットカードは時代遅れだと宣言した。めまぐるしい雰囲気を増したのは、展示された発明が何人かの幸運なピヴォット25の参加者をとんでもない大金持ちにするかもしれないという考えだ。そして、どこでそれらの驚くべき未来が創造され、構想されているのか?辺境の動物保護区で草を喰むキリンやシマウマはシリコンヴァレーやシアトル、バンガロールを除外する。ナイロビを試してみろ。

携帯電話はすべての世界を前に進めたが、それはアフリカを積極的に変化させている。病院や地上通信線、道路、電力、教育、水道の不足、小さな銀行、乏しい保険、小さな株式市場といった、インフラの欠如が、経済学者が言う所の「貧困」の大部分を占める。そしてアフリカの多くは、巨大で暗いインフラの真空で、それは夜中にその大陸の上をめぐったものなら誰でも証明できる。

携帯電話の到来はそれを永遠に変えた。最初に数えきれない人々がある種の網の上にいることを理解し、それにより彼らはお互いに話したり世界とつながったりできた。吸収は驚くべきものだった。産業アナリストのインフォーマ・テレコム・メディアによると、10年前にはほとんど何もなかったのに、今ではアフリカには5億台の携帯電話があり、それはほぼ二人に一人のアフリカ人が持っていることになるという。経済的効果も劇的だ。ロンドン・ビジネス・スクール、世界銀行、そしてコンサルタント会社のデロイトによる研究によると、100人のアフリカ人につき10台の携帯電話が増えるに従い、GDPは0.6%から1.2%増えるという。「携帯電話技術は世界のすべての技術の中で最も早い採用率だ。」と、ピヴォット25に出席していたデヴェロップメントに投資したボストンに拠点を置く技術開発ファンドの創業者、ミゲル・グラニアーは語った。「速く成長を引き起こすために、そこには一番大きな機会がある。」

しかしこれはどのように技術がアフリカを変えているかの単なる物語ではない。アフリカ人は逆に技術を変えている。彼らは今ではテキストメッセージネットワークを使って、電子メールを送り、ソーシャルネットワークを運営し(南アフリカのMXit)、バーコードからある薬が本物か偽物か確認すること(ガーナのmPedigreeやナイジェリアのSproxil)すらする。世界的技術へのアフリカの影響は、携帯電話バンキングで最も目立っている。M-Pesa(Mはモバイルから、Pesaはスワヒリ語でお金を意味する)サーヴィスで、ケニアの運営会社サファリコムは、大衆向け携帯バンキングサーヴィスを創りだした世界初の通信会社になり、その産業標準は今ではカリフォルニアからカブールに至るまであちこちでコピーされている。

アフリカ人、特にケニア人は、オンラインでその存在を感じるようになっている。2007年の終わりの混乱した総選挙の後でケニアで暴力が爆発したとき、何人かのナイロビのプログラマーはUshahidi(スワヒリ語で証拠を意味する)というデータ整理の情報基盤を作り、大衆によってテキストメッセージや電子メールそしてソーシャルメディアによって送られた暴力の報告を集めて分析し、所在を示した。この考えは単に、何が起こっていたかを見出したに過ぎない。Ushahidiの共同創業者のジュリアナ・ロティックが言うには、「私たちが近所の家が燃えているのを見ている一方で、テレビはサウンドオブミュージックを流していた。」しかし、何が起こっているかを知りたいという欲望は普遍的であると証明され、Ushahidiは素早く危機、災害、そして政治的混乱の情報を整理する世界の既定の情報基盤となった。ロティックによれば、今年の5月までに、自由にダウンロードできるUshahidiは128の国で14,000回利用され、去年のハイチの地震から今年の日本の津波やアラブの春まで、すべての情報を整理した。

Ushahidiの創造は、ケニアの帯域幅が世界で最も狭いものの一つだということで一層目立ったものだった。2007年には、たったひとつの光ファーバーケーブルがサブサハラアフリカを部分的に世界とつなげているだけで、その大陸の大部分は衛星を通じて接続しており、それは高価で遅かった。しかしながら過去2年間で6本の新しいケーブルがつながり、その地域をアメリカ、ヨーロッパ、アジアとつなげ、2013年までにはその数は12本になるという。アフリカのデータセンターの運営者であるテラコのCEOティム・パーソンソンは、ここ4年間でアフリカのインターネットの能力は1秒に34Gバイトから34,000Gバイトに急上昇し、サーヴィスプロヴァイダーに払う費用は月に1秒1メガビットあたり4,000ドルから200ドルになり、年内にはさらに下がって100ドルになると語る。

