悪政にむっとする - 富、貧困、そして脆弱な国家

適度な富と悲惨な統治が混じり合った新しい範疇の国々

ほとんどの人々は自分たちは失敗国家とはどのようなものか知っていると考えている。明らかな例はソマリアで、そこでは今週南部で飢饉の発生が国連によって公式に認められた。援助は、イスラム民兵のシャバブがかつて反ムスリム的だとした援助機関への禁止を解除した後に少しずつ始まった。ほとんどの点で、苦しんでいる地域は権威の崩壊の典型である。過激派が道路と市場を支配し、政府は首都から出ると無力で、部外者は存在する限りのなけなしの援助を提供する。

しかし、すべての失敗国家や脆弱な国家がソマリアのようなわけではない。今月世界銀行は、高、中、低所得国に分けた国々の年次リストを発行した。いくつかのアフリカの国々はソマリアよりもよくやっている。彼らは貧困国から低所得国に昇進した。しかし、著しいことに、そのリストの下位中所得国の56カ国のうち15カ国程度(すなわち1/4以上)はまた、先進国クラブであるOECDによる脆弱失敗国家リストにも載っている。それにはコートジボワールからイエメンまで含まれるが、最も重要なのはパキスタンとナイジェリアだ。国家の失敗は、それが示すとおり、必ずしも貧困といったほかの人間の苦悩と一緒にやってくるわけではない。

なぜ、ある国々が貧困国と中所得国を分ける恣意的な線をまたいでいることが問題になるのだろう?おそらく、誰かがいうかもしれないが、それは、国家の失敗ということが極端に柔軟な言葉であると示しているからだ。それは完全に崩壊した国々(ソマリアやチャド)と、単に巨大な非統治空間を含んでいるだけのものの両方を包含している。実際に、中所得だが失敗脆弱国家である国々の出現は興味深いだけではない。MIFFSと名付けたその集団は、西アフリカと南アジアの将来にとって重要な国々を含んでいる。新国家の南スーダンは石油の富と不安定や未開発が結びついて、たしかにこのランクに加わるだろう。

この集団はいくつかの理由で問題になる。その国々は、一人あたりの収入で測ったときにはやや繁栄しているかもしれないが、そこには大きな、そして割合が増えているとても貧しい人々が含まれている。ワシントンD.C.にあるシンクタンクのブルッキングス研究所のジオフレイ・ガーツとローレンス・シャンディは、MIFFの国々は世界の貧しい人々(1日1ドル以下で生活している人々)の内、ほぼ1.8億人を占めていると計算する。それは世界の貧困者の合計の17%となり、貧しいが安定した国々に住む10%よりも多い。世界の貧困緩和に関心のある人はみんなMIFFSを考慮に入れなければならない。

その範疇はまた、急速に増えている。失敗国家はかつてはほとんど定義上貧しかった。世界銀行の脆弱国歌を助ける基金は、圧迫を受けている低所得国基金と呼ばれている。ひとたび国々が低所得でなくなれば、実際にはそうであっても彼らはもはや「圧力下」とはみなされないのだ。2005年にMIFFの国々には1,500万人以下の1日1ドル以下の生活者しかおらず、世界の貧困層の1%にも満たなかった。それから、その集団は、かつて貧しかった国々が豊かになったが、もはや機能していない国々が増えたことが主な原因となって、拡大している。法秩序がかつては存在していたが、後にうまく行かなくなった中所得国を見つけるのは珍しい。

そしてそれは、この新しい集団の出現からの一つの一般的な教訓を示唆している。生活に困っている場所は、しばしば無秩序に苦しめられている。しかし、幾分裕福な国々が必ずしも安定しているわけではない。今年の世界開発報告(WDR)は、国々を貧しくし続けるのに、暴力の果たす役割が、かつて考えられていたより大きいことを示した。しかし、貧困を脱した国々がそのプロセスにおいて常により平和的なわけではない。

WDRの背景報告書が示すように、殆ど70%の戦争や紛争は、1960年代には、貧しい1/4の国々で起こっており、下位中所得国である次の1/4で10%を少し超えるそれらが起こっていた。2000年代には、しかしながらそれは変わった。最貧諸国での紛争の割合は40%以下に下がり、下位中所得国での割合が40%以上に上がった。紛争は、下位中所得国でよりありふれたことになり、弱い政府が少なくとも貧困それ自身と同じくらい大きな暴力の予報器になった。

MIFFSは援助提供者にとって頭痛の種だ。中所得国は一般的にほとんど金融支援や技術的助言を必要としない。しかしMIFFSには、現地政府が助けられない、もしくは助ける気がない多くの貧しい人達がいる。サセックス大学開発学研究所のアンディ・サマーが論じているように、西側の援助ビジネスはタンザニアのような貧しくて安定した場所で伸びている。他の多くの援助宣言と同じように、国連のミレニアム開発目標は援助を行うのに古い方法を反映している。援助提供者は、貧しい安定した国々で機能するやりかたは、おそらく、それほど貧しくはないが安定もしていない国々では機能しないだろうと認めている。

MIFFSはまた、彼らに影響力を行使したい西側政府に大きな問題を投げかける。もはや貧しくなないので、その高官たちは援助や軍事、開発の必要性をほとんど認めない。脆弱なので、その政府はしばしば複雑な手に負えない、扱いにくい連合からなっている。その結合は致命的だ。パキスタンを見てみたい。その国への警告の中で、アメリカ議会は今月8億ドルの援助を凍結した。それはかろうじてアジフ・アリ・ザルダリ大統領の政府からひらめきを引き出すことができた。その援助はGDPの1%にも満たない。国内的な政治的計算は、対外的なものよりも問題なのだ。

MIFF現象は完全に新しいものではない。パプア・ニュー・ギニアと赤道ギニアはどちらも巨大な資源産業がある未開発の地だが、長年続いている例だ。しかし、最近まで、それらはほんの僅かであり、それほど問題にならなかった。今では、パキスタン、イエメン、ナイジェリアといった国々は、不幸な市民に災害が振りかかるコンゴのような伝統的な失敗国家よりも、西側に大きな問題を投げかけるかもしれない。
 

発行日: 
2011-07-23
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