戦争ゲーム - 通貨切り下げ競争

通貨切り下げを成し遂げるための別の戦い

多くの英国サッカー場は観戦の問題を抱えている。最近では健康と安全上の理由から競技場はすべて座席だが、ファンの中には座ることを拒絶するものもいる。彼らは試合中立ち、その後ろの人たちにそれに続くことを強いる。最後には、競技場のその部分のみんなが立ち上がる。誰の視界も改善しないが、みんなが大きく快適さを損なう。

外国為替市場は、今のところ同じような問題に直面している。ほとんどすべての国が、その輸出業者が価格競争力を持ち市場シェアを得ることができるように、その通貨を弱くしたいと思っている。しかし、ある通貨が下がれば、ほかのものは上がらなければならない。これらの国々はその通貨を戻そうとし、世界は最後には最初に戻る。

ブラジルの財務大臣グイド・マンテガは、2010年9月にその過程を「通貨戦争」と表現し、今週ロシア中央銀行の第一副議長アレクセイ・ウリュカエフは、次の切り下げ競争の警告をよみがえらせた。財務大臣の集まりユーロ・グループの長ジャン=クロード・ユンケルは今週、単一通貨の為替市場が「危険なほど高い」と呼んだ。ノルウェーの中央銀行は、たとえその国が住宅ブームのさなかにあるとしても、クローネの強さが金利を引き上げることに用心深くなる原因となるだろうというヒントを得た。

この特定の小競り合いの出発点は、12月に安倍晋三を日本の首相に選んだ選挙と、経済政策を切り替えるという彼の約束だ。特に、安倍氏は日本銀行にそのインフレ目標を2%に倍増させ、その目標が達成されるまで国債を買ってほしいと思った。もし彼の目標が実現すれば、日本の金利はついに実質(すなわちインフレ補正後)で負になるだろう。デフレのために、その経済が不振だったとしても、実質金利は過去10年間の多くで正だった。それは円を強く保ち、輸出業者の生活をより難しくしていた。

安倍氏のレトリックは通貨市場に大きな影響があり、10月に1ドル78円だったものが89円にまで下がった。ドイツ銀行のアラン・ラスキンによれば、1971年にブレトンウッズ為替制度が崩壊して以来これは5番目に早い円の下落だという。

日本人さえも、円の下落によって軽く驚いているようだ。日本は外国のエネルギーに大きく依存しており、1月15日に経産大臣の甘利明は行き過ぎた円の下落は輸入価格を引き上げるだろうと警告した。たぶん、それは甘利氏に、もし日本がより高いインフレを欲するのならば、価格は上がらなければならないとわかり始めさせただけだろう。

円の弱さは、他の経済に圧力を加えている。2013年の今のところ、最も強い通貨の一つはユーロで、それは単一通貨の分解が起こりそうもなくなったという感じによって上がっている。この感覚の変化の副作用の中には、役立つものもある。例えば、スペインとイタリア国債の利回りは、下がっている。その大陸の製造業者の生活をより難しくすることによって、通貨の上昇は役立つものには入らない。

ユーロは、2011と12年にあまりに強かったために世界のほかのどこの国よりも外貨準備を積み上げたスイスフランに対しても上がっている。スイス国立銀行はこれらの準備を、無制限のフランを印刷しその収入で外貨を購入することによってフランがユーロに対して1.2よりも上にならないようにするという約束の一部として獲得した。

この戦術の成功は、その通貨を切り下げたいと思う中央銀行が直面する異なった問題を、引き上げたいと思っているものに反して描いた。その通貨を支える中央銀行は、有限の外国為替準備と金利を引き上げる意思に頼っており、それはその国内経済に大きな損害を与える原因となる手段だ。対照的に、断固とした中央銀行は、十分な通貨を作り出したいという意思を持っており、インフレについて心配していないことを考えると、いつも通貨を低く動かすことができる。

現在の状況についてとても異常なのは、量的緩和が先進国でとても広がっているということだ。量的緩和は特に通貨を下落させるよう設計されたものではないかもしれないが、為替の弱さは政策立案者に有益な副作用として見られている。

ロシアのような発展途上諸国は、全過程について冷笑的かもしれない。しかし、経済的な経験は、そのような国々が先進国に追いつくにつれて、新興市場の通貨は上がり、先進国のものは下がることを示唆している。新興世界はこの自然の発展に抵抗しているので、不自然なやり方で起こっているのだ。

Buttonwood欄より
 

発行日: 
2013-01-19
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