結果として、アフリカのインターネットトラフィックは、世界で最も速く成長しているものになった。「これは大陸中での行動の津波だ。」ブロガーでアフリカの技術起業家を助言者や金融業者と結びつけるVC4アフリカの創業者でもあるベン・ホワイトは語る。グーグルが言うには、2010年のオンライン広告では、西ヨーロッパのサイトが37億クリックなのに対して、アフリカのサイトには52億クリックあったという。「このペースは素晴らしい。光のようなスピードだ。」グーグルのサブサハラ事務所を率いるムチェルは語る。ウェブの経済効果は携帯のそれに共鳴している。2009年の世界銀行の研究によると、高速接続が10%上がるたびに成長率は1.3%上がるという。

アフリカのブロガーが世界的な会話に参加しているように、アフリカの技術開発者は世界的な市場に参加しだしている。次の素晴らしいコードは他のどこよりもアフリカで書かれそうだ。アマゾンの革命的なクラウドコンピューティングの情報基盤は、アプリケーションを作るために、利用者が仮想コンピューターの変動する量の能力を貸すことができるのだが、それはケープタウンで開発された。42歳のパーソンソンは、その会社のテラコが2年間で3つのデータセンターを南アフリカに建て、さらに2つをナイジェリアとケニアに立てているのだが、彼がウェブの短い歴史の中で他のどの時期よりも速く大きくオンラインが爆発していることを証明していると語る。「ここではたくさんのことが進行している。」彼は語る。
 

シリコンサヴァンナ

ピヴォット25の二日目に、ケニア情報通信省の常任補佐であるビタンジェ・ンデモは、爆弾を落とした。ケニアの技術専門家分科会との会話の中で、ナイロビ郊外の新たに70億ドルを費やすコンザ技術シティの建設は、今年の終わりに向けて始まるべきだと彼は語った。「我々はインフラを作っているのだ。」ンデモ氏は語った。「今こそ実質と応用の時だ。」その終わりに彼は付け加えた。「我々政府はあなたがたにショックを与えるだろう。」

7月の第1週にケニア政府は、完全に情報を公開して、アフリカで初、そして世界でも早い取り組みをした国の一つになる。それは、以前には内部資料でしばしば秘密だった政府文書の何百万というページをオンラインで発表する。「あなたがほしい情報は全てここで見つけることができる。」ンデモ氏は述べた。彼はこの戦略を、再選されそうもないムワイ・キバキ大統領の置き土産の計画にするとともに、サーヴィスの提供を誇示することによって来年総選挙がある政府を助けるものだとして描いた。しかし、しばしば世界で最も不正が溢れていると位置づけられる政府にとってそのような根本的な透明性を実現するのはすごいことだ。あるインタヴューの中で、ンデモ氏は開かれた政府は「政府が公衆を扱う方法を完全に変化させ、不正に対して強烈な一撃を与える。そこには抵抗があり、計画省はその情報を我々に上げることを年中拒否しているが、我々は彼らを説得した。」

その大陸で最も発展した国として、南アフリカはオンラインアフリカの明らかなハブだ。しかし、グーグルが地域拠点を探したときに、最初にナイロビに行った。なぜ?それはケニア、特にその政府ととりわけンデモ氏が、他の国がほとんどしてないほどにインターネットに帰依しているからだ。しばしば国家による通信独占を守ることを義務だと考えている他のアフリカの規制者とは違って、ンデモ氏は、早くて熱心な通信とファイバーネットワークの自由化主義者で、地域リンクの話し合いが失敗に終わったときケニアが自国の海底光ケーブルを敷設する決定に役割を果たした。ンデモ氏は、ケニアの究極的な目標は、その4千万の人口の6割から8割に上るとみられる、無料の携帯通話と電子メールを望むすべてのケニア人にそれを与えることだ。彼のデジタルに対する熱意の原動力になっているのは、彼が語るところの「インターネットは基本的人権だ。」ということと、経済成長の必要性だ。

ケニアのITへの愛により、その国はシリコンサヴァンナというニックネームを得た。そのあだ名はきちんとその世界的技術への影響力の拡大のテーマを要約している。携帯電話と、地方と、幾らかの広がった空間を埋めることと、民主主義。例えばピヴォット25は、携帯電話がどれほど途上国をウェブにつなげたかが明らかになり始めているので、もっぱら携帯電話電話アプリに焦点を合わせている。全アフリカ人の半分、そして92%のケニア人は、携帯電話を介してネットにつながっている。(多くはデスクトップに卒業したいと望んではいない。アフリカの製造業者は標準的なコンピューターを作ることが出来ないが、すでに、ナイジェリアとコンゴ共和国の2社がタブレットを作っている。)

