彼らはドルを信じる - ハイパーインフレの後のジンバブエ

汚れたドル紙幣、高価な信用、いっぱいの店、からっぽの工場

ハラレの郊外ブラーサイドのOKマートストアは、ある晴れた土曜日の朝に活発な仕事をしている。小売りチェーンのOKジンバブエに所有されたその店は、その国で最大のものだ。それは、アメリカやヨーロッパのどの大きなスーパーマーケットよりも幅広い雑貨と消費財を備えている。ほとんどは輸入品だ。ブランド商品が少し高いと思う人々のために、OKジンバブエは中国で作られた一連の電化製品である独自ブランドトップノッチを提供する。

町中心部のはるか南にある産業地区は、むしろそれほど繁栄していないように見える。食品製造業と繊維会社がそこにみすぼらしい出先を持っている。半ダースの油料種子サイロは空っぽだ。ほんのわずかな地元製造業者だけが、その製品をOKストアに納入できるほどに依然として活発だ。その一つは、コカコーラも作っている醸造業者のデルタだ。他には、ニューバリーやマディソンといったタバコブランドを持つBATジンバブエがある。

このいびつな経済は、ジンバブエの通貨崩壊の遺産だ。2008年の夏にインフレは馬鹿げた2.31億%に達した。ドルベースの産出はわずか10年で半分になった。100兆ドル紙幣が流通する準備ができていたが、まともな商人で現地紙幣を受け取ろうとする者はいなかった。外国為替取引の禁止は2009年1月に解除された。それから、アメリカドルがジンバブエの主要通貨になり、その地位は今でも保たれている。

ジンバブエドルはあまりにも自由に印刷されていた。現地紙幣の膨れ上がった在庫は、減少したモノの供給を追いかけた。今、その経済が依存しているアメリカの紙幣が請い求められ、貸され、または稼がれなければならない。そうだとしても、その金融制度は驚くほどよく機能している。ドル紙幣の希少性はインフレを低い一桁にとどめている。その経済は多くの失地を埋め合わせている。

その切り替えは困難だ。ハラレの貸し手CABSの社長ケヴィン・テリーは語る。銀行はほとんど一から始めなければならなかった。インフレは融資と預金の両方の価値を一掃した。「我々には顧客も預金もなく、巨額の支出があり、収入はゼロだった。」テリー氏は語る。

大きな問題は、ジンバブエの銀行制度に油を塗るのに必要なドルがどこから来るかだ。中央銀行はアメリカの連邦準備銀行に貸出限度額の引き上げを頼むことはほとんどできなかった。幸せなことに、ドルはやってきた。

盛んな非公式経済を泳ぎ回る人々は、収益を求めて押し寄せた。ジンバブエでは、銀行は3か月定期に12%の金利を支払う。ニューヨークかロンドンに貯蓄されたドルはジンバブエに戻ってきた。外国の信用を頼ることのできた会社もある。CABSはその親会社である大保険会社のオールド・ミューチャル・グループから150万ドルを借りた。それから、2008年の紛糾した選挙の後の暴力が後退するにつれ、ホットマネーがやって来て、経済は回復した。銀行預金は去年31%増え、44億ドルになった。

しかしながら、それは通常の銀行制度ではない。貯蓄者が彼らの金を置いておける最長期間は90日で、だから銀行はほんの短期間しか貸すことができない。期間は小売業者が在庫を回転させるのには十分だが、工場の改装資金には十分ではない。もし銀行に現金が無くなったり経営に苦しんだら、最後の貸し手はない。銀行間での貸し出しは限られている。余剰資金はしばしば、地元で貸し出されるよりもむしろ外国にとどまっている。だから、流動性は注意深く整理されなければならない。銀行は少なくとも融資の30%を準備として置いてあり、更に貸し出すことのできる金額を制限している。

経営のリスクは、預金者が5大銀行に押し寄せることを意味する。CBZが最大で、あとの4つは外資だ。しかし、外資企業に少なくとも51%の株式を手渡すよう求めるロバート・ムガベのZane-PF党の土着化政策は、このある程度の金融安定性さえも曇らせる。銀行への直接の脅威は、ムガベ氏に近い中央銀行総裁のギデオン・ゴノと、簡単ではない連立政府の財務大臣で民主変革運動のテンダイ・ビティとの間のありそうもない連合のおかげで後退している。

土着化の動きは、にもかかわらず、より必要とされる資本支出への別の障害だ。ジンバブエの産業は、幾分かはその機械が古いために、輸入品と競合できない、とハラレの経済学者ジョン・ロバートソンは語る。投資は長期ヴィジョンを必要とする。ハイパーインフレ下では、長期とは明日だった。今、インフレは管理下にあるが、長期信用は希少だ。去年の貿易赤字は36億ドルだった。ジンバブエはこの差を埋めるために更に多くのドルを惹きつけなければならない。「その国は墓場に行くために自身を借りている。」ジンバブエ大学のトニー・ホーキンスは不平を言う。

消費者はより陽気な雰囲気の中にいる。インフレによりその債務が侵食されたのを見る人々はみなあまりに借りたいと思っているので、高い金利ですらも借りることができない。小売業者は繁栄している。OKジンバブエは投資することのできる数少ない企業の一つだ。それは2,000万ドルの新規資本を2010年に調達し、その資金を新店舗を開き旧店舗を一新するのに使った。その会社は、1か月に及ぶ運輸ストライキに、南アフリカの同じ店舗よりもよく対処した、とその最高執行責任者のアルバート・カツァンデは語る。その輸入への依存は、その店に高い水準の在庫を持つよう強いる。
 

甘い夢

全ての小売業者への問題は、お釣りの不足だ。1ドル札は頻繁に取り扱われて汚れている。南アフリカランドは、ジンバブエ第2の都市ブラワヨで主要通貨であり、1ランドコインがその国中で10セント硬貨の代わりに使われている。もし硬貨が不足していれば、借用書か飴が代わりに提供されるかもしれない。頻繁に購入される商品はぴったりの価格になっている。パン一山はふつう1ドルで売られる。

通貨発行についての彼ら自身の経験を考えると、地元の人々は、連銀やほかの先進諸国の中央銀行によって行われている「量的緩和」について不安に思っている。しかし、連銀による電子通貨の印刷にもかかわらず、ドル紙幣はジンバブエではハードカレンシーだ。それが地元品にとってかわることを要求する人はほとんどいない。
 

発行日: 
2013-04-27
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