地方のテーマもまたピヴォット25で明らかだ。例えば、携帯農業疫病調査アプリは、テキストメッセージで走るリアルタイムの警報システムだ。Mファームという別のアプリを使えば、農家は彼らの収穫物を正しく値付けしたり、売買できる力を貯めたり、売り手や買い手と連絡をとったりできる。彼もまたナイロビにiHubとm:Lab技術センターを立ち上げピヴォット25を組織した、Ushahidiの共同創業者のエリック・ハースマンは、アフリカの農家のために、しばしば古い基本的なモデルの携帯電話向けのアプリを作ることは、ケニアの市場に焦点を当てるのに必要なだけではなく、世界的に採用されるためのレシピでもある。「それらのアプリはどれも世界的になれる。」彼は語る。「それらはどんな電話でどこでも動く。ある意味、アフリカは新しいものの最高の試験場だ。もしそれがある男のNokia1100(基本的なGPSモデルで、2003年までに2.5億台売り上げた世界で一番人気のある携帯電話)で動けば、それはどこでも動くだろう。」

たとえ(SMSで動く)アフリカン・アングリー・バーズがみんなの未来であっても、アフリカの技術者の影響力は、故郷のそばで最も強烈に感じられるかもしれない。アフリカのインフラの不足と同じくらい邪魔をしているのは、その民主主義の欠如で、その2つはしばしば関連している。歴史的には、その大陸の独裁者たちは、その国民に生活に必要な基本的なツールを与えることにほとんど関心を示さなかった。それは、特に、シンプルな生活が難しくなるに連れて政治的野心は消え失せるからだ。だから、おそらく、Ushahidiやケニアの情報公開計画のように、多くのアフリカの技術革新は活動家の側から来たのは自然だ。タンザニアとケニアのタワウェザとウウェゾは単に最も目立った多数の、国の透明性や説明責任についての、新しいアフリカのウェブによる戦略に過ぎない。別のUshahidiの共同創業者でグーグルの政策課長でもある34歳のオリー・オコローは、「インターネットはあなたが誰なのかということについて気にしない。人々は正しい家族や部族からであるということや賄賂を払ったかということにかかわらずインターネットに無料でアクセスできる。それには人々を自由にする面があり、それが鋭くさせる。」と語る。VC4アフリカのベン・ホワイトが言うには「より多くの人々が接続すれば、彼らは同じようにインフラや政府の支援が失われていると考える人々を知ることができる。それが、人々がサーヴィスを求め始め、彼らがそれらを手に入れられないときには、エジプトのような事態になる時だ。」

その見通しはすでにいくつかの抑圧的な政府にプラグを引きぬくよう駆り立てている。4月には、反対派がヨウェリ・ムセヴェニ大統領に対して抵抗している間に、ウガンダはインターネットサーヴィスプロヴァイダーに、多くの反対派が参加しているフェイスブックとツイッターに対するアクセスをブロックするよう命令した。同じ月に、スワジランドもまた、伝えられるところによると、反抗を前にしてフェイスブックへのアクセスを一時中断したという。6月には、ルワンダは裁判所がUmuvugiziウェブサイトの編集者をポール・カガメ大統領への侮辱罪で有罪にしたとき、そのサイトへのアクセスをブロックした。そして、ジャーナリストの集団が言うには、JamiiForumsの中にウィキリークスの一種を持っているタンザニアとスーダンは、中国製のマルウェアを使ってユーザーシステムを傷つけコンテンツを削除しているという。より啓蒙された指導者たちは、彼らのために働く新しいチャンネルを作っている。4月に行われたナイジェリアの大統領選挙の最後の勝者であるグッドラック・ジョナサンは、その立候補をフェイスブックで発表した。

ある政治家が大統領選挙にソーシャルメディアで参戦するといったような驚きが、アフリカが技術ビジネスに急速に入っているという本当の重要性を明らかにしている。それは認識をひっくり返すことにより、固定観念をものともしない。Ushahidiのロティックが言うには、「私がヨーロッパやアメリカで語るとき、人々はショックを受ける。私は女性で、物乞いをせず、惨めな貧困の写真を見せない。Ushahidiは、人々を揺さぶっている。それは彼らのアフリカの見方を複雑にさせている。Ushahidiはかっこいい。私はそれはいいことだと思う。もしかしたら、技術を通して、人々はアフリカ人が本当はどれだけかっこいいかを考え始めるかもしれない、と私は思う。」
 

Business|Technology欄より
 

発行日: 
2011-07-11
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